2026.04.25
上戸 彩インタビュー。「最初はこれが男性の理想なの? とびっくり」。大好評だった「半沢直樹」の妻で学んだこととは?
全世界累計発行部数1500万部超を誇る超人気コミック『SAKAMOTO DAYS』が実写映画化(4月29日公開)。元・伝説の殺し屋・坂本太郎(目黒 蓮)の妻を演じた上戸 彩さんがこれまでのキャリアを振り返りながら、変化してきた仕事観、そして家族への思いを語ってくれました。
- CREDIT :
文/安井桃子 写真/田中駿伍(maettico) スタイリング/宮澤敬子 ヘアメイク/犬木 愛 編集/森本 泉(Web LEON)

話題の映画『SAKAMOTO DAYS』(4月29日公開)で、元・伝説の殺し屋・坂本の妻を演じた上戸 彩さん。10代から主演作を多く経験し、近年では主人公を鼓舞する「理想的妻」を演じることも増え、新たな魅力を放っています。キャリアを振り返りながら、変化してきた仕事観、そして家族への思いを語ります。
インタビュー前編では、『SAKAMOTO DAYS』での撮影で、「妻」として主人公を支えた日々を振り返りました。
思ったことはすぐに言うし、言ったらあとは引きずらないタイプです
── 本作の原作は、全世界累計発行部数1500万部超を誇る超人気コミックです。愛する妻のため「もう誰も殺さない」と誓った元伝説の殺し屋・坂本が次々に襲いくる刺客を、殺さず、かつ妻にバレないように追い払うアクションコメディですが、上戸さんご自身は原作にどんな印象を持たれましたか?
上戸彩さん(以下上戸) 映画のお話をいただいて初めて原作も読ませていただきましたが、すぐに大ファンになってしまいました。アクションもたくさんあるし、これがどう映像化されるの!? と、いちファンとして台本を読んだ瞬間からもう楽しみで。コミックを読み進めるたびに、自分がこの伝説の殺し屋・坂本太郎に愛され、彼を動かした女性を演じられるということに、すごく喜びを感じました。ちなみに娘も原作の大ファンで「今日はどんな撮影したの?」って撮影中は毎日聞かれていました(笑)。

── 上戸さん演じる葵は、伝説の殺し屋に溺愛される女性ですが、演じながら、彼女のどんなところに魅力があると思われましたか?
上戸 彼が殺し屋だったことも知っているし、自分に隠れてドタバタやっていることも気がついている。葵はそのドタバタを、あえてスルーする時と、突っ込む時があるのですが、それは彼女なりにすごく考えているからなんです。そしてどんな時も頭ごなしに相手を否定しないで、一度相手にじっくり考えさせるよう促す。一番に家族があって「家族のために、あなたはどうしたらいいかわかるでしょ」って夫に判断を任せる感じは、やっぱり頭のキレる女性なんだなって感じました。
── 葵とご自身との共通点はあると思いますか?
上戸 葵は言いたいことをきちんとその場で言うし、怒っても引きずらないので、その点は私自身とも近いかもしれません。私も何か「おかしいな?」って思ったらすぐその場で言っちゃうし、言ったらもう「ハイ、おしまい!」って、全然引きずらないタイプです。家族に対してだけでなく、仕事相手に対してもそうですね。とにかく自分の気持ちを胸に秘めておく、ということが苦手なんですよ。「あの時、言っておけばよかった」ってモヤモヤしたくないから。

── 監督の福田雄一さんは、「スーパーサラリーマン左江内氏」や「今日から俺は‼」などこれまで数々のコメディ作品を製作してこられました。上戸さんは初めてこの福田組に参加してみていかがでしたか?
上戸 監督は、とにかくいい意味で「監督ですよ」というオーラがまったくない(笑)。誰より現場で爆笑しているし、壁を感じさせないんです。撮影中でも気軽に話しかけられちゃうし、なんならもっと話したいと思わせる方。とにかく不思議と誰もが丸裸にされてしまうような、安心感がありました。
── 監督からは、演技においてどんなリクエストがありましたか?
上戸 シーンによって誰をキーマンにするかしっかりと決められていて、細かいリクエストが入るのはそのキーマンの役の人だけなんです。私の場合だと、葵がキレるシーンがあるのですが、そこでは「もっと怒って!」とすごく言われました。OKが出て、あとから聞いてみたら「実は葵はうちの奥さんに似ているんだよ」というエピソードも聞かせてもらいました。
家族旅行に行かれた際に、怖い人にからまれてしまい、奥さんがすごい勢いで家族を守ってくれたんですって。ああ、だからあんなに「怒って!」って私に言ったんだなと納得しました。でも「撮影前にその話をしてくれたら、もっと気持ちをのせられたのに」って思いましたけど(笑)。
今日はどんな面白いことがあるか、毎日遊びに行っているようだった
── 「人を笑わせる」ことはとても難しいことだと思うのですが、コメディを演じるうえで、上戸さんが意識していることはありますか?
上戸 今回はとにかく自然体で臨ませていただいていました。現場がとにかく楽しいので、「今日はどんな面白いことがあるかな」と、もう毎日遊びに行っているような気持ちでした。目黒(蓮)さんがすごく誠実で真面目な方なので、現場では1回でも多く目黒さんに笑ってもらおう、ひと言でも多く喋ってもらおうということに、命をかけておりました(笑)。

