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2019.03.22

ワインスクールは受験や就活と同じく真剣に選ぶべし。

5,000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

はじめまして、吉川慎二と申します。外資系証券会社勤務の後、シンガポールで投資会社を経営、現在は経営コンサルタントをしながら日々ワインを楽しむセミリタイア生活です。

ところで……ワイン好きってウザくて、面倒じゃありませんか?
聞きたくもないウンチクを言ったり、高級ワインを飲んだぞと自慢したり……そんなお騒がせながらも憎めないワイン愛好家たちをここでは自戒をこめて、パリピならぬ、ワイピ(ワインピープル)と呼ぶことにします。このようなワイピからの被害を未然に防いだり、はたまた無意識のうちに加害者になっていたりすることのないよう、このコラムを読んでしっかり対策を立てましょう。

そもそも、ワイピとはいかに生まれ、養成されるのでしょう? 結論から言うと、ワイピのウィルスが最も多く蔓延しているのはワインスクールです。スクール未経験の独立系自己流ワイピも存在はしているものの、かなり少数派。都心にある有力ワインスクールで感染し、発病するケースがほとんどです。かく言う私も、ご多聞にもれず10数年前にこの路を辿りました。それ以来、泥沼を抜け出すどころかどっぷりとハマっており、いまやかろうじて首だけ出している状況です。まずはこの連載第1回で、ワイピの主要産地たるワインスクールについて学びましょう。
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ワインスクール選びが、その後のアナタのワインライフを左右する。

ワインを勉強してみたい。自己流で三日坊主になっても困るし、ワインスクールに通おうかと検討しているあなた、ちょっと待った! 各校のスクールカラーを理解せずに申込むと、こんなはずではなかったと後悔しますよ。

大学受験や就職活動と同様、自分にあったスクール選びが大切です。それどころか、大学や就活と違い、ワインスクールがあなたの入学を断ることはまずありませんから、あなたが目指すワインのライフスタイルに基づいた学校選びが大切なのは、受験や就活以上かもしれません。

インターネットなどで検索すると多くの情報が出てきます。大手と言われる有力ワインスクールから、カルチャーセンターやレストランでこじんまりと開催しているものまで多種多様です。内容や方針を吟味し、そこに通うあなたをイメージしながら決めましょう。例えば大手校を見ても次のような特徴がそれぞれあります。

・ A校は講師にも生徒にも芸能人がいて、セレブ感満載。華麗で派手な校風のイメージがあり、女子クラスメイトのバーキン率は一番高いかも。これであなたも上流社会の仲間入りです。

・ L校はワインエキスパート(*1)などの資格試験対策に強く、親身になってくれる講師が多いとの評判です。地方から通う素朴な生徒さんも多く、華やか過ぎるのは苦手だと言う方には向いているかも。ベルルッティのシューズにフランクミュラーの時計だと目立ち過ぎるかも知れません。

・ 山の上にあるT校はガチでワインを極めようとするオタク系ワイピも多く、強者揃いだとの評判です。ブラインドティスティングなどのイベントも盛んに行われているようです(*2)。

(*1) 一般社団法人日本ソムリエ協会が認定するワインについての呼称資格のひとつで、正式名称はJ.S.A.ワインエキスパート。酒類・飲料に関連する職業に従事する人を対象とするJ.S.A.ソムリエと違い、満20歳以上であれば職業・経験不問で受験資格がある。このため結果としてワイン愛好家が目指す資格となっている。2018年時点での資格保有者累計は約15,000人で、このうち約6割が女性。ちなみに、筆者は2018年2月まで同協会の理事を2期4年にわたり務めていた。

(*2) ボトルやラベルを隠すなどして、ワインに関する情報を持たずにテイスティングをするスタイルのことを指す。感覚が情報により左右されるのを防ぎ、純粋にワインの外観、香り、味わいなどからワインを分析するのが本来の目的とされるが、競技やゲームとしてぶどう品種や生産地、ヴィンテージや銘柄などをどれだけ正確に言い当てられるか競われることも多い。

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ワインスクールの基本は座学とテイスティング

ワインスクールのクラスの時間帯は平日昼・夜、休日などさまざまです。平日昼のクラスは自ずと主婦や、夜仕事がある飲食店勤務のソムリエが中心になります。平日の日中勤務しているビジネスマンであれば、一般的なのは平日の夜です。その場合、女性の割合は半分からやや多い程度。リッチそうなマダムもいれば、バリバリのキャリアウーマンらしき方もいます。職業不詳のミステリアスな女子に遭遇することも。
クラスの内容は多種多様ですが、概ね前半が座学、後半がテイスティングです。
座学は講師の先生がスライドや写真を使って講義をしてくれます。最初はチンプンカンプンでも辛抱強く聞いていると、ワインを良く知らない女子に自慢できるネタがあれこれ落ちているかも知れません。

後半のテイスティングは、ワイングラスを自分で運んで、順次ボトルをまわして自ら注ぐ方式と、スクールのスタッフが既に注ぎ分けたグラスをトレイに乗せてサービスしてくれる方式がありますが、後者の方式は、高級ワインを飲むクラスに多いようです。きっと自分だけ多く注いだり、自分のグラスの量が少ないとかクレームを言ったりするトラブルにならないように、バックヤードでキッチリと測っているのだと思われます。

授業中にテイスティングするワインは飲み込まず、各自大きめの紙コップに吐き出します。日本語では吐器(とき)と呼ばれていますが、スピトゥーン(Spittoon)と、英語で言った方がスマートな印象があります。
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ワインスクールに通いたての人は、ワイングラスを回す練習をしたがります。ゴルフを始めたてのサラリーマンがミッドタウン前でタクシーを待っているときにシャドウスイングをするようなものです。ワイングラスを回す必要があるかどうかは、ワインのタイプや若さ、グラスの形状、温度などによって違いますし、最近はあまりグラスを回さないのが主流なのですが、始めたばかりの人はそんなことお構いなしです
ゆえにグラスの回し方から、その人のワイピ度がわかるかもしれませんね。

・ テーブルの上にグラスを置いて、ひっきりなしに回している。ワインがなくなると水のグラスまで回す。→ 初級ワイピ
・ 片手で持って、(右利きの場合)反時計回りにビュンビュン回す。→中級ワイピ
・ ほとんどグラスを回さない。回すとしても、最初に香りを取るときに軽くエレガントに1-2回だけ。→上級ワイピ

……という具合に。あなたはこのうちどれでしょうか? 水の入ったグラスまでグルグル回してしまったり、ワインを飛ばしてこぼしてしまうなら、いっそ回さないほうがいいのかもしれません。

吉川慎二/Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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