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2019.03.25

知ってる? 桜の豆知識・雑学【歴史編】モテるうんちく集めました

毎年、日本各地を賑わせる桜なのに、その種類や歴史など、意外にご存じない方もいらっしゃるかと。ここでは、お花見デートを盛り上げる、桜にまつわる小話をまとめてみました!

CREDIT :

取材・文/木村千鶴 取材協力/森林総合研究所 多摩森林科学園

みなさん、お花見を満喫していますか? 心浮き立つ春ならではのイベントをもっと楽しいものにするために、知っておくと役立ちそうな桜にまつわる豆知識を2回に分けてご紹介しております。第1回目はサイエンス編でしたが、今回は歴史編。

前回同様、森林総合研究所 多摩森林科学園に協力をいただきながらまとめました。ここぞ!のお花見デートで、ぜひ披露しちゃってくださいませ。

豆知識1:平安以前、花といえば梅だった!?

「日本でいちばん古いお花見って、知ってる?」

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平安時代末期のものと推定される風俗画・国宝「扇面古写経 花吹雪」/アフロ
日本史にお詳しい方なら、奈良時代に朝廷が大陸の発展した文化を我が国に取り入れるため、盛んに遣唐使を中国へ送っていたことはご存じかと。当時の日本の宮廷文化の多くは中国が起源であり、貴族たちが愛でていた花も、中国発祥の梅や桃と考えられています。ところが、894年に菅原道真の意向で遣唐使の派遣が廃止。以降、平清盛が宋との貿易に力を入れる12世紀半ば頃まで、日本独自の文化がのびのびと育まれる土壌が整い、花のトレンドも梅から桜へと移り変わっていきます。
 
その証拠に、奈良時代につくられた万葉集には梅を詠った歌が118首、桜が44首だったのに対して、平安時代の古今和歌集では梅が18首、桜が70首と、桜が梅を逆転しています。
 
そして、記録に残る我が国で最古のお花見は、嵯峨天皇主催の「花宴の節」。宮廷文化の中に取り入れられたことにより、桜は日本を代表する花木として不動の存在になりました。
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豆知識2:桜は1200年前の貴族も魅了した

「桜で恋心を歌った平安時代の伊達男って誰だと思う?」

平安時代に編纂された歴史書、日本三大実録の卒伝に「体貌ハ閑麗ナリ、放縦ニシテ拘(かかわ)ラズ」と記された人物が登場します。“体貌閑麗”は美男を表す代名詞、“放縦不拘”とは、物事に囚われず奔放だということ。そのあとに「略ソ才学無シ、善ク倭歌ヲ作ル」と続きます。これは、あまり勉強はできないが和歌はすばらしい、という意味。平安時代のモテ要素をすべて兼ね備えた人物とは一体誰のことを指すのか?
 
その人の名は在原業平。平安京を開いた桓武天皇のひ孫という高貴な出自でありながら、かなりのプレイボーイだったようで、平安初期に男女の恋愛について多く描かれた歌物語「伊勢物語」の主人公は、在原業平ではないかという説もあります。
 
― 世の中に耐えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし ―
 
そして、こちらは古今和歌集に収められた、在原業平の詠んだ桜にまつわる歌。現代語訳は「この世の中に桜などなければ、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに」とありますが、裏解釈のようなものもございまして……。桜を“女性”に置き換えてみると、あるいは特定の女性の名前を当てはめてみると、急に色気が増した感じがしませんか?
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豆知識3:5000人を招待した花見の宴とは!?

「豊臣秀吉は盛大な花見が好きだったそうだよ」

平安時代には貴族の習慣だった花見も、室町時代辺りから庶民の文化が発展して、武士階級にもお花見の文化が広まりました。貴族の間では、花見の宴は宮廷や貴族の庭園で執り行われていたものでしたが、武士の花見は、野外の開かれた場所で行う宴会。特に有名なのが、豊臣秀吉が主催した「吉野の花見」「醍醐の花見」です。
 
吉野の花見は1594年に行われた盛大な花見。大阪から運んだ1000本の桜が植樹され、5000人が花見に召喚されたとのこと。醍醐の花見は、1598年に京都醍醐寺の裏の山麓で行われた花の宴です。やはり近隣から多数の桜を移植し、1000人以上を招待したというのですから、秀吉は本当に派手好きだったんだなぁ、ということがうかがえます。
 
各武将はコスプレして場を盛り上げる、なんてこともしていたようですよ。
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豆知識 4:花見を奨励した徳川吉宗

「花見が庶民に広まったのは江戸時代なんだよ」

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葛飾北斎 「富嶽三十六景 東海道品川御殿山ノ不二」/アフロ
江戸時代初期、3代将軍徳川家光の時代に、上野の寛永寺を開基した天海僧正が吉野のヤマザクラを植え、桜の名所を造成しましたが、こちらは一般庶民が入れる場所ではありませんでした。

庶民に花見の習慣が広まったのは、8代将軍徳川吉宗のとった政策がきっかけ。隅田川堤や飛鳥山(王子)、御殿山(品川)に桜を植樹して、庶民に花見を推奨しました。現在の花見に近い様式はこのころにつくられたんですね。
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豆知識 5:新品種の桜は「与謝野晶子」!?

「今年、新種の桜ができたんだって」

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写真提供/堺市
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写真提供/堺市
情熱的な歌人、与謝野晶子は、桜に関する短歌も数多く残しています。なかでも印象的な作品は、1901年に上梓された処女歌集「みだれ髪」に収められた一首。

― 清水へ祇園をよぎる櫻月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき ―

彼女の浮き立った心が伝わってくる、絵のような情景が目に浮かぶ歌ですよね。
今年は与謝野晶子生誕140周年。これを記念して、生誕の地である堺市がベルギーの樹木園から譲り受けて育苗してきた新しい栽培品種の桜に、与謝野晶子と命名しました。

そして今年、平成30年2月20日付で(公財)日本花の会により「与謝野晶子」として品種認定。“染井吉野”と比較すると、がくが濃紅色をしていて、彼女の情熱的なイメージにぴったり! 大仙公園(堺区)には約120本の「与謝野晶子」が育っているとのことなので、見ごろをやや過ぎましたが、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

参考文献/『桜』(勝木俊雄著/岩波新書)『桜の化学』(勝木俊雄著/サイエンス・アイ新書)

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