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2020.07.30

決戦間近! ソムリエコンクールのグランドファイナルに刮目せよ!

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多い時は月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文・図解/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

本格的な夏ですね。こう蒸し暑いとシャンパーニュを飲む温度も普段より2-3℃低くしたい気分です(*1)。
さて今回も引き続きソムリエコンクールについて話を進めていきます。前回もお伝えした通り、全日本最優秀ソムリエコンクールの本戦(準々決勝・準決勝・ファイナル・グランドファイナル)は8月3日(月)・4日(火)です。

モテるワイン道入門~ソムリエ界のオリンピック! ソムリエコンクールとは? 

前回は、ファイナルに至るまでのコンクールの特徴やルールについてお話ししました。今回はファイナルの舞台で選手に課される具体的な課題にスポットライトを当てて解説していきます。

ソムリエコンクールで出題者側が選手に問うのはおおむね次の要素です。

✔ ワインをはじめとする酒類・飲料や料理などに関する知識
✔ ワインその他の酒類のテイスティング能力
✔ ワインなどのサービスに関する技量(抜栓、デキャンティング、注ぎ方など)
✔ 臨機応変さやアイデア、企画力・プレゼンテーション能力を含む全般的な接客能力
▲2018年10月に京都で開催された第4回A.S.I.アジアオセアニア最優秀ソムリエコンクールの終了直後。優勝した岩田渉選手と審査員だったAndreas Larsson氏(第9回大会の世界最優秀ソムリエ) 撮影/吉川慎二
以前、第9回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール(2007年開催)の優勝者Andreas Larsson氏(スウェーデン、写真右)にインタビューする機会がありましたが、「知識や技量はコンクール本番で勝つために必要な要素の半分でしかない。残りの半分は勝負度胸。俳優やミュージシャンのように本番慣れしていないと勝てない」と言っていたのも納得です。
それではコンクールで出題される代表的な課題をいくつか紹介していきましょう。

1. ワイン並びにその他の酒類(リキュール・スピリッツ類)のブラインドテイスティング
コンクールの定番と言ってもよい課題です。さすがにファイナリストのソムリエ達なので、ブラインドテイスティングはお手の物、流暢なコメントでこなしていく選手がほとんどです。

2. テーブルでの接客を想定したサービス実技
こちらも1と並んでコンクール課題の定番です。審査員がお客に扮してテーブルに着席し、選手であるソムリエにいろいろ注文を出します。「〇〇のワインを飲みたい」という通常のリクエストで始まることが多いのですが、その後にいろんな落とし穴が待ち受けています。いくつかを例に挙げると・・・・・・

▶注文されたワインに問題がある。
① ワインがセラーにない(品切れ)。
② よく似た名前の紛らわしいワインが複数あって間違えやすくなっている。
③ コルクが傷んでいて抜栓できないようになっている(わざわざそういう状態のワインを用意するようです)。

▶設備や道具に問題がある。
① ワインのデキャンターに水が溜まっていたり、臭いがついていたりして使えない。
② ワインを注ぐグラスが汚れている。
③ 注文されたワインに一番適切だと思われるグラスがゲストの人数に足りない。

▶その他ハプニングが発生する。
① ゲストのひとり(審査員)がワインをこぼす。
② 途中で「このワインは好みではないから別のものを飲みたい」と注文される。この注文も、カクテルのオーダーであったり、ビア・タップからドラフトビールを注ぐもの、最近の傾向を反映してノンアルコールドリンクなど多種多様です。

