2025.06.17
“偶然のようで、運命だった” KREVA × ALMOSTBLACKBACK TO BASICSの結成秘話を語る【前編】
KREVAとALMOSTBLACKのコラボ『BACK TO BASICS』が6月18日発売。20周年と10周年が重なり生まれた、スペシャルアイテムの誕生秘話をLEONがスペシャルインタビューで紐解きます。
- CREDIT :
写真/前田 晃(MAETTICO) スタイリング/中嶋峻太(ALMOSTBLACK) ヘアメイク/RYO(TRON) 文/横山理恵 編集/渡辺 豪(LEON)
KREVA×ALMOSTBLACKコラボの経緯
20周年と10周年が重なる奇跡


服と言葉のための“フリクション”
言葉より先に、イメージが降りてきた
中嶋 ほんとそうですね。こんなに早く決まるコラボ、初めてでした。普段はアーティストさんと“共通言語”みたいなワードをいくつも出して擦り合わせていくんですけど。今回は最初からKREVAさんのイメージが固まっていた。2時間弱で全部まとまって、お互いのイメージを理解できるって本当にすごいこと。
KREVA 「まだ誰も着てないアウトドアブランドが好き」とか「美術館グッズにいいものがある」とか。普通じゃ理解されにくいこの感覚を、中嶋くんとは共有できるんだよね。

キーワードは『BACK TO BASICS―原点回帰にして、進化系―』
被るほど、品のいい妖しげ感がクセになるパーカ
KREVA 20周年という節目で、改めて原点に立ち返ってみたんです「俺が本当に着たいもの」を突き詰めた結果が、この『BACK TO BASICS』。原点なんだけど、ちゃんと進化してる。ストリートを大人が纏うなら、こうありたいという理想を形にしました。たとえばパーカ。冬用の裏起毛ではなく、シーズン問わず着られるように軽くした。さらりした肌触りで、着心地もいい。裾を締めず、ストンと落ちるALMOSTBLACKらしいシルエットも気に入ってます。
中嶋 毛羽立ちを抑えるために、コットンに少し焼きを入れました。結果的にソリッドな印象になって、より“洗練された大人のパーカ”に仕上がったと思います。それとフードはあえて大きめに。かぶった時のシルエットが綺麗に見えるよう、設計しています。
KREVA わかる、それ! フードがちょっと大きめで、かぶった時にどこか妖艶で……、絶妙なバランスがヤバイ! 紐でギュッと締めなくても、ブローチボタンで留めるだけでキマる。その“余裕”がいい。
中嶋 あのブローチボタンは、量産ではまず無理ですね(笑)。今回は特別な機会だったので、“一格”上を狙いました。

黒という名の挑戦
「真っ黒」だからこそ、品のよさが際立つ

中嶋 実はこの生地、ポリエステルなんです。でもテーラードで使うようなグレードの生地なので、自然な“とろみ”が出る。ドレープ感も綺麗に出て、立体的な動きがあるんですよ。そこは熟達した職人の成せる業ですね。
KREVA 中嶋くんの服は、“和”の感覚が根っこにあるんだけど、ちゃんと“洋服”なんだよね。書道や写真みたいな和の要素を入れても、ファッションとして成立してる。それがすごい。
中嶋 実は次のシーズンでも着物っぽいシルエットをテーマにしてます。でもあくまで“ファッション”として成立することが大前提。そのギリギリを攻める感じが、面白いんですよね。
キレイめソックスと“暗号”サンダル
足元にこそ、男の抜け感を
中嶋 この靴下、奈良の老舗アトリエで作ってもらったんですよ。“靴下の町”って呼ばれるくらい、技術力の高い地域があって。リブをなくした分、ロゴを刺繍して、パッケージにもこだわりました。靴下を入れるZIPバッグとしても、単体でも使えるように。
KREVA あれ、ガジェット入れにもなるよね。充電器とかケーブルを整理するのに、ちょうどいい。今回のコラボ、本当に“毎日着たくなる”アイテムばかり。気に入ったアイテムって、よく廃盤になるから。もうね、一生分ストックしておきたい! 最終的に余ったら、俺が全部買い取るから(笑)。
── (一同爆笑)。KREVAさん、男前すぎます!

20周年、10周年。ふたりのこれから
モノやレコードに宿る、“所有の美学”のB面


KREVA 俺はね、「持っておけるものは、持っておこう」。これが最近のテーマかもしれない。売らない、手放さない。モノって一度手放すと、もう戻ってこないから。この前、初めてレコードを900枚くらい手放したんだけど、やっぱり二度と同じものは手に入らない。“モノに埋もれて、死ぬかも”って思うくらいまでは、持っていたい(笑)。レコードを見て、Apple MusicでDJしちゃう時代だけど。“次世代に譲れる”ように、自分がなれたらいいな。
中嶋 僕も同じで、軍物の服、たくさんストックしてます。やっぱりモノからインスピレーションをもらうことって多いですからね。

中嶋 ……それ、いただいていいっすか? (笑)?
KREVA そういえば中嶋くんって、事務所にとんでもない箱持ってるんですよ。江戸時代の木製の衣装ケース。火事の時に着物を守るために作られたもので、下にキャスターまで付いてる。
中嶋 山梨の骨董屋で見つけたんです。家に入るかもわからないのに「それ買います!」って(笑)。当時は、火事が多かったから。大事な着物を持ち出せるようにって作られたものらしいです。でもそれを持ち出すせいで、渋滞して、逃げ遅れる人もいたらしくて……。それだけ大切なものだったんでしょうね。

■ KREVA
2025年6月18日(水)KREVA初のアンビエントCD発売
「R.P.P.B.G.M」ビクターエンタテインメント
2025年9月08日(月)クレバの日
「908 ON THE DAY」開催@東京ガーデンシアター
■ ALMOSTBLACK
info@sndo.jp