2025.05.14
有名シェフによる能登炊き出しボランティアに同行して考えたこと
震災から1年4カ月が過ぎた能登で、有名シェフによる炊き出しが行われると聞き、軽い気持ちで同行してみた筆者が考えたこととは?
- CREDIT :
写真/今清水隆宏
ごく気軽に参加した(はずの)能登への炊き出しボランティア

それから1年……やはり大きな被害を受けた酒蔵が所属している組合に微力ながら寄付金を送ったり、能登半島にレストランを構える料理人たちのイベントに参加したり。私がしてきたのはその程度のことです。同年9月には1000年に1回とも言われる豪雨が能登を襲い、多くの河川が冠水することで土砂災害、床上浸水、道路の通行止めなど多くの被害が発生していますが、その時には報道を目にしながらも「なんとついていないのだろう」とため息をつくだけで、とくにアクションを起こすことはありませんでした。

註2: 「カムシャングリッペ」(東京・青山)オーナーシェフとして一世を風靡したフランス料理界の有名シェフ。超人気ベーカリーのプロデューサーとしても活躍。



▲ 大人気だった神戸牛のステーキ。私も食べたかった……。
▲ 「インフィニート・ヒロ」のミートソースパスタ。
▲ 「インフィニート・ヒロ」のからあげ。
▲ 洋食の名店「東洋軒」のコロッケやソーセージの盛り合わせ。
▲ 寒いのにギャルソンベストでオードブルを配っていた「東洋軒」の方。こういうことが大切なんだと後で実感しました。
▲ 大人気だった神戸牛のステーキ。私も食べたかった……。
▲ 「インフィニート・ヒロ」のミートソースパスタ。
▲ 「インフィニート・ヒロ」のからあげ。
▲ 洋食の名店「東洋軒」のコロッケやソーセージの盛り合わせ。
▲ 寒いのにギャルソンベストでオードブルを配っていた「東洋軒」の方。こういうことが大切なんだと後で実感しました。
驚いたのは、美しくサシが入った神戸牛のステーキや、自家製のハム(脚1本でした!)、ウニのパスタなど、いわゆる“炊き出し”ではお目にかかれない贅沢な食材が使われた料理であったこと。まさにレストランでいただくようなクオリティの料理がどんどんふるまわれる様子に市民のみなさんもヒートアップ! 熱々の料理をおいしそうに召し上がっていました。


震災から1年4か月が過ぎ、復興も少し落ち着いたことと思っていましたが、市民のみなさんのあまりの勢いに押され、あっけにとられました。震災直後とは違い、ライフラインも復活していることから、食べるものに困っているようには見受けられないし、この勢いはどこから?

その必死とでもいうべき被災者の勢いや熱に接しながら、私は2011年、東日本大震災後にボランティアに出かけた私自身の経験を思い出していました。震災からちょうどひと月たった4月中旬、私は宮城県石巻市にペットレスキュー活動のため1週間ほど滞在していたのです。被災地から救助された数十匹の犬や猫を世話し、飼い主さんとのマッチングをしながら過ごしていました。瓦解した石巻の市街地を見るたび心ふさぎましたが、なかでもそのヘドロのような臭いは忘れられません。映像や写真では伝えられない、そこにいる人だけが実感し、被る経験や想いというものがあります。

この1週間、犬猫の糞尿、汗と泥にまみれて暮らしていた反動だったのでしょうか。いろいろ探したのですが、当時の仙台でルブタンのヒールは見つからず、その代わりに私はネイルサロンとヘアサロンをハシゴしてから新幹線に乗ったのでした。
▲ 珠洲「わくわく広場」での淺野シェフによる炊き出し。ふんわりと焼きあがるオムレツの甘い香りに誰しも笑顔になります。
▲ 珠洲「わくわく広場」での炊き出しに参加した田島優己さん(中央)。田島さんは現在開業準備中で、注目の料理人のひとり。
▲ 珠洲「わくわく広場」では結木かなさんによるパーソナルカラー診断も。
▲ ラーメンを1000食提供してくれた「宅麺.com」。
▲ マスタードの酸味が効いておいしいと好評だった、鶏のフリカッセ(クリーム煮)。
▲ 珠洲「わくわく広場」での淺野シェフによる炊き出し。ふんわりと焼きあがるオムレツの甘い香りに誰しも笑顔になります。
▲ 珠洲「わくわく広場」での炊き出しに参加した田島優己さん(中央)。田島さんは現在開業準備中で、注目の料理人のひとり。
▲ 珠洲「わくわく広場」では結木かなさんによるパーソナルカラー診断も。
▲ ラーメンを1000食提供してくれた「宅麺.com」。
▲ マスタードの酸味が効いておいしいと好評だった、鶏のフリカッセ(クリーム煮)。
