2025.12.08
「RIP SLYME」SU(52)インタビュー。「“軽さ”だったり“雑なノリ”って、結局は誠実さがあってこそ」
LEON世代のど真ん中を生きるRIP SLYMEのSUさん(52歳)。年齢を重ねるほど、ますます軽やかに、一方で言葉は味わい深くなり。そんな彼が思う“カッコいい大人”とは、“肩の力が抜けて見えるけれども、でも誠実な人”。「大人の軽さって、誠実さの上にこそ成り立つものなんですよ」とのことで。
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写真/蜂谷哲実(hachiya studio) スタイリング/久 修一郎 ヘアメイク/勝間亮平 文・編集/赤松いづみ(LEON)
「ただの雑な人です(笑)」と言い切るノリの軸にあるもの

SUさん(以下、SU) いやいや、ほんとに“ただの雑な人”ですよ(笑)。自分に対して期待しすぎないだけなんです。「こうあるべき」みたいな硬いルールがない、というか作れないのは昔からですね。

SU そうなんですよ。自分ひとりなら“なんとかなるっしょ”で済むけど、周りに対してはそうもいかない。年齢もキャリアも重ねるなかで、自然にそういう場面が増えてきました。ただ、根っこの思想は若い頃からほぼ変わってないですね。良くいえば力の抜き方がそのまま、年齢を越えてきちゃった感じ(笑)。

SU 中身は変わってないのに、年齢のせいで“説得力が増した風”になってきてしまったな、と思います。人に同じことを言われるにしても、若い人に言われるのと、50代に言われるのでは説得力が違うでしょ。ただね、それって怖いと言うか、甘えたくない、というか……。「深そうに見えるだけ」って危ないから。だから自分で“それっぽく見える風、“風だよ!”って大声で強調してます(笑)。
── そのロジックだと、書かれるリリックについても感覚は変わらないですか?
SU 正直に言うと意識して何かを変えた、みたいな部分はないかもしれません(笑)。さっきのお話と重複しちゃうけど年齢を重ねた事実があるから、ある意味では深みが出てしまったと言うか。


“許される人”という正体について
── 実際ご自身はどちらだと思われますか?
SU うーん……。グループの中での話になるけれども、僕がそういうキャラクター、というよりかは、メンバーの人柄と人格があってこそ自分はもしかしたら許されているのかな、という感覚。僕がどうこうとかじゃなくて、これはメンバーの懐の深さと広さがあって、生かされてる、かなぁ。

SU うーん……(悩)。多分“自分のダメさ”を認めるのが早いのかもしれません。完璧な人ほど、自分の失敗を許せないし、周りにも厳しくなるじゃないですか。人間なんて、基本“意図せずやらかす生き物”ですよ(笑)。
意図しないやらかしはなんだか“過失”を言い訳にすがりたくなるけれども、本来必要なのは言い訳せずに間違いを認めることかも。そこには「相手がどう感じるか」って考えられるかどうかの想像力も必要になるのかなぁ。
コミュニケーションってすり合わせの連続だから、そんな意思はなかったのに人を責めるみたいになっちゃうこともあるし、自分が変に受け取ってしまうこともあるから、想像力で補いつついかに丁寧にコミュニケーションをとるか、が重要かもしれません。

関係を長く続けるなら、“詰めないこと”
SU 振り返れば、それはたぶん……“いろんなことを詰めすぎなかった”からですね。今となっては、説明しすぎない、理解を求めすぎない、通じてなくても、認識はするけれども認め合うことを必須としない。友達でもそうでしょ?
付き合いが長いほど、わかりあえない瞬間も“まあ、いっか”で流せる。長く続くのは「どれだけ話すか」じゃなくて、「どれだけ揉めないか」だと思うんですよ。揉める時って、大抵“詰めすぎ”なので。その点、僕らはみんな鈍感力が強くなってきた(笑)。それが良いのかもしれないですね。
誠実さとは、「正しさ」を超えた「想像力」にある?

SU 冒頭で話した“軽さ”だったり“雑なノリ”みたいな部分って、結局は誠実さがあってこそだと思っていて。で、それは結局、相手の気持ちを考えること、それに尽きると思っています。
── シンプルですね。
SU 誠実さはいかに人に寄り添えるか、だと思うんですけど、わかるわけないですよ、他人の気持ちなんて。ただ「わかろうとする姿勢」が存在するだけで。
それでコミュニケーションって180度変わる。日常のすれ違いって、たいてい些細なことだから。それでイラッとするの、もったいないじゃない。
── それがSUさんの考えるカッコいい大人像にも繋がりますか?
SU そうですね。想像力と……あとはプラスして迷える力がある人、かも。迷わない人って危ない気がしていて。正しさで人を傷つけちゃうし、自分の間違いにも気づけなくなる。でも迷えるってことは、相手の気持ちを想像しながら自分の仮定を疑えたりもして。結果的にそれが副産物的に“かっこよさ”になってるような気がします。肩に力入れて“かっこつけよう”とすると、もうダメってこと。と言いながらも僕も、まだまだ……かな(笑)。



● 「RIP SLYME」 SU
1998年にRIP SLYMEに加入。低音ラップと独特のワードセンスが持ち味のクセ者MC。趣味は芋栽培と美容室とお絵描き。2022年よりFUMIYAと、割烹着姿でDJするユニット「銀座たけ内」を結成し、イベント出演や楽曲提供なども行う。ほかにソロでもDJやラジオパーソナリティなどマルチに活躍を続けている。
デビュー25周年イヤーに突入したRIP SLYMEが2026年3月22日までの約1年間限定でオリジナルメンバー5人での再集結を果たした。4月16日には再集結第一弾シングル「どON」をリリースし話題を呼んだ。そして7月16日にはベストアルバム「GREATEST FIVE」をリリース。
2026年3月20日〜22日にはアリーナ公演「RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE – Final Three Nights –」を開催。
HP/https://ripslyme.com














