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2026.04.25

【LEON本誌連動企画】

「Florilège」(フロリレージュ)で肉の達人が“設計”する、究極の旨みの引き出し方とは?

LEON3月号「本能で愉しむ美味しい肉」特集のスピンオフとしてお届けする当企画。東京・虎ノ門に構える現代フレンチの旗手「Florilège」(フロリレージュ)をご紹介します。 誌面では紹介しきれなかったのは、料理そのものの美味しさだけではありません。フレンチの新時代を担うフロリレージュを率いる川手寛康シェフが、一皿の中で火をどう設計し、どう旨みを組み上げていくのか。その料理が完成する“工程”を、もう少し近くで覗いてみましょう。

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写真/椙本裕子 文/橋本慎司 編集/渡辺 豪(LEON)

肉の達人、川出シェフの仕事を見る

LEON3月号「本能で愉しむ美味しい肉」特集のスピンオフとしてお届けする当企画。東京・虎ノ門に構える現代フレンチの旗手「Florilège」(フロリレージュ)をご紹介します。


誌面では紹介しきれなかったのは、料理そのものの美味しさだけではありません。フレンチの新時代を担うフロリレージュを率いる川手寛康シェフが、一皿の中で火をどう設計し、どう旨みを組み上げていくのか。その料理が完成する“工程”を、もう少し近くで覗いてみましょう。

フロリレージュを率いる川手寛康シェフ。目の前のカウンターでは調理がライブのように進む様子を楽しめます。

▲ フロリレージュを率いる川手寛康シェフ。目の前のカウンターでは調理がライブのように進む様子を楽しめます。

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麻布台ヒルズの一角。エレベーターを降りて扉が開いた瞬間、空気がすっと切り替わります。視線の先にあるのは、食事を“ターブルドット(ゲスト全員で一卓を囲むスタイル)”で楽しむフロリレージュの大きなテーブル。距離が近いからこそ、焼ける気配や香りが先回りするかのように食欲をくすぐるのです。


カウンターでは仕込みから仕上げまでが途切れなく進み、皿が一つ、また一つと組み上がっていく。そんな臨場感も、こちらの胃袋を刺激します。

まずは“焼きの香り”で、食欲のスイッチを入れる

お肉料理の外側となるロースはジャーキーのように軽く炙って香ばしく艶やかな表情に

▲ お肉料理の外側となるロースはジャーキーのように軽く炙って香ばしく艶やかな表情に。

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川手シェフが見せてくれたのは、鹿児島牛の赤身を使ったコースのメインとなる肉料理。煮込んだ牛タンを包む“二層構造”で仕上げているのが特徴です。


まず、煮込みを包む外側のロースは、サラマンダーで軽く炙ることで脂が浮き出て食欲をそそる艶やかな表情に仕上げられています。


「鹿児島牛の赤身を使ったこちらの料理は、煮込んだ牛タンを包む“二層構造”で仕上げています。外側はロースに塩とトレハロースを振って風に当て、3〜4分乾燥させてからサッと炙り、ジャーキーに。最後はサラマンダーで軽く火を入れることで、旨みがギュッと凝縮されて香りと食感を立たせます」


“焼き”の役割は、味の導火線。まず香りでスイッチを入れ、次に噛んだ瞬間の食感でお肉の旨みを届けます。

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煮込みは2度火入れが肝! 温度の差で、旨みを逃がさない

2回に分けてじっくりと煮込んだタンと少しだけ火入れをした牛ヒレのタルタルをジャーキーに乗せて。

▲ 2回に分けてじっくりと煮込んだタンと少しだけ火入れをした牛ヒレのタルタルをジャーキーに乗せて。

二層の“内側”を担うのは野菜のフォンドボーによる牛タンの煮込み。ここで川手シェフが徹底するのは、火の当て方を2回に分けることです。高温でさっと下ゆでし、二回目は約90度でゆっくりと。沸騰による刺激を与えすぎない温度帯で煮込むことで、お肉の本来の旨みを損なわないようにします。

