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2019.05.14

入手困難なクラフトジン「季の美」、その美味を目と舌で味わう

世界的なバートレンドとなっているクラフトジン。なかでも日本、京都から生まれた「季の美」はいま世界のバーから注目されています。その味わいは? 楽しみ方は?

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文/秋山 都 写真/高嶋克郎

連載「美食のネタ帖」では、「なんか面白い店ないかなぁ」「最近どこか行った?」と聞かれることが多いLEON.JP食いしん坊担当が、ガチでおすすめなお店や、デートで使えるネタを紹介いたします。

その第18回のお題は「クラフトジン」。数年前からバーやカクテル業界でのビッグトレンドとなっているクラフトジンですが、ウイスキーと同様、国産はとくに品薄で人気が高く、なかには手に入りにくいアイテムもあります。国産クラフトジンのすばらしさはどこにあるのか? 知りたい(飲みたい)! そこで今回は日本のクラフトジンを学びに(飲みに?)行ってまいりました、一路、京都へ!

なぜ、京都か? それは日本初のジン専門蒸溜所「京都蒸溜所」がそこにあるから。2016年8月に操業を開始した比較的新しい蒸溜所でありながら、日本、それも京都産の素材にこだわり、伏見の水を使用したスーパープレミアムなクラフトジン「季の美 京都ドライジン」は国内外から注目を集め、いまや日本を代表するクラフトジンになりました。
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「季の美」代表的なラインナップ、左から、宇治の茶園「堀井七茗園」の玉露と碾茶を贅沢に使用した「季のTEA」、11種のこだわりのボタニカルを使用した「季の美」、力強くドライな味わいの「季の美 勢」。
おっと、本題に入る前にまずはジンとはどんなお酒か、おさらいしておきましょう。ジンとは、大麦やライ麦、トウモロコシ、じゃがいもなど穀類から造るスピリッツをベースに、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカなど、ボタニカルと呼ばれるハーブ類を数種加え、再蒸留させて造られるスピリッツ。

実はクラフトジンには味や製法に関する具体的な定義は設けられておらず、ゆえに作り手の自由度が高いのが、このクラフトジンの面白いところでもあるのです。では「季の美」はどんな味わいなのか? まずは京都でいま話題のバーへ行ってまいりました。
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[レモスカトゥールバー](京都・河原町)

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粋で小体な店が軒を連ねる高瀬川沿い。木屋町通りの、この辺りかな? と探しあてたら……すごい行列! 当方、表参道のアイスクリーム屋や、「ラーメン二郎」に並んだ経験はあるものの、バーに行列する日が来るとは思ってもみませんでした。しかも半数以上が海外からのゲスト。なんなんだ、このバーは。
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「レモスカトゥールバー」店主のクリストフ・ロッシ氏。
フランス語で魔術師を意味するレモスカトゥールという店名が表すように、店主のクリストフ・ロッシ氏は元マジシャンという異色の経歴を持つバーテンダー。といってもいわゆるマジックバーとは趣を異にして、この空間、時間のすべてがマジカルなエクスペリエンスをもたらすユニークな存在です。世界的なレビューサイト「YELP」で京都のおすすめスポットNo.1になったことも海外のゲストからの爆発的な人気につながっているよう。
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天井に舞うソファや、梁から下がるブランコなど、まさにマジカルな店内。
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Kyoto Gardens 1500円。
その「レモスカトゥールバー」で人気なのがオリジナルカクテル。なかでもこの「Kyoto Gardens」は「季の美」をベースに、レモンジュースや抹茶などをシェイクした1杯。

「『季の美』はまさに唯一無二であり、高いオリジナリティを感じさせるジンです。日本の高い美意識と和のテイストを感じさせる『季の美』でなければ、この『Kyoto Gardens』は作れません」と語るクリストフさん。

