2025.09.19
【トルコ美食紀行・前編】
世界三大料理って、フランスと中国と……あと、どこだった?
世界三大料理は? と聞かれて「フランス料理、中華料理……」と挙げながら、最後のひとつが思い出せない人、多いのでは。正解は「トルコ料理」とのことですが、そもそもトルコ料理ってどんなもの? 1週間かの地で煩悩のままに食べまくってきた筆者が5つのキーワードから解説します。
- CREDIT :
取材協力/ターキッシュエアラインズ
今、トルコ料理が面白い5つの理由とは?

では、世界三大料理は? と聞かれて「フランス料理、中華料理……」と挙げながら、最後のひとつが思い出せない人、多いのでは。私的には日本料理と言いたいところですが、正解は「トルコ料理」とのこと。なんか意外な感じですよね。残念ながらトルコ料理はケバブくらいしか知らない私、これはきちんと食べてみたい……と、俄然興味が湧いてきました。

紀元前にはヒッタイト王国(私はマンガ*で読んだ知識しかありません)があったのもこの辺りですし、それ以前にはチグリス川、ユーフラテス川の流域で花開いた古代メソポタミア文明の影響も大いに残っていたことでしょう。高校時代には日本史を選択していたため、世界の歴史に疎い私ですが、トルコがなんだかすごい国だというのはおぼろげながら見えてきました。やっぱりこれは実際に行ってみないといけませんね。百聞は一見に如かず。

現代のトルコ料理の起源は14~15世紀のオスマン帝国にさかのぼるそうですが、当時は毎夜、美食が並ぶ宴席を繰り返し、健康を害するスルタン(皇帝)が続出していたことから、それを心配した宮廷の医師と料理人が健康維持とアンチエイジングに重きを置き、考案した料理がまだ多く残っているのだとか。
なるほど、たっぷりの野菜にフレッシュなハーブやスパイスを合わせ、ソースにはヨーグルトを多く使うおかげか、軽い食べ心地です。インド料理ほど刺激が強くなく、フランス料理のように重たくない、まさに東西文化の融合といえる料理といえるでしょう。そこで本記事では、私が魅せられた現代トルコ料理の魅力を5つのキーワードから解説したいと思います。
01.酒呑みにはたまらない前菜文化「メゼ」
▲ トルコの西側、エーゲ海に面した都市イズミルのレストラン「Yengec Restaurant」のメゼ。
▲ イスタンブールのレストラン「AZUR」のメゼ。
▲ メゼはみんなでシェアが基本。分け合うことで会話の糸口にもなる、大切なカンバセーションピース。
▲ トルコの西側、エーゲ海に面した都市イズミルのレストラン「Yengec Restaurant」のメゼ。
▲ イスタンブールのレストラン「AZUR」のメゼ。
▲ メゼはみんなでシェアが基本。分け合うことで会話の糸口にもなる、大切なカンバセーションピース。
これは前菜や小皿料理の総称で、食卓を彩る多彩な小品を指すのだそう。ギリシャや中東にも似た文化がありますが、トルコのメゼはさらにバリエーションが豊か。アルコール、特にトルコの国民的な蒸留酒ラク(Raki)との相性も抜群で、酒席の楽しみを盛り上げてくれます。アペタイザーとしてメイン料理の前に食欲を刺激する役割を果たすだけでなく、会話を弾ませ、人と人とをつなぐ役割も担ってくれているようでした。トルコ料理を理解するうえで、メゼは欠かせないエッセンスと言えるでしょう。
02.世界各国の料理の起源がここに?

▲ イスタンブールのフォーシーズンズ・ホテル内「Avlu Restaurant」で出会った「ピデ」。
▲ 舟型にした生地の上に肉や野菜、チーズのトッピングを乗せる「ピデ」。
▲ 窯で焼き上げるのはイタリアと同じ。仕上げにチーズをたっぷりかけていただきます。
▲ イスタンブールのフォーシーズンズ・ホテル内「Avlu Restaurant」で出会った「ピデ」。
▲ 舟型にした生地の上に肉や野菜、チーズのトッピングを乗せる「ピデ」。
▲ 窯で焼き上げるのはイタリアと同じ。仕上げにチーズをたっぷりかけていただきます。
ユーラシアから中央アジアへと南下してきた遊牧民族だったトルコ人たちが、牛や水牛の乳を桶や革袋に入れて保存していたところへ偶然乳酸菌が入り、発酵した「ヨーウルト(トルコ語でヨーグルトの意)」が起源だと言われています。
私たちにとって馴染み深いヨーグルトといえばブルガリアですが、調べたところこの歴史は意外に浅く、1970年に開催された大阪万博に出展していた「ブルガリア館」で、明治乳業の社員がプレーンヨーグルトを試食したことが開発のきっかけとなったのだそうです。本来なら商品名は「トルコヨーグルト」であるべきだったのかも、なんて考えるとちょっと面白いですよね。
03.女性シェフの台頭
▲ 前出「Seraf Vadi」の女性シェフ、Sinem Özlerさん。
▲ イズミルのファーム・トゥ・テーブルなレストラン「Asma Yaprağı Alacati」のシェフ、Ayşe Nur Mıhcıさん(左)。右は息子さん。
▲ イスタンブールの1つ星レストラン「araka」の女性シェフ、Zeynep Pınar Taşdemirさん。後ろの絵が斜めっているのはインテリアです、もちろん。
▲ 前出「Seraf Vadi」の女性シェフ、Sinem Özlerさん。
▲ イズミルのファーム・トゥ・テーブルなレストラン「Asma Yaprağı Alacati」のシェフ、Ayşe Nur Mıhcıさん(左)。右は息子さん。
▲ イスタンブールの1つ星レストラン「araka」の女性シェフ、Zeynep Pınar Taşdemirさん。後ろの絵が斜めっているのはインテリアです、もちろん。

04.華麗なるストリートフード



05.食中に飲む「Raki(ラク)」のおいしさ

でも、国民酒と言われる「Raki(ラク)」がおいしくて、トルコ料理にも合うと感じました。水を入れると白濁するので「ライオンのミルク」とも呼ばれているそうですが、同じようなタイプのお酒にフランスのパスティスやギリシャのウゾ、イラクやシリアのアラックがあります。パスティスやウゾはどちらかというと昼下がりに飲むイメージですが、この「Raki」は食事しながら飲むのがおすすめ。「メゼ」と一緒にちびちびやるのがいいですね。
