2026.03.25
青木崇高インタビュー「ぼくにとってウイスキーは時間を深く味わうお酒です」
寡黙でいて、どこか野性味を湛えた存在感──。唯一無二の個性で観る者を惹きつける俳優、青木崇高さんにインタビュー。役に生きるということ、積み重ねてきた時間の意味、そして大好きなウイスキーについて語っていただきました。
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写真/平郡政宏 文・編集/秋山 都(Web LEON)

骨太な存在感とともに、内なる情熱を感じさせる表現者である青木崇高さん。2007年、NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』で演じた落語家・徒然亭草々役は、「この俳優さん気になる! 」と多くの人に鮮烈な印象を残しました。以降は時代劇から現代劇へと活動の幅を広げ、2023年には人気韓国映画シリーズ『犯罪都市 NO WAY OUT』への客演でも話題に。
近年では映画『ミッシング』で、失踪した子どもを取り戻そうと狂乱する母(石原さとみさん)を静かに受け止める男親を演じ、感情を抑えた演技が作品に深みをもたらていました。激情を内に秘めながらもにじませるその佇まいと、派手さに頼らず、役に誠実に向き合う姿勢が、俳優としての着実な歩みにつながっているようです。
一方、プライベートでは2016年には優香さんと結婚。20年には父親になったと報じられていますが、その私生活はちょっとミステリアス……と思っていたら、2月某日、シングルモルトウイスキー「グレンドロナック」によるイベント「The First Sip~はじまりの、ひとくち。~」に登壇した青木さんを幸運にもキャッチ! 普段から好きだというお酒についてお話を聞きました。

ウイスキーはひとりで、友と、仲間たちと「時を味わう酒」
── ウイスキーを初めて飲んだ時のことはおぼえていらっしゃいますか?
青木 正確に初めて、というわけではないかもしれませんが、印象に残っているのは30代半ばの頃のことです。京都で撮影中、先輩たちに連れていっていただいたと思いますが、たしかアイラ(島)のシングルモルトをいただいたんですよ。その時、「あぁ、大人の洗礼を受けた」と(笑)。ウイスキーはキャリアや仕事で成功を収めた大人が飲む酒だと勝手に決め込んでいたのかもしれません。自らハードルを高く設定してしまっていました。
── 青木さんは日本酒・焼酎の唎酒師の資格をお持ちだそうですが、 他のお酒と比べて、ウイスキーの魅力とはなんでしょうか?
青木 どんなお酒にもそれぞれの良さがありますよね。ウイスキーに感じるのは、時間の流れでしょうか。特に「グレンドロナック」のように、12年、15年、18年とシェリー樽で長く熟成したシングルモルトには色、香り、味わいのどれをとっても時間が凝縮されているような深い魅力を感じます。飲んでいる自分はここにいるけど、ちょっと時間が飛ぶような感覚と言いますか。

時を経ても愛される価値とは?
── 時間という熟成期間はお酒にとって重要ですね。とくにスコッチウイスキーは最低3年間を木樽で熟成させなければならないと定められています。
青木 3年間って、ぼくにも意味のある数字でして、実は仕事をいただく際にも3年をひとつの基準としています。たとえば脚本を読んだ際に、「この作品は3年後も変わらず光を放っているか」と考えるんです。ぼく自身も長く愛される表現者でありたいですしね。
演じるというスイッチのオン・オフ
── 今まで実にいろんな役割を演じていらっしゃいますが、その役が自分の中に残って困る、というようなことはないんですか?
青木 それ、よく聞かれるのですが、実はあんまりないんですよね(笑)。以前は自分に戻るための儀式みたいなものをやっていた時もあるんですが、最近はそれも必要なくて。俳優にもさまざまな方がいらして、憑依型とか言われるタイプもあるかもしれませんが、ぼくはそういうわけではありません。実は演じているようで、演じていない、というか。
── ん? 演じているようで、演じない……
青木 難しいですよね。あまりうまく言えないんですが、演じている役も自分である、ということなんです。(すべては自分の内にあるから)自分の世界をなるべく広く捉えることが大切になると考えているんですよね。

── あ~、なんとなくわかるような気もします。だから青木さんは世界をバックパッカーとして旅していたのでしょうか。
青木 どうだろう、それは(笑)。でも、旅することはぼくにとって大切な時間です。
── スコットランドにもいらしたことが?
青木 残念ながらないんです。いつかは行くのが夢です。お酒を、その産地の風土を感じながら飲むことができたら最高ですよね。朝は近隣を散歩したり、ランをしてから仕込み水を飲んで、午前中にソーダ割りから軽く始めて(笑)。夜は星を眺めながら、風に吹かれて、ストレートをゆっくり……(目を閉じて)憧れますね。

「グレンドロナック12年」を使用したハイボールやカクテルを味わいながら、いつかは訪れてみたいスコットランドへ想いを馳せる青木崇高さん。シェリー樽の中で時を重ね、濃密な味わいを育む「グレンドロナック」のように、青木崇高さんの演技もまた静かに熟し、私たちの心に長く残ります。

● 青木崇高(あおき・むねたか)
1980年生まれ。大阪府出身。NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で注目を集め、「龍馬伝」、「平清盛」、「ちかえもん」、「西郷どん」、「鎌倉殿の13人」など、NHK大河ドラマに多数出演。近年の主な出演映画に、『るろうに剣心』シリーズ、アカデミーを受賞した『ゴジラ-1.0』、韓国映画『犯罪都市 NO WAY OUT』、『ミッシング』などがある。TBS「ララLIFE」でのメインMCや2025年大阪・関西万博のスペシャルサポーター就任など活躍の幅を広げている。

グレンドロナック
今夜は一杯、飲みたい気分でしょ?




