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フレッシュな風味がアクセントとなるホウレンソウを添えます。

▲ フレッシュな風味がアクセントとなるホウレンソウを添えます。

「中の煮込みは、タンを短時間で高温ボイルし、2度目は約90度で低温のままコトコト。長時間高温で煮詰めると旨みが外へ出てしまうので、2回目の火入れで“中に閉じ込める”イメージです」


煮込みというと“時間”に目が行きがちですが、ここでは“温度の設計”が主役。だからこそ、食感はとろりとほどけるのに、ベタリと重たくならない味わいに。

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中の煮込みを外側のジャーキーでくるりと包むような形に。

▲ 中の煮込みを外側のジャーキーでくるりと包むような形に。

サッと火で炙った香ばしいロースに、とろりとしたタンの煮込みを包むことで、外側と内側で別の食感と風味を楽しめる構造に。


ひと口目は焼きの香ばしさが立ち上がり、続いて煮込みのコクが追いかけてくる。この二層の旨みが“順番”で攻めてくるため、食欲も自然と前のめりに。

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付け合わせは人参とホウレンソウで、口の中を整える

付け合わせには人参とホウレンソウを。濃密な肉の旨みの中に、一息つく余裕を作ります。

▲ 付け合わせには人参とホウレンソウを。濃密な肉の旨みの中に、一息つく余裕を作ります。

味のピークをただ積み上げるのではなく、一息つくポイントもしっかりと用意。人参のムースにゼリーのシートを被せ、まだ実が出る前の葉ニンジンを添える。


さらにホウレンソウのおひたしをギュッと丸めて置く。濃密な肉の余韻に、フレッシュさと“箸休め”を添えて、最後まで食べ疲れしない和牛の一皿が狙いです。

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ジャーキーがソースを補うという発想

野菜のフォンをベースにしたソースは軽やかで、肉の旨みを最大限に楽しめる味わいに。

▲ 野菜のフォンをベースにしたソースは軽やかで、肉の旨みを最大限に楽しめる味わいに。

本来フレンチのソースは、牛の部位で引いたフォンやジュを煮詰め、肉の旨みを凝縮させてつくるもの。ですが川手シェフの煮込みは、牛のフォンではなく野菜のフォンで煮込んでいます。つまり煮込みの土台には野菜しか入っていない。だからこそ、足りなくなりがちな“肉の旨み”は別の方法で補われています。その役目を担うのが、旨みを凝縮させたジャーキーなのです。


「本来はジュやフォンを煮詰めてソースにするのがフレンチの基本です。でも、僕らのフォンには牛肉の部位がほぼ入っていなくて、お野菜しか入ってない。だから別の部分でバランスを取っていかなきゃいけないんです。ビーフジャーキーのように濃縮した部位が、半分ソースとしての役割も持っています。ソースは赤ワインに、少しジャムを入れたものです」

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二層のお肉が口の中で一つになる“到着の瞬間”

カウンターで最後の仕上げが終わり、付け合わせが定位置に収まり、艶やかなソースがお肉の上を流れる。そうしてテーブルへ届いた一皿からは、まず焼きの香ばしさがふわり。ナイフを入れると赤身がジュワッとほどけ、続いて中からとろりと煮込みが現れます。


外側の焼きと内側の煮込みが後を追うように、口の中で順番に広がっていく。和牛の強さは感じつつ、決して重くない。満たされるのに、もう一口が欲しくなる。川手シェフの“火の設計図”は、食欲という本能を最後まで掻き立てるための綿密な計算から生まれているのです。

■ Florilège

住所/東京都港区虎ノ門5-10-7 麻布台ヒルズ ガーデンプラザD 2F

営業/12:00〜12:30(L.O.)、18:00〜18:30(L.O.) 不定休

HP/http://www.aoyama-florilege.jp

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