2021.01.10

【検証】サウナで“整う”とモテる、説

ビジネスエリートの間で今サウナ人気が沸騰中。その理由、サウナで“ととのう(整う)”について、プロサウナーの松尾 大さんと秋山大輔さん、サウナ歴4年の宮原秀雄さんにお話をうかがった前編。最後に飛び出した「サウナに入るとモテる」発言の真意を、後編ではじっくり探っていきます。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ 文/宮原友紀 撮影協力/ZEN VAGUE

▲ 「ZEN VAGUE」にて外気浴中の松尾さん(左)、秋山さん(中)、宮原さん(右)。右奥がサウナで、マジックミラーの窓は外からは中が見えない。
取材場所の「ZEN VAGUE」でサウナ→水風呂→外気浴をこなし、リラックスモードとなった座談会で3人が発した「サウナに入るとモテる、説」に喰いついたLEON.JP編集部。

後編のお題は、その説の検証に決定。「ととのえ親方」の松尾さんと「サウナ師匠」の秋山さん、2人のサウナ弟子の宮原さんに、「サウナでモテる、は本当か!?」と迫りました。(前編「サウナで“ととのう(※1)”」はコチラ
※1ととのう 「整う」と同義だが、サウナ界では「ととのう」とひらがな表記するのが通例。

サウナは座ってるだけでオトコ磨き!

松尾「サウナに入るとモテる、っていうのは絶対なんですよ。なんでかっていうと、女の人は清潔感が好きなわけだから。サウナに入ってこざっぱりしている男の人って、まず外見からモテるってとこあるじゃない。サウナで座っているだけなのに、肌もきれいになるんだよね」

宮原「確かに2人、肌きれいだよね。ツルッツルしてるもん」

松尾「フィンランド(※2)では、サウナに入ったあと1時間以内の女性が一番きれいだ、みたいなことが言われているの。蒸気して天然チークみたいになって、化粧しなくてもきれいなんだよね」
※2フィンランド 2000年のサウナ歴史を持つ国。フィンランド人は、サウナに入ることなくして、自国とその文化を理解できないと思っているとか。
秋山「男の人もそうだよね。まさに全身美顔器。女性が顔にあてるスチームってあるじゃないですか、あれが全身にぐわぁってあたるわけだからね」

宮原「そこで大事なのは、日本はカラカラに乾いたドライサウナがすごく多いんだけど、ちゃんと湿度のあるサウナを選ぶこと」

秋山「そう。『全身濡れて入るのが好き』っていう人、結構いるなと思っていたんだけど、あれは乾燥に対応しようとしているんだよね。びしょびしょにして入ると、守られるというか……」

宮原「髪も傷むしね。だからとにかく、蒸気を出して湿度を絶やさないロウリュ(※3)がある所が基本」
※3ロウリュ サウナストーンに水をかけてロウリュ(蒸気)を発生させること。利用者が調整できるものをセルフロウリュといい、自動装置により一定の間隔で蒸気させるものをオートロウリュという。
秋山「今日本でロウリュがあるサウナって、全体の0.2%くらいしかないんだよね。セルフロウリュがある所でいえば、30〜50カ所くらいじゃないかな」
▲ こちらがセルフロウリュ。手前のボウルの水をひしゃくですくい、サウナストーンにかけて、蒸気を発生させる。
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女のコの来るサウナ、来ないサウナがある

宮原「ロウリュにはオートもあるんだけど、自分でサウナストーンに水をかけるセルフのほうがやっぱりいいよね」

秋山「フィンランドって人口が550万で300万カ所サウナがあって、その全部がセルフロウリュなの。だから『ちょっと乾燥してきたな』って思った奴が水をかけて、かけた瞬間に周りから『ありがとう』って声が飛ぶんです」

宮原「フィンランドはサウナ偏差値が高いからね」

秋山「1964年の東京オリンピックの時にフィンランドチームが選手村にサウナを持ち込んだのがきっかけで、日本のあちこちにサウナ施設ができるようになったんだよね。でも見よう見まねで作ったもんだから、全部ドライサウナになっちゃったの」

