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2020.02.28

モテるワインの「抜栓」、基本から教えます。

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

CREDIT :

文・図解/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

2020年も早いものでもう3月、もうすぐ雛まつりですね。
桃の節句なので何となくロゼワインが飲みたくなってしまいます。

今回から2回にわたりワインの抜栓とサービスについてお話したいと思います。
「え⁉  ワインを開けたり、注いだりってソムリエの仕事でしょう」って? 
確かにその通りなのですが、持込みワイン会は会場となるお店の方針次第でほぼセルフサービスに近い状態になることもしばしば。また、ホームパーティーではよほど富豪の邸宅でない限りはソムリエのサービスはありません。
ワイピランクアップ目指して、いざという時のために備えておきましょう。

モテるワイン道~抜栓編~

ソムリエナイフを使ってみよう!

みなさんは、うち飲みワインをどうやって開けていますか?
便利でお手軽なのはウイングタイプ(俗に言うバタフライ型、写真①)ですが、自宅での抜栓は格好の練習機会、ぜひとも本格的なソムリエナイフ(写真②)を使って練習してみてください。勘の良い人であれば4〜5回練習すればコツは掴めるはず。あとは練習あるのみです。お手本となる動画も、簡単に見つかるはずなのでぜひご覧になって参考にしてみてください。
①ウイング型(バタフライ型)のオープナー(筆者蔵)。
②ソムリエナイフ(筆者蔵)。
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カッコよく見せるコツは、

1) キャップシールをきれいに切り取る
2) コルクにスクリューを入れた後、テコの原理で8〜9割くらい持ち上げたら最後は手で優しく抜く
3) 抜栓後、スクリューに刺さったコルクを、ソムリエナイフを逆回転させて素早く取り外し、香りを確認する
などでしょうか?

 一連の動作が華麗にできるとモテ度がアップすること請け合いです。いつも失敗する箇所があれば、親しいソムリエに相談みてはいかがでしょう。会話が盛り上がるキッカケにもなります。古酒の場合、コルクの腐食や傷みで途中で折れたりボロボロになる、もしくはコルクがボトルに貼り付いてしまってびくともしない、などのトラブルに遭遇するのはザラです。古酒を上手に開けることができればアナタも上級ワイピの仲間入り。こればかりは経験がモノを言います。
最近はスクリュー式とプロング式を組み合わせた古酒専用のもの(写真③)まで発売されています。また、実際に目にしたわけではありませんが、某ドクターワイピが華麗なメス捌きでを古酒を開けたという逸話も耳にしたことがあります。ビックリですね。
③古酒専用のオープナー(筆者蔵)。
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シャンパーニュは「天使のため息」で。

シャンパーニュなどのスパークリングワインの場合、グランメゾンやコンクールではソムリエナイフでキャップシールをカットしていますが、カジュアルなシーンでは手で外してしまって良いと思います。スティルワインと違い、瓶内は4−5気圧もあるのでミュズレー(針金の留め金)をひねって緩めた後は、コルクを固定させてボトルを回す、あるいはコルクを前後に傾ける、などして力を加えてやると自然にせり上がってきます。そのままの勢いにまかせると「ポンッ」と音がしたり、泡が吹き出たりしてしまいます。上手に、外気が入る寸前で一旦止めてから、ごく僅かずつ空気を送り込んでやると「シュッ」という音とともに静かに開けられます。有名な「天使のため息」で、これができれば拍手喝采ですね。
なお、シャンパーニュのコルクを留める方式はミュズレー(針金)が一般的ですが、稀に「アグラフ」と呼ばれるホッチキスの針のオバケのようなコの字型の留め金方式や、麻紐で縛って蝋付けした「フィスラージュ」と呼ばれる伝統技法のものもあります。アグラフの開け方はコツさえ掴めば簡単ですが、力任せに開けようとすると悪戦苦闘してしまう(*1)ので注意してください。このようなタイプに出会った場合には経験者の上級ワイピにお願いした方が無難かもしれません。

シャンパーニュの究極の開け方は「サーベラージュ」でしょう。サーベルをボトルに沿って勢いよく滑らせ、瓶口に近いネックの部分に衝撃を与えてカットして開けます。ナポレオン(*2)時代に軍人の間で流行しましたが、現在は結婚披露宴などの余興でしか見られません。危険ですし、片付けが大変なので通常はやらない方が無難です。

ワインの抜栓編、いかがでしたか?  次回はサービスについて考えていきましょう。
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(*1) 2010年にチリ、サンチアゴで行なわれた第13回ASI世界最優秀ソムリエコンクールの準決勝でこのアグラフで留められたシャンパーニュの抜栓の課題が出題され、開け方がわからずに時間切れになった選手が続出したことは有名な話。世界大会に出場するようなソムリエでも経験がないと手こずる難敵。

(*2) ナポレオンはシャンパーニュを愛したことでも有名。「シャンパーニュは勝利の時には飲む価値があり、敗北の時には飲む必要がある」との名言を残している。

連載Vol.01   「ワインスクールは受験や就活と同じく真剣に選ぶべし」
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連載Vol.08   「古酒は小さなグラスにちょびちょびと注ぐべし」
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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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