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2024.02.29

蒸留責任者が語るインディアンウイスキー「アムルット」のヒミツ

世界でもっともウイスキーを消費しているのは意外な国でした

実はウイスキーの生産も消費も世界でNo.1というウイスキー大国、インドより、プレスティージの高いウイスキー「アムルット」の蒸留責任者が来日。インド産シングルモルトウイスキーを初めて世界へリリースした「アムルット」について語ります。

CREDIT :

文・編集/秋山 都 撮影協力/THE GREY ROOM

アムルット ウイスキー
▲ インドで初めてシングルモルト・ウイスキーを世界へ向けてリリースした「アムルット」蒸留責任者、アショク・チョカリンガム。
世界5大ウイスキーと言えば、スコットランドのスコッチ、アイルランドのアイリッシュ、次いでアメリカ、カナダ、日本……と続くわけですが、では消費量でトップの国はどこでしょう? やっぱりスコットランド? 否、アメリカ? と思いきや、正解はなんと「インド」。

「実はインドは世界一のウイスキー大国なんですよ」と教えてくれたのは、来日していたインド産ウイスキー「アムルット」の蒸留責任者であるアショク・チョカリンガムさん。インドでウイスキーとは意外ですが、実はその生産量はなんと年間で2億5000万ケースもあるのだそう。インドの人口は2022年時点で14.28億人と中国を上回り世界第1位となっているので、ウイスキーファンも多かろうとは思いますが、実際インディアンウイスキーってどうなの? 「アムルット」ってどんなウイスキー? アショクさんに聞いてみました。
アムルット ウイスキー
▲ 「『アムルット』は権威ある『ウイスキー・バイブル2010』において、著者であるジム・マーレイが世界3位のウイスキーと評価してくれたんです」
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製法はスコッチ、熟成はバーボン……なインド産ウイスキー

「アムルット」はここがすごい!

アムルット ウイスキー
▲ 「アムルット フュージョン」はインド産大麦とスコットランド産大麦を文字通り“フュージョン”する製法。
—— インドではいつぐらいからウイスキーがつくられているんですか?

「インドは歴史的に英国の統治下にあったこともあり、以前からウイスキー文化が根づいている国です。ただ、インドで生産・消費されているウイスキーのほとんどは廃糖蜜(サトウキビから砂糖を生成する際に出る副産物)からつくられた安価なもので、国際基準のウイスキーとは言い難い。そんななか、1985年にシングルモルトのウイスキーをリリースしたのが『アムルット』なんですよ」

—— ウイスキーはスコットランドやアイルランド、カナダなど寒冷な土地でつくっている印象があります。インドはちょっと暖かそうですね(笑)。
「アムルット蒸留所はバンガロール(インド南部のカルナータカ州の州都)にあります。標高は920メートルあるので、1年のうち、もっとも暑い4月の平均最高気温でも34℃。日本のみなさんが想像するよりは涼しいかも(笑)。インドの田園都市とも呼ばれ、農作物も豊かに実る土地柄は『アムルット』のウイスキーの熟成にも大きな影響を与えています。

その影響とは熟成が早いということ。ウイスキーの熟成に使われるのは木製の樽ですよね。樽はウイスキーがもれない程度には密閉されていますが、気体は通過します。ウイスキーは樽のなかで酸素に触れながら呼吸を繰り返し、少しずつ熟成していくのです。でも、インドではこのエイジングの進み方が温暖な気候のため早いのです。たとえばこの『アムルット フュージョン』は約5年熟成(ボトルには未記載)していますが、味わいは10年以上熟成させたもののように豊かで複雑に仕上がっています」
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—— 暖かいことでデメリットはないのですか?

「あります(笑)。暖かいということは、それだけ樽のなかでウイスキーが蒸散する量が多くなってしまいます。これをエンジェルズシェア(天使の分け前)と言いますが、一般にスコッチのエンジェルズシェアは年間2%ほど。でも、インドでは年間10%以上が消えてしまうんです。10年熟成させると樽の中にはわずかしか残らない(笑)。だから、私はこの『アムルット』をMissing link between Scotland and Kentuckyと称しているんです。どんな意味って? スコットランドの伝統的な製法を守りながら、ケンタッキー(バーボン)のようにドラマティックに熟成する、という意味ですね 」

—— インドの天使はずいぶん呑兵衛なんですね(笑)。原料はどのように調達しているんですか?

「原料となる麦芽は、インド北西部にある、パンジャーブ地方やラジャスタン地方で栽培された六条大麦です。パンジャーブ地方のヒマラヤ山脈から流れ出た水は、サトレジ川に流れ込み、バクラナンガル・ダムから、国中に供給されています。ラジャスタン地方は、イギリスのインド統治時代の貴族が数多く住み、遺跡も多い場所です。寒い冬と暑い夏があることで、コクのある味わいを秘めた個性豊かな大麦が育っています。この大麦は、ジャイプールとデリーでモルティング(製麦)されています。麦芽はその後、アムルット蒸留所があるインド南部のバンガロールに運ばれ、自然そのままの香りを損ねないようゆっくり発酵させ、その後蒸留します。

『アムルット フュージョン』は、このインド産六条大麦とスコットランド産二条大麦をブレンドしているのが特徴。私はウイスキーの世界に入る前にクルマのエンジニアをしていたのですが、そのおかげか、革新的な発想が得意で、いろいろ試しているんです。たとえば、フレンチオーク、アメリカンオーク、オロロソ、ペドロヒメネスなどさまざまな樽の木材を1枚ずつパッチワークして造った樽で熟成させるウイスキーとか」

—— それはぜひ飲んでみたいですね。インドの人はどんな風にウイスキーを楽しんでいるんですか?

「ご存じのようにインドはスパイシーな料理が多いので、食前や食中にソーダで割ってハイボールとして楽しむ方が多いですね。でも、『アムルット』のような上質なシングルモルトなら、そのままストレートで飲むのがおすすめです。『アムルット』という名前はサンスクリット語で『人生の霊酒』という意味なんですよ。日本のウイスキー愛好家の方々の人生のパートナーにもなれるように、お好きなスタイルで飲んでいただければうれしいです」
アムルットフュージョン

アムルット フュージョン シングルモルトウイスキー

容量/700ml 
アルコール度数/50%
価格/7226円(税込・参考小売価格)

香り/こってりとしたオーク樽の香りと、今までにない柔らかくスモークされた麦の甘みのある香り。
味わい/どっしりとした味わいで、温度が上がるとスモーキーさを感じる。ほのかにカスタードのような、樽由来のバニラの香りがし、シェリー樽は使用していないにもかかわらずシェリートライフルのような味わい。
余韻/少し荒々しく、乾いたピートとウッディさ。糖蜜の甘みはしっかりと最後まで感じられる。とりわけスパイスの味わいをはっきりと感じる余韻。

お問合せ/ガイアフロー株式会社
TEL/054-292-2555
HP/https://www.gaiaflow.co.jp/

「アムルット」が飲めるのは……

THE GREY ROOM

住所/東京都中央区銀座6丁目4−3 GICROS GINZA GEMS 11F
電話/03-6274-6023
営業時間/月~土11:30~24:00 (LO 23:00)、日
11:30~23:00 (LO 22:00)
休/月曜(月曜が祝日の場合は火曜休)

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