松尾「サウナの魂であるロウリュがズボッと抜けちゃったんだよね」

秋山「そうしたら暑いだけのサウナになって。で、我慢好きのオッサンだけが残ったっていう(笑)」

松尾「そうそう(笑)。それでどんどん女性がスチームサウナとか岩盤浴に流れちゃって。日本にも本物のフィンランド式とかロシア式のバーニャ(※4)と呼ばれる湿度たっぷりのサウナがあるんだけど、そういう『あ、これ気持ちいい』ってサウナが少なすぎて、みんな知らないんだよね」
※4バーニャ ロシア式サウナ。温度は60℃前後と日本のサウナより低温だが、湿度は80~100%とかなり高い。
秋山「フィンランドにはスノーリュっていう、雪を丸めて石の上においてロウリュする所もあって、時間をかけてじわじわ溶けてくるのがいいんです。その雪玉にお茶やみかん入れたりすると、またいい香りがするんだよね」

宮原「この前、ユーカリの葉でヴィヒタ(※5)をやったら、めっちゃいい香りだった。あと、蒸留酒のジンをサウナストーンにかけて、ロウリュを“ジンリュ”にしたり」
※5ヴィヒタ 通常は白樺の枝葉を束ねたもので、サウナの中で全身を叩くようにして使用する。ヴィヒタにはミネラルが多く含まれており、叩くことによって血行促進や保湿・殺菌作用が期待できる。
秋山「それが蒸気になると、ボタニカルな香りが空間を包むんですよね」

宮原「そう、サウナの中の香りも重要だなと思った」

秋山「サウナ嫌いだった人が好きになる理由に、香りって結構あるんですよ。アロマオイルとかケミカルなものも多いんだけど、フレッシュでナチュラルな香りにすると、だいたいみんな好きになる」

松尾「この前北海道で、ドライフラワーのラベンダーをちょっとだけ入れてロウリュしてあげたら、女のコがめっちゃ喜んでくれた」

宮原「あ〜、それは絶対モテるね」
▲ 樽型のバレルサウナを堪能する3人。奥の窓は外からはマジックミラーになっているので、女性が入っても覗かれる心配なし。
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サウナデートでは女のコも「スッピン見せてもいい」って振り切れちゃう

松尾「女性が入りたいサウナも今までなかったんだよね。普通のサウナって、見た目もただの壁とドアでしかなくて。でも、伊豆の旅館『おちあいろう』のサウナは、ガラスの茶室みたいな所に入っていくっていう、ちょっとエンタメ要素があっていいよね」

秋山「男女で一緒に入れるサウナも、最近増えてきたしね」

松尾「水着で入れる東京の『豊島園 庭の湯』とか、サウナ部屋があって女のコと貸し切りで楽しめる
bar hotel 箱根香山』とか」

秋山「合コンっぽく3:3で使えるような、男女のグループが水着で入れる所もあったり。川沿いにテントサウナ(※6)を立てて、BBQや焚火をしながらキャンプサウナもできたりね」
※6テントサウナ 断熱性が非常に高い布地で作られたテントの中に、サウナの熱源となるストーブを設置したもの。
松尾「合コンだと化粧が落ちるっていうハードルを感じる女性もいるんだけど、でもね、スッピンを見たいんだよ、男は(笑)」

秋山「最初は化粧バッチリで来るんだけど、結局2セット目が終わる頃には全部落としている。『もういいや、気持ちいいし。これで嫌いになるんだったらなってくれ!』みたいに女性も振り切れてて、それに対して男も『いいねいいね〜』って感じになってる」

宮原「あとは、サウナ飯も押さえておきたいところだよね」

秋山「サウナに入ってすぐバイバイって、絶対ならないからね。一杯行く? ごはん行く? って必ずなるし、サウナ後って味覚が冴えているからご飯がすごく美味しいんです。例えば食べログの評価が4.0の所に行くとして、サウナのあとだと掛け合わせで4.5くらいになるから、さらに美味しく食べられるんだよね」

宮原「やっぱり2人のようなプロサウナーの力量があるとモテると思うわ〜。連れていくサウナもメシもイケてるわけだし」

松尾「ちなみにおせっかいまでに言うと……、サウナ後は感覚が冴え渡っているから、スキンシップもめちゃくちゃ気持ちいいんだよね♥」
▲ サウナ後の水風呂は、頭まで使って全身の火照りを冷ますのがオススメ。潜るのが苦手な人は、顔や頭に水をかけて。
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女のコにだけじゃない、ビジネス相手にもモテる!