── 目黒さんとは初共演ですが、どんな印象を持たれましたか?
上戸 彼の繊細なお芝居はいち視聴者としてすごく好きで、作品を見ていつも号泣していました。今回はそのイメージとは全然違う役で、そんな作品でご一緒できたのはすごく貴重だったなと思います。坂本が太った状態の特殊メイクも大変だったと思いますし、衣装も重くて暑かったのに、弱音ひとつ吐かないで、むしろ「汗かいてしまってすみません」って周りに謝るんですよ。だから私も絶対NG出せないなと!
あとは撮影中に「上戸さん、ちょっといいですか」って神妙な顔で呼び出されたこともありました。「一体何事!?」と思ったら「このシーンのセリフを少し変えたい」ってことでした。「ああ、びっくりした。任せるよ!」となりましたが、とにかくひとつひとつに真摯に向き合う方なんだなぁと、感激しましたね。
── ほかには共演者の方々とはどんなお話をされましたか? 印象的なエピソードがあれば教えてください。
上戸 高橋文哉さんが現場でずっとネットショッピングしているんですよ。何を選んでいるのかと思ったら、目黒さんと私と高橋さんの3人でお揃いの携帯扇風機を買ってくれていたんです。撮影は夏の暑い時で、目黒さんは特殊メイクもしているからさらに暑かったので、ならみんなお揃いのものがあればいいと思ったんですって。でも「もうずっと前に頼んだのに、届かない! 撮影終わっちゃうよ〜」ってずっと言っていたのが印象的でした(笑)。

── 全体的にアクションシーンが豊富な作品ですが、上戸さんはアクションにはどんなふうに挑みましたか?
上戸 私は家庭でのシーンが多いので目黒さんや高橋さんほどのアクションはないのですが、それでも少しだけ、そういうシーンがあって、もう泣きそうになりました! 私、昔『あずみ』という映画で苦労してからアクションに苦手意識があって。高いところもすごく怖いんですけど、でも練習日に何度もやってみて、「できる、大丈夫、怖くない」って自分に暗示をかけて乗り越えました。私がアクションを苦手としていることは、他のキャストの方たちも知っているので、「大丈夫かな」という感じで現場ではすごく注目されてしまい恥ずかしかったですね(笑)。
主役のプレッシャーを理解しているからこそ「妻」として支える
── 上戸さんは近年、「半沢直樹」などをはじめ「理想的な妻」を演じられることが増えてきました。主人公を支える「妻」を演じるにあたり、何か意識していることはありますか?
上戸 これまで何度も主役もやらせていただいた立場で、だからこそ主役のプレッシャーがどれだけのものか、わかっているつもりです。観客数や視聴率、さらに座長として現場の幹にならなくてはいけないこと。それに主役は、脚本の段階でキャラクターがすごく作り込まれていますから、芝居で自分らしさを入れすぎると全体のバランスが崩れてしまう。一番「遊べない」のが主役なんですよ。だから今回の私のような「妻役」の立場では、主役の方のぶんも遊んで、楽しもうと思っています。そして現場の雰囲気をやわらかくして、主役の方にリラックスしてもらえたらいいなと。

── さまざまな作品で求められる「理想的な妻」の像に、女性として何か思うことはありますか?
上戸 「半沢直樹」の時は、清楚な黒髪にした方がいいかなとか考えたのですが、監督には「銀行員の奥さんに見えなければ見えないほどいい」と言われました。ですからとにかく強い、ちょっとヤンチャな女性像をつくっていったんです。まさかそれが、あそこまで男性に「理想的」と言っていただけるとは思っていませんでした(笑)。
※後編に続きます。

● 上戸 彩(うえと・あや)
1985年生まれ、東京都出身。1999年デビュー。2000年ドラマ「涙をふいて」で俳優デビュー。‘01年「3年B組金八先生」で性同一性障害の生徒を演じ注目を集める。主演作にドラマ「アタックNo.1」「絶対零度〜未解決事件匿名捜査〜」「昼顔」、映画『あずみ』『おしん』『武士の献立』など多数。現在は3児の母でもある。

『SAKAMOTO DAYS』
すべての悪人が恐れる凄腕の殺し屋だった坂本太郎が、コンビニで働く女性・葵に一目惚れ。殺し屋を引退し、結婚。娘の誕生を経てぽっちゃり体型になって「坂本商店」を営んでいたところに、坂本の命を狙う刺客が次々と現れる。「もう誰も殺さない」という妻との約束を守り、日常生活を続けながら、妻にバレないように刺客を追い払うアクションコメディ。2025年1月より放送を開始されたアニメはNetflixの世界配信初週にして860万回視聴を記録。全世界でも爆発的な人気を博している。
脚本・監督/福田雄一、出演/目黒 蓮、高橋文哉、上戸 彩、横田真悠、塩野瑛久、渡邊圭佑、戸塚純貴、八木勇征、生見愛瑠、北村匠海ほか
公式HP/https://skmtdays-movie.jp
(C)鈴木祐斗/集英社 (C)2026映画「SAKAMOTO DAYS」製作委員会
こちらの記事もいかがですか?














