2026.04.27
上戸 彩インタビュー【後編】「無理してでも笑っていれば笑顔は広がっていく。若い頃はそうして自分も鼓舞していました」
全世界累計発行部数1500万部超を誇る超人気コミック『SAKAMOTO DAYS』が実写映画化(4月29日公開)。元・伝説の殺し屋・坂本太郎(目黒 蓮)の妻を演じた上戸 彩さんがこれまでのキャリアを振り返りながら、変化してきた仕事観、そして家族への思いを語ってくれました。その後編です。
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文/安井桃子 写真/田中駿伍(maettico) スタイリング/宮澤敬子 ヘアメイク/犬木 愛 編集/森本 泉(Web LEON)

話題の映画『SAKAMOTO DAYS』(4月29日公開)で、元・伝説の殺し屋、坂本の妻を演じた上戸 彩さん。2025年にはなんとデビュー25周年を迎え、仕事への向き合い方も変化してきたといいます。
インタビュー後編では、超多忙だった10代20代を駆け抜けた日々と今の仕事観、そして家族への想いも語ります(前編はこちら)。
私を選んでもらえたそのことに恩返しできる仕事を
── キャリアを重ねるなかで、上戸さんのお仕事への向き合い方はどう変化していきましたか?
上戸 彩さん(以下上戸) 今は、一つひとつのお仕事にものすごく感謝できるようになりました。もちろん昔から感謝はしていましたが、忙しくなるとどうしても目の前のことに必死になってしまって余裕がなかった時期もあったと思います。だけど現在は、家庭ができて優先順位も変わった私に、それでもお仕事を与えてくださる環境があるということ、これは本当に奇跡のようにありがたいことなんだって実感するんです。
私を選んでもらえた。そのことに対してどう恩返しをしていったらいいのか、それを常に考えながらお仕事をするようになりました。
── 『SAKAMOTO DAYS』で主人公の坂本は愛する家族がいたから、殺し屋を辞めることができました。上戸さんご自身は、仕事においてご家族からどんな影響を受けていますか?
上戸 仕事への意欲をかき立ててくれるのは、やっぱり家族の存在です。これまでいろんなお仕事をさせていただいてきましたが、そのどれよりも育児って大変だなって思うのです。だから今はお仕事をして外の空気を吸うことがすごく私にとって大事で。帰ってきて子供たちの顔を見るといっそう愛おしく感じますし、明日も仕事を頑張ろうと思える。両方があって今の生活が成立しているなと感じます。

── これまでのキャリアを振り返って、今考えてみれば、あの頃は大変だったな、と思う時期はありますか?
上戸 10代、20代はすごく忙しい時期が続いて、そのなかでずっと「あのシーンではもっとああすればよかった、こうすればよかった」と常に思っていました。自分で「うまくできた」と思えたことがなかったし、とにかく自信がもてなくて、でもやることは多く、スケジュールに追われて……あの頃はけっこう大変だったなぁと思いますね。
── ものすごく出演作が多く大人気でしたが、それでも自信がなかったのですか?
上戸 そもそも自分に人気があったとは感じていませんでした。当時は自分の出演作やインタビューはほとんど見返していなかったので……。今は、きちんと自分の関わったものはチェックしておいた方がいいんだなと、学んでいますが(笑)。
── では、その頃は何がお仕事のモチベーションだったのでしょうか。
上戸 忙しさに追われて必死でしたけれど、いざ現場に行けばやっぱり楽しいんです。スタッフや共演者のみなさんと会えるのはうれしかったし、みんなそれぞれ一生懸命で、だから「みんなで頑張ろうね」って励まし合えました。苦しいけど、楽しい、作品づくりって常に、そういうものだったんですよ。

