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2019.05.31

ワインを愛するならまず「ワインセラー」を買いなさい。

5,000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

梅雨入りする前に真夏になったような暑さですね。少し甘口のシャンパーニュに氷を入れて飲みたい気分です。さて、前々回、前回と「ワイン会の掟」として持参ワインの選定方法を考察しました。今回、ワイン会の掟はちょっとお休みし、ワインの保管がテーマです。
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ワインスクールにも慣れ、いろんなワイン会へのお誘いもかかるようになったあなたは、ワイピ(ワインピープル)界のデビュタントとして、ウィーン国立歌劇場でのオーパンバルの階段を順調に昇っていると言えるでしょう。でも、ワイン会の予定が決まってからワインを買うのは、パーティーの招待状が来てからタキシードを調達するようなもの。ワードローブにフォーマルウエアを数着常備するように、常に一定のワインをストックしておくのが上級ワイピへの道です。

そこで必要なのがワインの保管場所。新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室に入れておいてもよいですが、本数が多くなると野菜が保管出来ません。それに、近い将来必ず遭遇するマウンティングワイピ(*1)対策としても、ワイピランクアップのためにも自分専用の保管場所確保は必須です。
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(*1) 他の分野におけるマウンティングと同様、ワインに関して自分の知識・経験・能力などの優位性を相手に示そうとする人のこと。初対面のワイピ同士の儀式と化している感もあり、人によってはワイピランクアップを実感する至福の時だったりします。代表的なマウンティングワイピの類型は次の通り。

【コレクション自慢型】
ワインの所蔵本数、ワンセラーの立派さ、所蔵しているレアワインなどを誇示。

【経験値自慢型】
xxxx年(古いヴィンテージ)のワインを飲んだことがある。〇〇年前からワインを飲んでいる。昔は△△のような超高級ワインが□□円で飲めた。◇◇年前にこんなラインナップのワイン会を開催したことがあるなど。

【資格・タイトル自慢型】
日本ソムリエ協会やWSETの資格を有している、有名ワインスクールの有名講師のクラスに通っている(いた)、「〇〇騎士団」などワイン産地の振興団体からメダルをもらったなど。

あなたが初級ワイピなら、まずは収納本数30本程度の小型セラーを自宅に置きましょう。ワインショップやネットで見つけたお気に入りワインが複数届いても取り敢えずは大丈夫です。

ワインのインポーターの特別セールやワインオークションに誘われるようになったあなたは中級ワイピですね。収納本数100本以上の大型セラーに買い替えましょう。場所を取るので既婚者の方は奥様の顔が怖くなるの覚悟です。セラーのスペースに余裕が出来ると無性に埋めたくなるので気をつけてください。リビングが大きいと大画面テレビを買ってしまうようなものです。

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上級ワイピになると、旅行先のパリのワインショップでもケース単位でワインを購入、空港の税関申告でも毎回免税枠を超過して納税(*2)するようになります。また、カルトワイン(*3)のメーリングリストにも名を連ねることでしょう。大型セラーを複数購入し、一部はマグナムボトル(*4)の保管専用にするなどマニアックさも一流に。設置場所も自宅では足りず、自分の会社のオフィスに置いたりとか。さらには、倉庫会社のワイン保管専用スペースもレンタル契約します。

ちなみに、筆者はここ10年くらい、都心に賃借した倉庫と郊外にある別荘の2か所にそれぞれ空調完備の地下セラーを設計し、保管しています。友人の大御所上級ワイピ達も似たような感じです。以前はワインイベントなどでワインセラーのセールスマンに「セラーを何個お持ちですか? 足りないのでは? ぜひ弊社の製品を!」と勧められましたが、「セラーですか?一応2ヶ所ほどあります」と答えているうちにもう声をかけられなくなりました。 あれ!?  もしかして典型的なコレクション自慢型マウンティングワイピだった(笑)?

(*2) 税関のHPによれば海外旅行者の免税範囲は成人一人あたり酒類(760mlのもの)3本。これを超過するごとにワインの場合は200円/リットルの簡易税率が適用されるので、4本目からは超過1本(750ml)当たり150円の納税となる。

(*3) 1990年代にカリフォルニアで誕生した言葉とされる。ナパ・ヴァレーで造られる極少生産の高品質・高級ワインのことを指し、代表的なものとしてスクリーミング・イーグル、ハーラン・エステートやコルギンなどがある。現在はナパに限らず、比較的歴史が浅く、生産本数が少量で、世界中のワインコレクターが争奪戦を繰り広げる「超レアワイン」を指す言葉としてやや広義に使われることもある。

(*4) 通常のワインボトルが750mlであるのに対し、1,500mlサイズのものをマグナム(magnum)ボトルという。通常ボトルに比べて熟成のスピードが緩やかで長期保存に向いているとされることもあり、特に欧米では人気。価格的にも750mlサイズと比較して量は2倍なのに値段は2.5~3倍などのケースも散見されるので日本酒や焼酎と違って「大容量ボトルは割安」の常識が通用しない。

● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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