これを制限時間(5~8分くらいの場合が多い)内にこなすのは何とも大変。観ているこちらも汗だくになりそうです。何とも意地の悪い設定ですが、競っている選手はワールドクラスの一流ソムリエばかりですから、このくらいの難題を突きつけないと差がつくような採点ができないということなのでしょうね。私は個人的にはこの課題が一番好きですし、コンクールにおける「花形種目」だと言っても過言ではないと思います。
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3. 料理に合うワインの提案
フルコースのメニューを渡されて、ひと皿ごとにそれに合うワインを提案するという課題です。まずは料理の知識がないと、どのような料理か解りません(知識を試すためにわざと難しく書いてあることもよくあります)のでお話になりません。提案するワインも渡されたワインリストの中から選ぶ場合もあれば、ソムリエが自由に選んでよい場合もあります。ただし、後者の場合は大抵「すべてて日本のワインでないといけない」とか「すべての大陸のワインを使用しなくてはならない」など、難しい制約が課されることが多いです。また、何を根拠にこの料理にこのワインが合うのか、その説明を求められることもしばしばです。

4. ワインリストの間違い探し
ワインリストを渡されて、その中から間違いを指摘する課題です。大抵の場合15~20本程度のワインがリストにありますが、間違いが何個あるのかは知らされていません。細かいスペルミス、生産地が違っている、ワインとしては存在するがそのヴィンテージだけは事情があって生産されておらず存在しないなど、間違いのパターンはいろいろあります。

以上の1~4の課題はファイナリストの選手がひとりずつ登壇して順番にこなします。最近の傾向としては3人(まれに4人)のファイナリストが終わった後に一斉に壇上に上がって同時に行う課題をこなして全競技を終了することが多いようです。この際の課題として定番なのが次のようなものです。

5. 画像問題
スクリーンに映された画像(写真や動画)を見て質問に答えるもの。画像は人物(醸造家やシェフ、歴史上の人物)であったり、ワイナリーの建物や葡萄畑・河川などの自然であったり、ワインに関連する道具であったりとさまざまです。まるでワイン版のクイズ『東大王』を観ているようです。

6. シャンパーニュのマグナムボトルのサービス
大抵のコンクールの最終課題はこの競技です。オリンピックや世界陸上の最後が4 x 400mリレーなのと同じですね。これはマグナムボトル(1,500ml)をグラスに均等に注ぐという課題です。注ぐための条件はその時々で違います。例えば「17脚のグラスに均等に」(1杯あたり約88ml)だったり、「100mlを10脚、50mlを10脚の計20脚」だったり、さまざまです。このとき、ボトルの中身を余らせてはいけません。すべて注ぎ切るのが条件です。また、注ぎ終わったグラスを一度離れて次のグラスに移った場合、元のグラスに戻ってはいけません。なので、グラスの個数から一杯あたりの量を素早く計算して正確に注ぐ必要があります。多すぎると最後の方で足りなくなりますし、少なすぎると余ってしまいます。逆戻り禁止なので後からの微調整はできません。

また、グラスの個数も要チェックです。17脚にと言っておきながら、テーブル上には実はグラスが18脚置かれているという意地悪な設定もありえます(この場合、グラスが1個多いことに気づかず、すべてのグラスに注いでしまうと当然減点されますので、18個目のグラスは除けてから注ぎ始める必要があります)。
 注ぎ終わると競技終了なので、審査員がグラスの液面などを審査し終わったら、会場にいる人たちにグラスが配られてみんなで乾杯するのが恒例となっています。

ソムリエコンクールの課題、いかがでしたか?  なかなか実際のサービスシーンでは見られない架空の設定もありますが、面白いですよ。興味のある方はぜひファイナルの動画配信(*2)を見てください。

追記: 7月28日、一般社団法人日本ソムリエ協会は昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を重視し、当初の予定を変更してグランドファイナルを無観客開催と決定しました。なお、ファイナルおよびグランドファイナルの様子はライブ中継される予定です。

(*1)

シャンパーニュ委員会(C.I.V.C.)日本事務局によれば、シャンパーニュの消費に最適の温度は8-10℃で、あまりキンキンに冷やしてしまうと舌の味蕾が麻痺してしまうとのこと。でも、室温が高いとグラスに注がれた液体の温度もすぐに上がるでしょうから猛暑下では少し冷やし気味がオススメかもしれません。

(*2)

ファイナルの動画URLは後日発表される予定。

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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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