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2025.07.09

連載/真の“贅沢”とは

千利休が生きていたら嫉妬するに違いない! これが21世紀の薬罐(やかん)だ

ファッションからカルチャー、旅やホテルからガストロノミーまで、ラグジュアリーライフをテーマに執筆活動を行っているコラムニストの中村孝則さんが、真の“贅沢”をご紹介する連載です。

CREDIT :

文/中村孝則

さまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案するコラムニストの中村孝則さんが、毎回1つのテーマのもとに真の“贅沢”をご紹介。今回のテーマは……。

■ 「バルミューダ」の電気ケトル『ムーンケトル』

これは茶の湯で使われてきた伝統的な薬罐(やかん)の形状そっくりではないか! 実物を見て、思わずひと目惚れいたしました。「バルミューダ」が先頃リリースした電気ケトル『ムーンケトル』です。こちらすでに我が家の生活に欠かせない道具として日々活躍しています。ご覧のように、少しレトロな薬罐をモチーフにしながら、いかにも千利休が好みそうな、削ぎ落とされた完成度の高い秀逸なデザインがいい。しかし、中身は同社らしい楽しい仕掛けと機能が詰まった、最新鋭の逸品なのです。
「バルミューダ」の電気ケトル『ムーンケトル』
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ちなみに薬罐はその文字が示すとおり、古くは薬を煎じる道具でした。『角川茶道大事典』によると、茶道の世界では古来「金属製の水注ぎとして使われ、江戸時代に茶湯を沸かす容器となり湯沸かしなどともよばれ、一般に流布、現在に至っている」とあります。

千利休はあらゆる茶道具をデザインしたアートディレクターという一面もあり、それらは「利休形」として今に伝わります。そのなかには「腰黒薬罐」という名作もあり、どこか本作と通じる雰囲気があるのですね。

さて、翻ってこのムーンケトル。レトロな雰囲気と普遍的な使い勝手はまさに薬罐。ですが、機能が画期的です。まず、温度を1℃単位で調整できて、キープボタンを押せば30分の保温が可能。これは抹茶や玉露をはじめ、コーヒーや中国茶を入れるのにとても役立ちます。

そして、操作に応じて奏でるサウンドも心地よい。心地よいと言えば、火口に当たる部分が電気にもかかわらず、まるで炎のような光が揺らぐではないですか。筆者はいつかこれを薄明かりの茶室の茶会で使い、客人を驚かそうと目論んでいます。
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後世に残る道具というのは結局のところ、使い手の所作や速度を変化させると同時に、人の情感や五感を動かし、場の雰囲気を和ませるものなのでしょう。それはバルミューダのデザイン理念とも重なることと思いますが、個人的にこのケトルは未来のマスターピースになる逸品ではないかと想像します。それは利休が考案したデザインが今に残るのと同じ意味合いで。
各2万7500円/バルミューダ

薬罐の機能美を採用した電気ケトル『ムーンケトル』

50℃から100℃まで、1℃単位で調整可能で設定温度を30分保温できます。容量は0.3〜0.9ℓ。黒と白の2色展開。
各2万7500円/バルミューダ

中村孝則(なかむら・たかのり)

● 中村孝則(なかむら・たかのり)

コラムニスト。世界各地を独自の視点で読み歩き、さまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案。「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務め世界各地で美食探求の日々を送る。

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2025年7月号より
※価格はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ

バルミューダ www.balmuda.com

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