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2020.04.15

ワイン資格の世界頂上決戦を目指してみる⁉

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

CREDIT :

文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

いよいよゴールデンウィークですが、今年は例年と様子が違いますね。緊急事態宣言はもう少し延長されそうでしょうか?

さて、今回も引続きワインの資格について見ていきたいと思います。前回は主に日本ソムリエ協会が認定している、いわゆる「国内資格」について見ていきましたが、今回は海外の団体が認定する「国際資格」を中心に考えていきましょう。

モテるワイン道入門~ワインの海外資格編

ワインの国際資格で最初に思い浮かぶのは何と言ってもWSET。
The Wine & Spirit Education Trust Awardの略称で、日本ではダブリュセットと発音することが多い(英語圏ではダブリュ・エス・イー・ティーとそのまま読む)ようです。
1969年設立のロンドンに本拠を置く同名の非営利団体が、世界70カ国以上において、5以上の言語で試験を実施し、資格認定しています。

具体的なワインの資格としては、
Level 1 Award in Wines
Level 2 Award in Wines
Level 3 Award in Wines
Level 4 Diploma in Wines

の4種類。

Level 1からLevel 3までは日本語でも受験可能ですが、Level 4 Diplomaは英語のみの試験になります。
また、Level 3とLevel 4は筆記試験に加えてテイスティングもあります。最高峰のLevel 4 DiplomaはD1〜D6という6つの科目にすべて合格する必要があり、通常取得するのに18ヶ月〜3年を要すると言われています。合格者は「DipWSET」の称号を名乗ることが出来、全世界で通用します。ディプロマの合格者数は世界で10,000人程度、日本人のデータはありませんが100人以下ではないでしょうか。

このさらに上にあるのが、ワイン界の最高資格と言われるマスター・オブ・ワイン(Master of Winei=MW)です。まず、MWの選考プログラムに申込むためには最低でも上記のDipWSETが要求されます(他には醸造学、栽培学、ワインビジネスなどワインに関係する分野の修士もしくは学士)。

プログラム開始後はStage 1、Stage 2と研修や課題をこなして試験(理論・実技)に合格し、Stage 3でリサーチ・ペーパー(論文のようなもの)が認められてやっと最終合格という気の遠くなるような道のりです。
全世界で400名程度しかいませんが、ワインの世界におけるその神通力は大変なもので、英語だとJohn Smith MWというふうに名前の後にMWの称号をつけて紹介されます。2015年、大橋健一氏が日本在住の日本人として初めてMWに合格したのをご記憶のワイピも多いのではないでしょうか?
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ここまでご紹介したWSETやMWはソムリエというよりは、ワインのビジネス分野に重点をおいた資格です。では、ワインのサービスを中心としたソムリエの資格で国際的なものはないのでしょうか? 
前回ご紹介したA.S.I. International Sommelier Diplomaもそうですが、もうひとつつ難関資格があります。
それがMaster Sommelier(MS)です。MWがワインの最高峰資格なら、MSはソムリエの最高峰資格とも言うことができます。1969年にやはり英国で最初の試験が行われました。

現在はアメリカとオセアニアにも支部を持つ国際資格で、
Introductory Sommelier Certificate
Certified Sommelier Examination
Advanced Sommelier Certificate
Master Sommelier Diploma (MS)

の4段階に分かれています。

最上位のMSは世界に約200人しかいない希少資格です。私の知る限りですが、日本国内にはMSはいません。日本人という意味ではオーストラリア在住の高松 亨(とおる)氏が2019年に最年少で合格して話題になりました。また、アメリカ国内でよく知られている資格であるためか、MSの試験が如何に難しいかを題材にして映画もたくさんあります(*1)
また、少し趣向は変わりますが、ワイン生産国に一国に特化した資格として一般社団法人 日本ドイツワイン協会連合会がドイツワイン基金 (DWI、Deutsches Weininstitut GmbH)と共同で認定するドイツワインケナー、上級ドイツワインケナーという資格があります。認定書には連名でDWI総裁が署名する、いわば本国お墨付きの資格で、認定者は累計で約1,600名(上級ケナーは約420名)です。試験ではドイツワインについてだけではなく、ドイツの歴史や文化に関する幅広い見識が問われます。

資格やタイトルは、あくまで目安に過ぎません。それを目指して勉強に励むのもよいですが、ワイピにとって一番大切なことはワインのことを知り、ワインに敬意を表し、友人や家族と楽しく、おいしく飲むことでしょう。自宅にいる時間が長くなる今、ワイピの在り方も今までと少し変わってきているのかもしれません。
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連載Vol.25   「ワイン好きなら気になる、ワイン資格の基本とは?」

(*1)『SOMM』、『SOMM: Into the Bottle』、『SOMM 3』、『ワインは期待と現実の味』(原題:Uncorked)など

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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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