たしかに『季の美』をストレートで嗅ぎ、口に含んでみると、ふくよかな香りの奥に山椒やお茶のフレーバーを感じる……ような…。果たして本当に山椒やお茶を使っているのか? これは、実際に造っている現場を見に行かないと!(この項続く)
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◆ レモスカトゥールバー

住所/京都府下京区西石垣通四条下ル斎藤町138-9 2階
予約・お問合せ/075-708-8511
営業時間/20:00~26:00
定休/月曜日
※ 週末は混雑するので予約をおすすめ。
※ 四条河原町駅から徒歩5分程度

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京都蒸溜所で学ぶ「季の美」

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銅製のポットスチル(単式蒸溜器)が美しい京都蒸溜所。
京都某所。中心部からクルマで20分ほど走った郊外に佇む小さな建物が「京都蒸溜所」。ここで、かの「季の美」が生まれ、世界へ向けて発送されています。
この日はラッキーなことにオーナーのデービッド・クロール氏にお話を聞くことができました。
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京都蒸溜所創業者のひとりであるデービッド・クロール氏。金融業界からウィスキー業界へ、そしてジン造りに取り組む異端児でもあります。
── なぜ京都でクラフトジンを造ろうと考えたのでしょうか?

クロール氏(以下C氏):京都は1000年以上の歴史を持つ、美しい文化の中心地であることはもちろんなのですが、実はジンに必要な素材を調達する上でも大変恵まれた土地だったのです。ご存知のようにジンにはボタニカルが大変重要な役割を果たしますが、「季の美」に使用しているボタニカルの多くが京都とその周辺で栽培されているんですよ。

──  「季の美」に使用されているボタニカルは、ジュニパー、オリス、檜、柚子、レモン、玉露、生姜、赤紫蘇、笹、山椒、木の芽と11種ですね。

C氏:最初は60種くらい候補があったかな。約1年間、試作しながらチームで議論を重ねました。ボタニカルはそれぞれ個性豊かなので、その素材の特性に応じて抽出の仕方や蒸溜の温度が異なり、丁寧に造っていく必要があります。サヴィル・ロウ(ロンドン)でのビスポークと、大量生産される既製服の造りの違い、といえばわかりやすいでしょうか(笑)。
──  そのボタニカルが日本らしいハーモニーを醸し出すのですね。

C氏:ボタニカルだけではなく、ベースには米のスピリッツを使用しているし、蒸溜している水は名水の里として知られる伏見の酒蔵からわけてもらっている仕込み水を使用しています。もうこれ以上こだわれない、というくらいこだわっていますよ(笑)。
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蒸溜所内で発見した赤いチューブ。
── あのう、ジンって透明ですよね? さっき蒸溜所内で赤い液体の入ったチューブを発見したのですが……。

C氏:(明らかに動揺して)え、あれ見ちゃったの? 困ったな。あれはまだ発売していないんですが、あれはハスカップの果汁を使用した新製品です。夏に向けて、クラッシュアイスでカクテルにしてもよいでしょうね。
── それなら自宅でも気軽にカクテルを楽しめそうですね。

C氏:カクテルはシェーカーなど特別な器具がなくても楽しめるんですよ。ほら、この本にたくさんレシピが載っているから参考にしてください。
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「CLASSIC KINOBI COCKTAILS」2500円/京都蒸溜所刊
この「CLASSIC KINOBI COCKTAILS」は、「季の美」が生まれるまでの素材探しや、製造工程におけるこだわり、そして提携農家やデザイナーとのコラボレーションのほか、世界的に著名な15名のバーテンダーがクラシックカクテルを「季の美」風にアレンジしたレシピも紹介。充実した内容と美しいビジュアルで、飲むだけではなく、読んで、眺めておいしい「季の美」の魅力が詰まった1冊。これをつまみに「季の美」でジントニック、なんて贅沢な時間、味わってみたいなぁ。ああ、また「季の美」が飲みたくなってきた。
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◆ 京都蒸溜所

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