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2026.02.27

【LEON本誌連動企画】

パリ仕込みで魅せる! 1秒を制する“ステーキ焼きの神技”とは?

LEON3月号「本能で愉しむ美味しい肉」特集のスピンオフとしてお届けする当企画。パリの名店で磨いた“アロゼ”と呼ばれる火入れを駆使する茂野シェフ。その極意は、1秒が成否を分ける一瞬の早業にありました。

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写真/宮本敏明 文/小曽根広光 編集/渡辺 豪(LEON)

日本一の肉焼きシェフとよばれる男

LEON3月号「本能で愉しむ美味しい肉」特集のスピンオフとしてお届けする当企画。本誌でご紹介した京都の「ル・キャトーズィエム」を詳しくご紹介します。

京都御苑近くの河原町丸太町に佇む「ル・キャトーズィエム」。ちょい隠れ家的な佇まいですが、店内にはリラックスしたムードが流れています。

▲ 京都御苑近くの河原町丸太町に佇む「ル・キャトーズィエム」。ちょい隠れ家的な佇まいですが、店内にはリラックスしたムードが流れています。

全国の肉好きから“赤身肉店の究極”とリスペクトされる京都「きたやま南山」。そのカリスマ社長である楠本公平さんに、“ステーキが美味しい店ってどこですか?”と尋ねて紹介していただいたのが、ここ「ル・キャトーズィエム」です。


肩肘張らないビストロといった風情のお店ですが、店主の茂野真さんは“日本一の肉焼きシェフ”とも称えられているとか。これは期待が高まります。

この日、供されていたのは岩手・田村牧場の短角牛。クリミとよばれる希少部位です。

▲ この日、供されていたのは岩手・田村牧場の短角牛。クリミとよばれる希少部位です。

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まな板の上にドンと鎮座するのは、南山から仕入れた折り紙つきの短角牛。クリミという腕肉で、真っ赤な色に目を奪われます。見た目どおり旨みも濃厚ですが、焼くと水分が出やすいため、火入れには高い技術が要求されるんだとか。


「一般的には、薄切りにして焼肉やしゃぶしゃぶで食べられることが多い肉ですね。焼くのが難しいためあまりステーキにはしないのですが、だからこそ茂野シェフの技が生きてくるんです」と説明するのは、取材に同行いただいた南山の楠本社長。そう聞くと、ますます頂くのが楽しみになってきます。

肉の旨みを閉じ込める“アロゼ”の使い手

アツアツに熱したフライパンに肉を入れ、強火で一気に焼き上げるのが茂野流。

▲ アツアツに熱したフライパンに肉を入れ、強火で一気に焼き上げるのが茂野流。

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「遠いところから取材にいらしていただいてありがとうございます」と朗らかに迎えてくれた茂野さん。とっても腰の低い御仁ですが、実はパリの名門「Le Severo」でキャリアを積み、帰国後は東京の肉&ワイン好きなら誰もが知る人気店「祥瑞」でシェフを務めた輝かしい経歴の持ち主。そんな氏の代名詞といわれているのが、パリ仕込みの“アロゼ”です。


高温に熱した油を肉に回しがけながら火入れするフレンチの技法で、“焼き”と“揚げ”のイイトコ取りをできるのが特徴。「強火で瞬間的に仕上げることで、肉の旨みをギュッと閉じ込める調理法です」と茂野シェフは説明します。

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さて、いよいよアロゼの技を拝める瞬間です。「すぐに焼き上がってしまうので、シャッターチャンスを逃さないようにしてくださいね」という南山の楠本社長の言葉に、緊張が走る取材班。フライパンに油をたっぷりと入れ、煙が立つまでしっかりと加熱したら準備完了。まず肉を油に浸して両面を揚げ焼きし、その後フライパンを手前に傾けてアロゼを行っていきます。

激しく炎が立ち登るころには、アロゼもクライマックスに。

▲ 激しく炎が立ち登るころには、アロゼもクライマックスに。

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ジュージューと肉が焼ける音、激しく腕を振るう茂野シェフ。やがてフライパンの上には大きな炎が燃え上がります。ピンと張り詰めた空気が厨房を満たしますが、それもわずか数分間のこと。頃合いを見極めた茂野シェフはすぐさまレードルをトングに持ち替え、香ばしく焼き上がった肉をバットの上へ。パラパラと塩をふりかけると、「これでほぼ完成です」とひと言。いやはや、聞きしに勝る早業でした。

最高に美味しいステーキの焼き加減とは?

これが肉の美味しさを最大化する、理想の焼き加減!

▲ これが肉の美味しさを最大化する、理想の焼き加減!

焼き上がった肉をカットすると、美しい3層を描き出した断面がお目見え。「表面と赤い部分に白っぽい層がありますよね。ここを厚くしすぎないことが非常に重要です。

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火を入れすぎて白い層が増えると、食感が硬くなって赤身肉の美味しさが損なわれてしまいますから。バゲットのように、外はパリッと・中は柔らかに仕上がるのが理想なんです。


とはいえ、火入れが足りなくて中心が冷たくても失敗です。ですから、常に肉の内部までイメージしながらアロゼしていますね」と茂野シェフ。サラッと言ってのけますが、もちろん肉の内部を目で見ることはできません。

味付けはシンプルに塩のみ。それゆえに、「肉ってこんない旨いのか!」と驚かされます。

▲ 味付けはシンプルに塩のみ。それゆえに、「肉ってこんない旨いのか!」と驚かされます。

強い火力を用いるがゆえ、秒単位で焼き具合が変わっていく茂野シェフの火入れ。最適なタイミングをどのように図っているのでしょうか?

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「肉の品種・部位・さらに個体差もあいまって、肉の状態はまさに千差万別。火入れの時間を数値で導き出すことはできません。ですから、まずは生肉を捌いているときの感触で火入れのイメージを掴んでいます。ただ、最終的な判断はやはり火を入れながら行っていますね。油が出す音や泡の変化を手がかりにしつつ、ここだ!という瞬間を見極めて火から上げるようにしています」


かくして完成したステーキは、まさに“美味しい肉”の体現。凝縮された旨みが噛むほど口のなかに広がり、恍惚とするほどの口福に浸れます。ちなみに茂野シェフはワイン好きとしても有名で、氏が厳選した肉に合う美酒も充実。左党な貴兄にも大満足請け合いですよ。

■ Le 14e(ル・キャトーズィエム)

住所/京都府京都市上京区伊勢屋町393-3 ポガンビル 2F

TEL/075-231-7009

営業時間/18:00〜21:00L.O.(土曜・祝日17:00〜21:00L.O.)

定休/水・日曜

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