2025.05.31

スタイリスト:吉野 誠

装いを洒脱に魅せるワザあり時計術

時計は単なるステイタスアイテムにあらず。装いにしっかり生かしてこそ、お洒落上手と言えるのです。時計を使ったスタイルアップ術とは一体どういうものかを、着こなしのプロが実際のコーディネートを交えてレクチャーします。

BY :

文/長谷川 剛
CREDIT :

写真/鈴木泰之(Studio Log) 編集/長谷川 剛(Table Rock Script)

ちょいクセ時計で重みを加えた極薄コートの着こなし

アクセントある時計を取り入れスタイルを引き締める
大人であれば、それなりに良い時計を持っているのはもう当たり前。そして上級者はその時計を巧みに使いこなすと言います。そう、良い時計をただの自慢のためだけに所有するのは、あまりにもったいない。

日々のスタイルアップに生かしてこそ、お洒落オヤジと胸を張れるのです。そこで今回はスタイル作りの達人が、どのように着こなしに時計を生かしているかをご紹介します。
グレーのトーナルコーディネートが軽快かつハイセンスな吉野さんの着こなし。淡いグレーは軽快にして上品な印象です。
▲ グレーのトーナルコーディネートが軽快かつハイセンス。淡いグレーは清潔で上品な印象を放つカラーです。
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スタイリストの吉野 誠さんはLEON本誌をはじめ、広告やカタログ等でのファッションページを手掛けるベテランスタイリスト。色っぽい大人のコーディネート作りにおける達人であり、時計を取り入れたファッションに関してもマスタークラスです。季節のアウターに合わせて時計スタイルをアレコレ楽しむのが吉野さん流だそう。
薄手のコートはこの季節でも暑苦しくならず、しかもコーディネート感が演出できるもの。単なる軽装に見えないところがポイントです。
▲ 薄手のコートはこの季節でも暑苦しくならず、しかもレイヤード感がさり気なく演出できるもの。単なる軽装に見えないところがポイントです。
そんな吉野さんの春夏シーズンにおけるお気に入りが、薄手コートを軸とした軽やかスタイル。本誌でも「ペラリなコート」と謳い、着こなし提案を展開しましたが、軽さ優先の装いにも適切な時計を加えることで、存在感ある装いが完成すると言います
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「今の時期なら、大人っぽくも軽快なエレガンスを感じさせる、明るいグレージュコートが気分」だと吉野さん。

同じくライトグレーのポロニットとグレースラックスを合わせた着こなしは、クリーンでありながら“軽見え”しすぎない存在感を備えたコーディネートです。

「このコートはMUJI Laboのもの。少しレディス風の色合いですが、それだけに優しい印象が打ち出せます。ペラリなコートの良いところは軽快であるのはもちろん、ロング丈ゆえの存在感があるところ。

暑苦しくない薄着スタイルでありながら、素っ気なく見せないのが特徴です。ポイントはやや大きめサイズを選ぶこと。バサッと羽織ることで存在感も高まりますし、風が吹いたときに広がってイイ感じのシルエットになるんです(笑)」
ヴィンテージ風の味わいあるアラビア数字とコブラ針を用いたロンジンの時計。ストライプのナトーバンドがカジュアルさを引き立てます。
▲ ヴィンテージ風の味わいを持つロンジンの時計。ブラック文字盤が重厚な印象です。
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そんな軽快な春〜初夏のコートスタイルに合わせた時計が、ロンジンのヴィンテージ風自動巻き時計です。大きめアラビア数字の一本は、どこかポップでモダンな印象も感じさせるもの。
十数年前に手に入れたというロンジンのオートマティック。ビンテージ・ミリタリーな文字盤デザインに加え、クッションケースが1930年代スタイルを彷彿させます。
▲ 十数年前に手に入れたというロンジンのオートマティック。ビンテージ・ミリタリーな文字盤デザインに加え、クッションケースが1930年代スタイルを彷彿させるなど、“通”なポイントを押さえています。
「実はコレ、相当昔に手に入れたものなんです。それこそ自分がスタイリストという仕事を始めた初期に、何か一本、ドレスにもカジュアルにも合わせられるものをと探して出会いました。

黒文字盤やコブラ針などミリタリー風の個性を持ちながら、ヴィンテージではなく現代の機能を搭載しているので、日常的に使いやすいところがお気に入り。大きめのケースも相まって、春夏の軽快スタイルの重し役と言うか、アクセント小物としてちょうど良いモデルだと思っています」

ストライプのNATOバンドという組み合わせも気軽な感じであり、春〜初夏のスタイルにマッチしているように見えます。
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軽快で上品なグレーイッシュスタイルに合わせた靴は、ナイキのワッフルレーサー。もちろんカラーも服装に揃えています。スニーカーの導入がコートスタイルを颯爽とした印象に仕上げています。
▲ 軽快で上品なグレースタイルに合わせた靴は、ナイキのワッフルレーサー。もちろんカラーも服装に揃えています。スニーカーの導入がコートスタイルを颯爽とした印象に仕上げています。
「当初はクロコの型押しレザーベルトが付いていたんですけど、その後に、よりドレッシーな時計を手に入れて、このロンジンはカジュアル専用機になりました。それでNATOバンドに替えてから、ずっとこの組み合わせのまま愛用しています。

