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2019.07.12

あなたはなぜワインを飲むのか?と聞かれたら。

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

みなさん、今年の夏はどのように過ごす計画ですか? 
私は南フランスへワインの旅を計画しております。さて、今回もワイン会の掟から離れ、「ワインの楽しみ方」について考えてみましょう。

突然の質問ですが皆さんは何が目的でワインを飲んでいますか? 
このような大上段に構えた質問は、高校生の時に先生から「君たちはなぜ勉強するのか?」「なぜ大学に行くのか?」と聞かれて以来でしょうか? 
答えは人それぞれのはずで、いろんな動機でワインを楽しむワイピ(=ワインピープル)がいて当然です。

「ワインの味わいが好きだから」
「いつか自分でワインを造ってみたいから」
「ワイン産地の旅行の思い出が忘れられないから」

もちろん、このコラムのタイトルにもあるように「カッコよくワインを飲んで女子にモテたいから」もアリです。ひとつに絞るのも難しいですよね。私ですか? うーん。最初はグルメ探究心や好奇心で飲み始めましたが、今はワインの背景にある歴史・文化・風土がたまらなく好きだから、でしょうか。何と言ってもワインの歴史はヨーロッパを中心とした人々の生活史そのものですからね。
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あなたはなぜワインを飲むのか?

今回、みなさんにお伝えしたいのは、ワインの楽しみ方は十人十色、自分なりのワイピスタイルを発見して楽しむのが一番ということです。
「何を当たり前のこと言っているの?」「そんなの分かっていますよ!」と言うアナタは、ワインを熱心に追求するあまり自分のワイピスタイルを他人に押売りする熱血コメント強要ワイピや、スタイルの違うワイピを認めなかったりする特定偏愛ワイピに遭遇したことがありませんね。以下に私が実際に遭遇した例を挙げますので、ぜひ注意していただくとともに、あなたの周りにもこういう人がいないか考えてみてください。

実例1:熱血コメント強要ワイピ
自分が飲んだワインのテイスティングコメントをつける習慣を重視するあまりに、他人にも同様の要求をするワイピです。テイスティングのトレーニング目的ならばともかく、通常のワイン会で参加者にテイスティングコメントを強要したり、テイスティングコメントの記載がない写真だけのSNS投稿をディスったりします。飲んだワインの印象を簡潔に表現できるのは素晴らしい能力ですが、教えて欲しいと頼まれてもいないのに押売りするのは考えものです。

実例2:資格至上主義ワイピ
ワインエキスパート(*1)やWSET(*2)などワインの資格試験に合格したてのワイピに多く見られます。資格を保有していない初級ワイピが高級なワインを飲んでいたりすると「資格もなくワインの味も分からないのに……」と自分の資格保有をアピールしてマウンティングします。ワインの資格試験では高級ワインを味わう能力は問われません(受験料の採算が合いません)し、資格がなくとも高級ワインを飲み慣れている強者上級ワイピはたくさんいるので、その主張はまったくの的外れ。大抵の場合、自分がそのワインを飲めないことへのやっかみです。このタイプはもしかすると、ブランド大好きで進学校・有名大学・大企業信仰なのかも知れませんね(笑)。

実例3:特定分野偏愛ワイピ
「イタリアワインが好き過ぎて」など、特定の生産国や地域、もしくはワインへの思いが強過ぎることの反作用として、それ以外のものを認めず、リスペクトしないワイピです。自分が偏愛することは、自身のワイピスタイルだから良いとしても、他人の気分を害する発言は感心できません。この例で言えば「イタリアワインが好き」は良いとしても「イタリアワインしか飲むに値しない」などと言って他のワインを口にすることすらもパスしたりすると、友達をなくす原因になりそうです。同様に「ワイン以外のお酒は飲まない」と言って他のお酒(例えば日本酒)をリスペクトしないワイピも困ります。自分が好きなものへの想い入れは良いとしても、それ以外のものを貶める言動は慎みたいものです。

ワインというお酒は奥が深く、知識や経験を積み重ねるとより楽しめます。その反面、自己のワイピスタイルを他人にも強要したり、価値観に合わないものを上から目線で否定したりすると、これだからワイン通は面倒くさいと思われ「ウザいワイピ認定」を受けかねません。私自身も含めてですが自戒したいものです。
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(*1) 一般社団法人日本ソムリエ協会が認定するワインについての呼称資格の一つで正式名称はJ.S.A.ワインエキスパート。酒類・飲料に関連する職業に従事する人を対象とするJ.S.A.ソムリエと違い、満20歳以上であれば職業・経験不問で受験資格がある。このため結果としてワイン愛好家が目指す資格となっている。2018年時点での資格保有者累計は約15,000人で、このうち約6割が女性。

(*2)ロンドンに本部を置く世界最大のワイン教育機関で正式名称はWine& Split Education Trust(WSET)。ワインに関する認定資格であるLevel 1~Level 4 Diplomaのほか日本酒に関する認定資格も実施。

● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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