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2025.09.28

27時間かけて食べに行ったペルーの美味ベスト5

「世界のベストレストラン」ランキングでNo.1 に輝くなど、世界中から注目されているペルー料理。その魅力はどこから? 日本から丸一昼夜かけて飛び、1週間に渡っていろいろ食べ歩いてきました。

BY :

文・編集/秋山 都(編集者・ライター)
CREDIT :

取材協力/ペルー貿易観光投資庁

美食のデスティネーションとして注目されるペルー

ペルー MAIDO 
▲ ペルー、リマの朝市のカラフルな野菜たち。ペルーはジャガイモ、トマト、トウモロコシ、トウガラシ、かぼちゃなど多くの野菜の原産地でもあります。
日ごろ、自分のプロフィールに「おいしいもの、未知なものあらば東奔西走する」というフレーズを使っている私。食欲に導かれればどこまでも出かける軽いフットワークを自認しておりましたが、それにしても今回は遠かった。日本を出国してから米国でのトランジットを含め、27時間……丸一昼夜超をかけて出かけていきましたのは南米、ペルー。遠いけれど、時間をかけて行くだけの価値はある地球の裏側です。
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ペルー 美食の旅 MAIDO
▲ ペルーの代表料理と言える「セビーチェ」を食べていた少女たち。飲んでいるのは、紫とうもろこしなどを発酵させたジュース「チチャ」です。
目指した理由はもちろん美食。ただ、ひと口にペルー料理と言いましても、実はその面積は日本の3.4倍ほどもあり、意外に広いんです。またその地形は高地のアンデス、熱帯雨林のアマゾン、沿岸部のコスタと分れており、それぞれに独自な食文化を持っています。さらに、食材も16世紀にはスペイン人が家畜(牛・豚・羊)と乳製品、オリーブオイルやワインを持ち込み、一緒に連れてこられたアフリカ人たちが内臓や端肉をうまく料理する技術を伝え、さらに19世紀以降には中華系の労働者たちがチャイナタウンを形成したことから、中華×ペルーのチーファ*という独自なジャンルを生み出しました。最近では日系移民の料理人たちがペルー料理とフュージョンした「NIKKEI(日系)」というカテゴリーも誕生させ、今年6月に発表された「世界のベストレストラン50」では、リマのNIKKEI料理店である「MAIDO(マイド)」が栄えある世界NO.1を獲得したことでさらに注目を集めています。
*語源には諸説あります。中国料理を食べるという意味で 吃華かと思いましたが、有力なのは広東語で「ごはんを食べる」という意味の「吃飯」らしいです。
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ターキッシュエアラインズ トルコ
▲ アンデス地方でよく食べられているクイ(モルモット)。姿焼きが定番ですが、このレストランではカットされて出てきたので、肩すかしにあった気分。
そこで、食べに行ってきました、ペルーへ。ただ、日程は1週間ほどでしたので、ペルーをすべて網羅しているわけではありません。行程的にアマゾンへは行けませんでしたし、あくまで限定的に見聞きし、食べた経験のなかではありますが、ペルーの美食の「ここがスゴイ!」を5つの観点からご紹介したいと思います。

01.世界NO.1のレストラン、その実力は?

美食の国、ペルーで今一番の注目株がこちら。「MAIDO」は日系人シェフであるミッチャンこと、ミツハル・ツムラさんがリマの新市街であるミラ・フローレス地区*に2009年にオープン。「世界のベストレストラン50」ランキングには2015年に初登場後、例年ランクインしていましたが、2024年には世界第5位、そして今年はついに世界第1位となった、今、世界の美食家たちが一番行きたいレストランだと言えるでしょう。
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そんな「MAIDO」でのランチ・エクスペリエンスと言えば……圧巻。「マイド~!」という威勢のよい掛け声に導かれて入った店内は傍らに鮨カウンターを思わせるオープンキッチンもあり、海外の高級和食店に来たかのようなイメージでしたが、料理はペルーの食材、料理法に日本料理のアレンジを利かせた、唯一無二のものでした。聞けば、ミッチャンは米国で料理を学んだあとに、大阪で日本料理の修業を3年ほど積んだとのこと。なるほど、出汁の使い方や繊細な盛り付けなど、日本料理の影響を大いに受けたことを感じさせます。世界No.1ということもあり、予約はかなりとりにくいようですが、27時間かけてリマまで行ったんだもの、挑戦するべきでしょう。
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02.ペルーの代表料理と言えば?