── 今もそれは変わりませんか?
上戸 年齢を重ねるごとに、ますます現場が楽しくなっています。若い頃は現場でもプライベートなことは周りと話さない方がいい、みたいに思っていたのですが、今は共演者さんといろんな話ができるようになり、自分からもどんどんいろんな人に声をかけています。作品を通じての出会いも、以前よりももっと大事にしていきたいと思うようになりましたね。
笑っていたから、自分を鼓舞できた
── 上戸さんのイメージはずっと「元気で明るい」というものでしたが、そういうパブリックイメージは上戸さんご自身ではどう捉えていたのでしょうか?
上戸 私は、つらい時に周りから「どうしたの? 元気ないね?」と心配されること自体が苦しくて、だからとにかく笑っていたんです。作り笑いでも笑っていれば、周りも笑ってくれるし、それで自然と自分も楽しくなっていく。ああ、笑顔って広がっていくんだなって思ったら、つらくても元気に笑おうって。だから「元気で明るい」っていうイメージを持っていただいたのだとすれば、それはとにかく「笑おう」って思っていたから。そうして自分自身も鼓舞していたんです。
── 笑うのがつらい時期はありましたか?
上戸 今思い返せば、あったと思います。でも自分が笑って喜んでくれる人がいるなら、もっと笑おうって。そうしているうちに、少しずつ周囲にも認めてもらえるようになって、仕事もプライベートも充実していったのではないかと。だから笑うのはすごく大事だと思うんです。

人と人の架け橋になれたらうれしい
── 20代後半からは道ならぬ恋に苦しむ女性を演じた「昼顔」などをはじめシリアスな役も演じられました。演じる役が変わっていくことで、心境の変化はありましたか?
上戸 どの役も根本的には自分の中にあるものを前に出しているので、明るい面もシリアスな面も、全部が自分なんです。なので明るいから、シリアスだからということで演じ方が変わることはありません。私は役をいただいたらとにかく自分に落とし込んでいくので、よく役と自分がごっちゃになってしまうこともありました。暗い役をやると家に帰っても暗いし、おしゃべりな役をやるとずっと喋っているし。
── 『SAKAMOTO DAYS』では坂本家は本当の家族以外にも「ファミリー」と呼べる仲間を増やしていきます。上戸さんにもそういう「ファミリー」はいらっしゃいますか?
上戸 私、本当に人との境界線がなくて、友達の家族とも友達の友達とも、みんなと仲良くなりたいタイプなんです。昔から母に「ひとり誘うなら全員誘いなさい」と教えられてきました。それは「仲間はずれをつくってはいけない」という教えなのですが、そこから今も、誰かを誘うとなったら、その人だけでなく周辺もみんな誘うクセは抜けません(笑)。
先日も旅行に行ったのですが、もう5家族くらいいました(笑)。そもそもうちの家族だけで出かけることはほとんどないかもですね。必ず周りに人がいて、どんどんファミリーが増えていく感じです。

── 上戸さんはとてもコミュニケーション能力が高いんですね。
上戸 いえ、どうコミュニケーション取ろうかと意識していたら、この大人数のなかでやっていけません(笑)。よく「あの人とあの人は一緒の場に呼ばないほうがいい」なんて言う人いますよね? もうそういうのも私は全然思わないタイプで「みんな一緒でいいじゃん!」って。だけどそうやって人と人の架け橋になれたらいいし、何よりファミリーが増えていくことは楽しくて仕方ありませんから。坂本家もきっとそういう家族なんだと思います。

● 上戸 彩(うえと・あや)
1985年生まれ、東京都出身。1999年デビュー。2000年ドラマ「涙をふいて」で俳優デビュー。‘01年「3年B組金八先生」で性同一性障害の生徒を演じ注目を集める。主演作にドラマ「アタックNo.1」「絶対零度〜未解決事件匿名捜査〜」「昼顔」、映画『あずみ』『おしん』『武士の献立』など多数。現在は3児の母でもある。

『SAKAMOTO DAYS』
すべての悪人が恐れる凄腕の殺し屋だった坂本太郎が、コンビニで働く女性・葵に一目惚れ。殺し屋を引退し、結婚。娘の誕生を経てぽっちゃり体型になって「坂本商店」を営んでいたところに、坂本の命を狙う刺客が次々と現れる。「もう誰も殺さない」という妻との約束を守り、日常生活を続けながら、妻にバレないように刺客を追い払うアクションコメディ。2025年1月より放送を開始されたアニメはNetflixの世界配信初週にして860万回視聴を記録。全世界でも爆発的な人気を博している。
脚本・監督/福田雄一、出演/目黒 蓮、高橋文哉、上戸 彩、横田真悠、塩野瑛久、渡邊圭佑、戸塚純貴、八木勇征、生見愛瑠、北村匠海ほか
公式HP/https://skmtdays-movie.jp
(C)鈴木祐斗/集英社 (C)2026映画「SAKAMOTO DAYS」製作委員会














