2019.12.13
女性の気持ちは高級ワインでは買えません。
5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。
- CREDIT :
文・グラフ/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)
過去記事に引き続き、今回もモテるために避けるべきNG行動について考えていきます。モテたいと思って努力しているあなたがNG行動をとるのは、ダイエットのためにランチを軽めにしたのにおやつにタピオカミルクティーを飲んでしまうくらい残念なこと。ぜひ気をつけてください。
モテるワイン道~NG行動を避けよう!
それNG行動ですよ。
【対価を求めてワインをふるまうべからず】
物々交換、ギヴ・アンド・テイク、Quid Pro Quo(*1)などなど、何かにつけて見返りを求めるのが人間の性ですが、ワインをご馳走したことに対価を求めるのはモテない道への一直線、NG行動です。
対価の求め方は個人差もあり、例えば「高価なワインを飲ませるのでお泊まり旅行しよう」という大胆不敵なもの(こんな手でなびく女子はまずいません笑)から、「貴重なワインイベントに連れていくので二次会でデートして欲しい」といった控え目なものまで、さまざまです。
ここで重要なのは、対価を求めてワインをふるまうこと自体がNGだということ。あなたが、ふるまったワインの「奮発度」と相手に要求する行動のバランスをどう考えるかなど、お相手には関係のないことです。
「こんな(高級な)ワインをご馳走してあげたのだから…」と、期待するそぶりを見せた時点でアウトです。理由は簡単。モテるには相手に好意を抱いてもらうことが必要ですが、対価を求めるあなたはお相手の気持ちをワインで買おうとする下心が見え見えです。そんな相手に好意を抱く異性(同性もですが)がいるわけありません。今まで多くのモテワイピを見てきましたが、彼らに共通しているのは見返りなどおくびにも出さずスマートに純粋にワインを振る舞う姿勢です。誰の目から見たってカッコいいわけで、だからこそモテるのです。
過去記事のワイピ係数αを読み返していただいた方が良いかもしれません。ワイピ係数α>3.0の危険ゾーン女子に捕獲されている可能性があります。このタイプの女子はワイピ界に一定の割合で棲息し、日夜ハイエンドワインにありつくことだけを目指してワイン会・ワインパーティーに出没します。ご馳走になることを目的としているだけあって、かわいくて魅力的、ノリもよく、自慢話も嫌な顔せずに聞いてくれますので一緒に飲むには言うことなしです。ゆえに、ぼくってモテてる? と錯覚してしまいがちですが、残念ながら彼女らのお目当てはあなた自身ではなく、あなたのふるまう高級ワイン(もしくはお財布)です。そのように割り切ってしまえば楽しくワインを飲めるよい仲間なのですが、一歩間違うと怖い目に遭いかねないのでくれぐれもご注意を。
彼女達はワイピ係数αが危険ゾーンまで高いだけあって、何と言ってもワイン命、その貪欲さはモン・サン・ミッシェルの流砂くらい手強いです。特にあなたがそのワイン欲を満たせなくなった時が要注意。下手をするとあなたが他のワイン会やイベントで飲んだワインなどもSNSで調べあげ、「あなたが口にする高級ワインは全部私に飲ませて!」とブラックホール化しかねませんので最大限の警戒が必要です。
今回のNG行動、身に覚えはありませんか? やはり、対価を求めてワインを振る舞うのは自戒するのが良さそうです。
(*1)
Quid Pro Quo(クィド・プロ・クォ)はラテン語で交換条件や見返りの意。英語表現でも使用され、トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐるやりとりにも頻繁に登場した。
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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa
1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。