日本料理と言えば、寿司、天ぷら、すき焼きなどが海外にも広く知られていますが、ペルー料理と言えば?
まず挙がるのは「セビーチェ」。白身魚やエビ、イカ、ホタテなど新鮮な魚介類をライムなど柑橘の果汁でマリネし、玉ねぎ、唐辛子、ハーブ類と合わせた料理です。柑橘の酸によって魚介のタンパク質が変性し、旨味を増すのですが、その果汁と魚介の旨味が浸み出た汁は「レチェ・デ・ティグレ(虎のミルク)」と呼ばれ、二日酔いの特効薬とされています。この汁だけオーダーする人もいるほど人気料理なのですが、日本人の私からすると、冷やし中華の汁を飲むような感覚で、酸っぱいし、ちょっとしょっぱい。
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この日はリマ市内のホテル「HOTEL B」で行われたクッキング・クラスに参加し、白身魚の「セビーチェ」と、ポテトサラダによく似た前菜「カウサ」の作り方を教えてもらいました。この日の白身魚はヒラメとのことでしたが、自宅でやるならホタテがやりやすそう。作り方としてはライム(またはレモン)果汁にニンニク、唐辛子、セロリやパクチーなどを加えたマリネ液(これがレチェ・デ・ティグレの素になります)に魚介をマリネすれば出来上がるとのことで、ごくシンプルです。今度自宅でも挑戦してみるつもり。
ペルー 美食の旅 MAIDO
▲ こちらはリマ市内のシーフード系レストランで出くわした「レチェ・デ・ティグレ」を大きなカップでスープのように飲む人。二日酔いだったのかな。
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03.ペルーのお酒、その代表格は?

ペルー旅行中は高山病が心配なため、あまり多くは飲めませんでしたが、例外だったのがリマでの滞在時。リマはペルーの首都でありながら、海辺にあるので海抜0メートルに近い港町。それゆえに高山病を気にせずに飲めるというわけです。
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ペルーのお酒といえばピスコ。16世紀、スペイン人がブドウを持ち込み、沿岸部でワイン造りが始まった際にワインの副産物としてつくられた、ブドウの蒸留酒です。使用するブドウはアロマティックなモスカテルや穏やかな味わいのクリオージャなど8種に限られ、単一品種でつくる「ピューロ」と、ブレンドの「アチョラード」の2種に大別されます。樽熟成はせず、ステンレスやガラスで保存するため、ブドウ本来の香りが際立つのが特徴。ライムジュースと卵白を加えたカクテル「ピスコ・サワー」はペルーの国民的な一杯ともいえるでしょう。
ペルー 美食の旅 ピスコサワー
▲ こちらは私が日本に持ち帰ったアチョラードタイプのピスコ。行きつけのバーに持ち込んで、「ホワイトレディ」のようなカクテルを作ってもらいましたが、おいしかった!
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04.街中のスーパーシェフ

さて、美食の国としてのペルーに戻りまして……ペルーのガストロノミックなシーンの立役者と言われているのは、「アストリッド・イ・ガストン」で伝統料理を革新し、いまやペルーを代表するシェフとなったガストン・アクリオ氏。さらには東京の「MAZ」を監修し、リマのレストラン「セントラル」で、アンデスやアマゾンの食材を標高別に構成した独創的メニューを展開するヴィルヒリオ・マルティネス氏のふたりが挙げられるでしょう。片や国民的ヒーロー、片や世界の最前衛として知られているふたりですが、今回の旅では残念ながら彼らの料理を味わうことはできませんでした。
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でも特に予約をすることなく訪れた街中のレストランで出会えた料理も、とてもユニークで新鮮に映りました。普通の人が普通に食べているものを知ってこそ、その国の食文化を知ったと言えるんじゃないでしょうか(な~んて……ちょっと負け惜しみっぽく聞こえちゃいますか?)。

たとえば移動中に立ち寄ったドライブインの食堂で出会った魚のスープ「チュペ」。パンが溶け込み、ドロッとポタージュ状のスープには魚貝の濃厚な旨味が溶け出し、最高に美味でした。また、豚バラ肉を皮ごとカリッと揚げて、サツマイモの素揚げと一緒にサンドした「パン・コン・チチャロン」はリマを中心にペルーで愛されているサンドイッチの定番。「サルサ・クリオージャ」と呼ばれる紫玉ねぎとライムのサラダを加えて食すと、サツマイモの甘み、豚バラの塩味、サルサの酸味があいまって、食べ応えも抜群です。
ペルー 美食の旅 パンコンチチャロン チュペ
▲ 食の都として知られるアレキパのピカンテリア(食堂)でランチ。左奥は「セビーチェ」、手前はシーフードと米をトマト、パプリカなどと炊き込んだ「アロス・コン・マリスコス」。
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05.未知の食材との出会い

ペルーが多くの野菜のオリジンであると前に書きましたが、この旅では多くの新しい食材にも出会えました。たとえば芋ひとつとっても、ペルーにはなんと3,000種以上の在来種が存在し、トウモロコシも私たちが日ごろ食べている黄色いものだけではなく、赤、黒、白、紫と色と形のバリエーションが豊かです。
古代からジャガイモやトウモロコシ、唐辛子といった多様な作物を生み出し、世界の食卓を豊かにしてきたペルー。その肥沃な大地と多様な文化が交わる歴史が、いまや革新的なガストロノミーへと結実しているわけですが、その奥深さは1週間の旅で理解できるものではありません。もう1回、いや2回は行きたい! 

食欲が導く旅へ出かけよう!

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