衝撃の連続!? 知られざる魅力溢れるエチオピア料理店

本誌LEONでYULI*YULIとして16年間にわたり、あらゆるジャンルのレストラン＆バーを取材してまいりました“デート・コンシェルジュ”(略してデーコン)こと、渡辺ゆり子が、本当にデートで使えるお店の選び方をわかりやすく御指南します！

フレンチ、イタリアンはデート先として鉄板だけど、その他の国のレストランも知っておくとグルメな女性に対して変化球になるし、経験としてもソンはないかと。

今回ご紹介するレストランは、1990年に日本で初めてできたエチオピア料理のレストラン。いまでは他に２〜３店舗あるようですが、本格的なエチオピア料理はコチラが唯一だそう。
 
エチオピア、アフリカ大陸のどこに位置するか、知っていますか？ ほとんどの方がエチオピアのイメージがスッと浮かばないのではないかしら。ましてや料理となると、食べたことのある方は少ないはず。
 
では、エチオピア料理の旅へ、ご案内しますね。

場所は、目黒区・東山。山手通りを中目黒から池尻大橋方面に向かって７〜８分ほど歩いて左手の角地の地下１階。目に飛び込んでくるアフリカンな装飾が異空間に来たことを教えてくれます。

店内を彩る装飾品は、オーナーのソロモンさんが生まれ故郷のエチオピアから持って来たものがほとんど。可愛い壁画も気分を盛り上げてくれます。
 
特筆すべきは、なんとお手洗いの壁にもキュートな絵が！ ソロモンさんが「トイレに入るとみんな、なかなか出て来ない」と笑うのも納得です。

きっとみなさんも食べたことのない興味深いお料理がいろいろとあったけれど、ソロモンさんに代表的なものを選んでいただきました。

まずは、エチオピア料理の入門編として食べていただきたい、盛り合わせ。お皿代わりに敷かれたクレープのようなものは“インジェラ”と呼ばれる主食で、付け合わせにも提供されます。イネ科の植物テフの実を粉にして発酵させてから作るコチラ、鉄分、カルシウム、タンパク質を多く含み、グルテンフリーでもあるスーパフードなのです。

上に載っているのもそれぞれ、エチオピアの伝統的な料理で、それぞれ、作るのにかなり手間暇がかかるのだとか。真ん中に盛られているのは、“カイワット”と言われる辛口のビーフシチュー。その周りを、ほうれん草のシチュー、“インクラル”というエチオピア風スクランブルエッグ、ラムのシチュー“ヤベグアリチャ”が囲っていて、どれもスパイスがたくさん使われています。
 
インジェラを手でちぎり、具の上にかぶせるように置き、挟んで手で食べるのが本式。確かにこれだと手が汚れませんし、少々酸味のあるインジェラと具が美味しいハーモニーを奏でる感じが分かります。

壁に飾られている絵にもエチオピアの人々が仲間同士で集まってインジェラを食べている風景が描かれています。お店で出てくる盛り付け用のカゴも、絵と同じような感じね。

ダチョウのお肉も未体験の方は多いと思うけれど、実はコレステロールがゼロ。歯ごたえがしっかりしたお肉は、“カンジテーズ”というマヨネーズのようなソースをかけていただきます。

カボチャ、人参、ブロッコリー、玉ねぎ、トマト、ズッキーニ、そしてヒヨコ豆など、野菜たっぷりのクスクス。エチオピアの唐辛子を加えたトマト味です。他にも野菜が多く使われたお料理が多いのですが、地中海沿岸部を除いたアフリカ大陸のなかで野菜の栽培が伝統的に続けられているのは、エチオピアくらいなのですって。エチオピア料理、思ったより、かなりヘルシーです。

ボトルも可愛いエチオピアのお酒。いちばん右の名物ハニーワインは、世界最古のお酒なのだとか。滋養強壮にも良く、古代ゲルマン人のカップルは結婚して1カ月は蜂蜜酒で子作りに励む習慣があったと言われ、ハネムーンの語源となった説もあります。そして、コニャック、ウーゾが2種類。その他、ビール、ワインなどお酒は色々と揃えています。

オーナーのソロモンさんは、農業を学ぶために日本へ留学に来ました。その後、国からエチオピア文化を日本へ広めるためにレストランをやって欲しいという要望に応えてこの店をオープンしたのだそう。

エチオピアはアフリカのなかで唯一、他国支配を受けていないことから独自の文化が色濃く残っているそうです。ソロモンさんにファミリーネームを伺ったら、「ないよ」と衝撃的なお返事が。エチオピア人には、名字がないのですって！ まだまだ知るべきことがエチオピアにはたくさんありそうです。

毎週金曜日にはアフリカンミュージックのライブ演奏もあり、かなり盛り上がるそうですよ。お客さまはかなりインターナショナルで、英語が「クイーンシーバ」の公用語のようですが、とてもフレンドリーな雰囲気。まだエチオピア料理は未体験という方、彼女と一緒に気軽に楽しんでみてね。

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