この着こなしに関しては、ウエア類がグレー系のワントーンなので、どこかに引き締め要素がないとフワフワしてしまいます。黒色時計を挿し色アイテムとして取り入れることで、シックな落ち着き感が生まれます。また腕元だけが浮かないように、眼鏡もブラックに揃えてバランスを取っています」
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なるほど、軽さの中に黒文字盤の時計がピリッと効いています。レザーストラップではなくNATOバンドというのもドレッシーになりすぎず、ちょうど良いヌケ感になっているようです。

そしてせっかくなので、達人スタイリストがこの春夏のために用意した、もうひとつの時計スタイルを紹介していただきました。

青✕白スタイルに洒脱な変化を加えるイエロー時計の妙

ブルーが好きなカラーだという吉野さん。そのトーンで統一した装いは非常に爽やかな印象です。ただし、ベテランらしく随所にプロならではの“仕掛け”が施されているのです。
▲ ブルーが好きなカラーだという吉野さん。そのトーンで統一した装いは非常に爽やかな印象です。ただし、ベテランらしく随所にプロならではの“仕掛け”を施しています。
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鮮やかなストライプのジャケットは、コム デ ギャルソン×ラベンハムのコラボアイテム。左右非対称のアシンメトリック・デザインがアバンギャルドな雰囲気です。そのジャケットを主役にブルーのトーンで構成したコーディネートは、爽やかで若々しさも感じさせます。そんな装いに取り入れた一本が……。

「みなさんご存知のApple Watchです(笑)。やっぱり何かと便利ですから。メールやメッセージを含め、多くの方々とやり取りをしながら仕事をこなす僕にとって、この時計は非常に有効です。

とはいえ、お洒落もモチロン大事(笑)。ビビッドなイエローのレザーストラップはエルメスのもの。手首への馴染みが抜群であるのは当然ながら、発色も素晴らしいので、着こなしのアクセント役として最適なんです」
時計の進化系として今や多くの人が愛用するスマートウォッチ。通信機能を持つアップルウォッチは情報社会に生きる都市生活者から幅広く支持されています。しかもストラップ交換が容易かつバリエーションも多いことから、ファッションアイテムとしても高いポテンシャルを備えています。
▲ 時計の進化系として今や多くの人が愛用するスマートウォッチ。通信機能を持つアップルウォッチは情報社会に生きる都市生活者から幅広く支持されています。しかもストラップ交換が容易かつバリエーションも多いことから、ファッションアイテムとしても高いポテンシャルを備えています。
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確かに、ブルー系の補色となるのはイエロー系。服装全体からすると時計のストラップは比較的小さなものですが、このコーディネートにおいては絶妙な差し色アイテムとしてとても効いています。

「ブルーを軸にホワイトでまとめた装いは、極めてクリーンなイメージです。そこにアイキャッチとなる鮮やかなカラーアイテムを取り入れることで、着こなしに幅が出るのです」
吉野さんの時計選びはスタイリストらしく、手首に取り入れることで装いがどう変わるかを念頭に、チョイスすることが多いとのこと。このエルメスストラップのアップルウォッチは、“カラーもの”として選ばれた一本です
▲ 吉野さんの時計選びはスタイリストらしく、手首に取り入れることで装いがどう変わるかを念頭にチョイスされるとか。このエルメスストラップのアップルウォッチは、“カラーもの”として重宝していると言います。
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「時計としては、クラス感ある機械式も魅力です。ただし、このコーディネートはそこまでラグジュアリーやクラシック寄りのものではありません。

どちらかというとアバンギャルドなジャケットがメインです。そういった着こなしに合わせる場合は、ハイテク系のApple Watchが収まりイイかなと思い取り入れました」
ブルー×ホワイトの装いにおける足元は、白色キャンバスのローテクスニーカー。「ギャルソンをメインとしたコーデの時は、シンプルな白色キャンバススニーカーが僕の定番です」(吉野)。
▲ ブルー×ホワイトの装いにおける足元は、白色キャンバスのローテクスニーカー。「ギャルソンをメインとしたコーデの時は、シンプルな白色キャンバススニーカーが僕の定番」(吉野)。
まさに時計で“遊んでいる”感じが大人の余裕を思わせます。このビビッドカラーのストラップでアクセントを加えた時計スタイルは、夏の軽装にも広く応用できるテクニック。皆さん良かったらぜひトライしてみてください!
吉野 誠 (スタイリスト)

● 吉野 誠 (スタイリスト)

1977年、千葉県生まれ。雑誌LEONをはじめ複数のメンズファッション誌やゴルフ誌、それに広告ビジュアルのスタイリングで活躍。ドレスやモード、それにカジュアルスタイルを取り混ぜた大人のスタイリング・テクは、業界でも評判。仲間とともに、ゴルフ系のアパレルブランド「ノンプロフェッショナルゴルフクラブ」設立に携わる。

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