秋山「ちなみにマインド的な変化が起こるのも、サウナがもたらすモテ効果だね」

松尾「そうね。タクシーの運転手さんに優しくない男って、女の人嫌いでしょ? そんな人でも、サウナに入ったあとだとそういうことないから(笑)。サウナに入るようになって、イライラすることって一切なくなったよね」

秋山「ビジネス相手からの“人モテ”も生まれるね。例えば、めっちゃ腹立つ嫌なメールがきた時、絶対その場では返さず1回サウナに行く。そうしたら『いつもお世話になっております』なんて、ホント心から言えちゃったりして(笑)。すると相手もすごく下手に出てきて、結果、丸くまとまっちゃう」

松尾「ビジネスシーンでの親睦を深めるために、ゴルフとかみんなで競うお金のかかるスポーツやるじゃない? そういう面でもサウナって使える。『お前、サウナ下手だな』っていう能力の差がないから、すごく平等。ただ座っていればよくて、道具も必要ないから部下も連れていける。それに会食で鮨にいったら2万円、5万円……と高くつくけど、サウナなんか1000円よ」

秋山「『初対面でサウナに行った時は、肩書と貴重品はロッカーに閉じ込める』ってルールもあって。サウナの中では、誰が何をやっている人なのか全然わからないんだけど、ロッカーに戻ったらすごい時計を付けていて、名刺交換したら上場企業の経営者だったなんてことも結構ある(笑)」

松尾「またさ、さっきまで全裸でフラットな状態だったオヤジたちが、パチッと時計付けて、バチッとスーツキメて帰る姿もカッコいいんだよね。いい男だな〜ってなる」

宮原「脱ぐって行為がいいんだろうね。裸の付き合いだから、威張れない」

松尾「そう、威張らない人は女性にも男にも、モテるからね。サウナはただの木箱じゃない。本当に、愛の塊なんだよね!」

松尾 大

「ととのえ親方」の愛称で親しまれるプロサウナー。彼のサウナ談義を聞いて、企業経営者や有名飲食店オーナーを中心にサウナにハマってしまう人が続出。かつては世界各地のサウナを渡り歩き、アリゾナの山奥で単身5日間断食断水後のサウナを経験したことも。海、川、湖、滝、なんと流氷まで水風呂代わりにしてしまうナチュラル派プロサウナーとしても知られる。秋山大輔氏らとサウナブランド「TTNE PRO SAUNNER」を立ち上げ、サウナ施設のプロデュースやサウナイベントの企画制作、サウナアパレル事業の展開に注力している。著書に『Saunner BOOK』(A-works刊)、『人生を変えるサウナ術』(世界の食とサウナをめぐって旅をする経営者・本田直之氏との共著、KADOKAWA刊)がある。

秋山大輔

愛称「サウナ師匠」のプロサウナー。20代よりサウナに開眼し、国内外のさまざまなサウナを経験。松尾 大氏と出会い、2人でサウナの母国フィンランドをはじめ、北欧を中心とする5カ国11サウナを体験するサウナトリップを敢行。「TTNE PROSAUNNER」では、サウナプロデュース(日本発となるドームサウナ、バレルサウナ、アイスサウナ)や、日本最大級のサウナフェス「SAUNA FES JAPAN 2019」の運営、今行くべき全国のサウナ施設ランキング「サウナシュラン」の発足など、「サウナをエンターテインメントに」をテーマに、サウナ関連プロジェクトを次々と仕掛ける。最近では、NYサウナツアー、6カ国18サウナを巡るEUサウナツアーなど世界のサウナを体験し、改めて日本のサウナの素晴らしさと可能性を感じ、”日本のサウナカルチャーを世界へ”をテーマに日々活動中。

宮原秀雄

「ONE SAUNA」ブランドディレクター。サウナ歴は4年。秋山大輔氏よりサウナの活用術を直接享受したことで急速にハマり、今に至る。国産の木材を利用した国産サウナの販売ブランド「ONE SAUNA」を立ち上げ、パーソナルサウナをコンセプトに、サウナ本体からアパレル、コスメの販売など「サウナのある暮らし」を提案中。宮崎にて紹介会員制のサウナクラブも企画運営している。また、自身が総合プロデューサーを務める複合ビーチリゾート『AOSHIMA BEACH VILLAGE』(2021年冬、宮崎市青島にオープン予定)でも、サウナエリアの配置を企画している。

ZEN VAGUE

TEL/0467-81-4405
住所/神奈川県鎌倉市長谷 2-7-29
営業/9:00~21:00 無休(臨時休館あり)
※サウナは、10、12、14、16、18時スタートの2時間制 
料金/(サウナのみ)1500円(税込、レンタルバスタオル1枚・ミネラルウォーター付)、貸切利用(1~4名)2時間6000円(税込、1名追加+1500円税込、6名まで)※宿泊者(1名1泊ドミトリー4000円税込~)は、+500円(税込)
https://www.zenvague.com

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