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2022.04.29

モノづくりの現場を見ながら飲む、都心型ブリューイングパブが新しい!

醸造の現場で飲めるブリューイングパブが人気。ですが、クラフトビールのみならず、ジンや日本酒の生産現場で飲むのが今、新しいんです!

CREDIT :

文/秋山 都  写真/長谷川 潤

昔話『鶴の恩返し』では、おじいさんに助けられた娘(実は鶴)が恩を返すために機を織ります。トントン、カラリ、トントン、カラリ……。「私が機を織っているところは決して見てはいけませんよ」と言われていたのに、気になったおじいさんがそっと覗いてしまったがために、鶴は空に帰っていってしまった……という話。

この物語に秘められた教訓は、「~~してはいけません」と言われると余計「~~したくなる」けど、その欲望は抑えてこそ吉、というところでしょうか(似たような物語にグリム童話『青ひげ』があります)。でも私は、ここにモノづくりの神秘を秘めておきたくなるクリエイターのエゴを感じるのです。たとえば、人気飲食店でよく使われるフレーズである「秘伝」や「門外不出」のレシピ。これらは、ミステリアスな衣をまとい、より価値を増しているように思えますが、その実、他の店の料理とさほど差がないものだったりします。
▲ 「東京リバーサイド蒸溜所」のポットスチル。
かの世阿弥は『風姿花伝』のなかで、「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」と言っていますが、それって今も通用するのかな。たとえば、奥の厨房で作って出してくれた酢豚*と、目の前で豚肉を切って揚げて甘酢と絡めてくれた酢豚。どっちが食べたいかと問われたら、後者ではないですか? オープンキッチンの店が増えていることからもわかるように、モノづくりのプロセスもシェアすることで理解と共感を得ていくのがイマドキなのかもしれません。
*たまたま思い浮かんだメニュー。特に他意はありません。
そしてそのイマドキ感を本特集のテーマである酒場で探すなら、モノづくりの現場で飲み、味わうことができる「ブリューイングパブ」が新しい! となります。「ブリューイングパブ」もしくは「ブリューパブ」とは醸造所併設のバーやパブのことで、良く知られているのはクラフトビールのそれ。少量から生産できるクラフトビールは都内であってもスペースを確保しやすく、ビール好きの聖地となっているのはコチラの記事でご紹介している通りです。

そこで今回はもっとイマドキな、最先端ブリューイング(ディスティラリー*)パブをご紹介。ともに都内の繁華街にありながら、生産の現場を身近に感じ、出来たてのお酒を飲め、かつ美味しい料理とともに味わえるという楽しいことづくめのスポットです。うん、2022年は“秘せずとも花”になれるみたいですよ、世阿弥さん。
*Distillery=蒸溜。Brewが醸造ですのでワインや日本酒やビール。蒸溜では焼酎、ウイスキー、ジンなどが造られます。
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世界初の再生型クラフトジン

◆ 「東京リバーサイド蒸溜所」(東京・蔵前)

スペシャルティコーヒーの専門店が林立し、どんどんイマドキ感を増す蔵前の、交差点にたつ小さな蒸留所がこちら。ここは世界でも初という、再生型ジンの蒸留所。つまり、食品を製造する過程で生まれる廃棄素材をジンの原料に加えているのです。
KAMERA  渋谷 百軒店
▲ 水色のファサードが目印の「東京リバーサイド蒸溜所」。
ビルの1階に蒸留所とテイクアウト用の売店、2階にはジンが飲めるバーダイニング「Stage」があり、角打ちするか、腰を据えて料理と味わうか、その時の気分で決められるのも楽しい。
KAMERA 渋谷 百軒店 立ち飲み
▲ 「ジントニック」「ジンソーダ」ともに600円~。
この日は、コロナ禍で余剰となったバドワイザー約2万ℓを原料にしたジン「REVIVE from BEER」をソーダ割でサク飲み。その後、2Fの「Stage」へ上がり、日本酒粕を原料にした「「LAST EPISODE 0 -ELEGANT-」をジントニックでいただきました。
KAMERA しゅうまい 百軒店
▲ 「Stage」内山ももえ店長の女性らしく繊細で丁寧なカクテルメイキングにも注目。

東京リバーサイド蒸溜所

住所/東京都台東区蔵前3-9-3 臼井ビル 
問い合わせ/インスタグラム@stage_trd
営業時間/1F「東京リバーサイド蒸溜所併設エシカル・スピリッツオフィシャルストア」13:00~19:00、”Fバーダイニング「Stage」18:00~23:00
定休/月

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三軒茶屋で醸すどぶろくと日本酒リキュール

◆WAKAZE TOKYO(東京・三軒茶屋)

お次は日本酒。日本酒といえば兵庫県、京都府、新潟県などが酒どころとして知られていますが、東京にも⁉
鳥羽周作 Hotel's フレンチトースト クロックムッシュ 朝食
▲ 三軒茶屋の商店街に突如現れる酒蔵レストラン「WAKAZE TOKYO」。
WAKAZEは、「日本酒を世界酒に」をビジョンに革新的な酒造りに挑戦している新しい日本酒メーカー。三軒茶屋とパリを拠点に、ユニークなクラフトSAKE*を醸しています。
*日本酒の製造免許は取得するのが大変難しいので、ここ「WAKAZE TOKYO」で醸造しているのは主にどぶろくと、「ボタニカルSAKE」と称する日本酒の醸造過程で茶やハーブを加えた新感覚のSAKE。
鳥羽周作 朝食 Hotel's フレンチトースト
▲ ピンクのネオンに照らされた酒造タンクはなんともキッチュ!
現在「WAKAZE TOKYO」は月替わりの料理と酒のペアリングを楽しめる醸造所内レストランとして稼働中。5月は「草と葉」、6月は「フランス」など、テーマごとに構成をガラリと変える7皿の料理を9杯のお酒とともにコースで味わえます。
▲ 「体験型SAKEペアリングコース」9000円。完全予約制。

WAKAZE TOKYO

住所/東京都世田谷区太子堂1-15-12
問い合わせ/contact@wakaze.jp
営業時間/木金19:00~21:00、土日祝17:00~19:30、20:00~22:30 (2回転制)
休/不定休

*ペアリングコースは完全予約制。お酒のボトル販売のみの利用は月火水15:00~19:00。

造り手の顔を見たり、生産現場を見ながら味わうお酒は味わいもまた格別。“鶴”にも「機織りの現場、見せてあげれば、みんながもっとハッピーになれたのに」と教えてあげたくなります。あ、その前に、自分の羽(身)を犠牲にしてまで恩返しする必要なんてない、とも教えてあげたい。あの物語って、現代で言うところのワークライフバランスの寓話だったんでしょうか?

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