2025.04.30
【ブラザー・コーン】「病気もスキャンダルも早期発見・早期治療が大切」
バブル時代の申し子であるブラザー・コーンさんが初となる自伝を上梓。日本がいちばん元気だった80~90年代のハチャメチャに楽しいエピソードを中心に、突然の不祥事、男性には珍しい乳がんとの闘病……その起伏に富んだ半生を語ってくれました。
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写真/豊田 亮 編集/石井 洋 (Web LEON) プロデュース/Kaori Oguri

バブルのど真ん中を駆け抜けた男の半生
「最高だね日本が元気あった時代またこんな時代きたらいいのに」
「今年23歳。なんて羨ましい時代だろう。この時代に生きてみたかった」
振り返れば90年代、世の中はまだバブル景気を引きずり、楽天的なムードに満たされていました。「明日はきっと今日よりいい日がやってくる」と、誰もが理由なく信じていた時代。ブラウン管のなかでファンキーにおどけるブラザー・コーンさんの姿はまさに“元気だった日本”の象徴であったでしょう。

東京・高円寺に生まれ、新宿や六本木のディスコで遊びまくっていた少年時代、縁あって「あのねのね」の弟子となり、芸能界入りした経緯。「WON’T BE LONG」の大ヒットから紅白出場、「行きたい」と言えばすぐに海外ロケが実現できた好景気のなかで、落とし穴のように待ち構えていた不祥事……23年に公表した男性には珍しい乳がんとの闘病に至るまで、赤裸々に語られる起伏に富んだ半生は読者をグッと引き込みます。

「毎日が楽しすぎて怖かった。おれ、どうなっちゃうんだろって」
ブラザー・コーン(以下コーン) これが最初で最後の自伝ですから。自分の人生を洗いざらい書くのは恥ずかしいんですが、世の中に活気があった時代に芸能界に入って、仕事と言いながら楽しく、自分の好きなことを思うようにやってきたんですよね。でも年をとってからは病気がちで、一時は「余命3カ月」と言われたこともあって、もちろんいいことばかりじゃなかった。読んでくれた方が、この俺の生き方や、バブル時代の熱気から、何かプラスになることを感じとってくれたらいいな、と。
── まず描かれているのは、ひょうきんでクラスの人気者だったこども時代、そして新宿や六本木のディスコに通いまくっていた学生時代……ブラザー・コーンになる前の近藤信秋さん(本名)の姿は、私たちのコーンさん像にピタリとハマりますね。なんというか……遊び人(笑)。
── 意外だったのは「あのねのね」に弟子入りするなど、コメディアン志望の時代もあったことでした。
「どん底の時に助けてくれた憲武には頭が上がらない」
コーン みんながギラギラしていたよね。センパイたちが1000万円くらい入ったバッグを銀座のママに持たせて気前よくご馳走してくれたり、番組でもハワイや西海岸なんか気軽にロケに行けたり。二日酔いで収録に臨んだこともあるけど、失敗も許されるおおらかな時代でしたね。ホテルのスイートルームでパーティーしてたことも(自伝には)書いています。今はコンプライアンスが大切なのはわかるけど、(石橋)貴明なんて10年以上前のセクハラ疑惑を取りざたされちゃって。ちょっときゅうくつな世の中になってきたよね。

コーン 言い訳したいわけじゃないけど、触れないのも不自然だから。顛末については、まあ(本を)読んでもらえればわかってもらえると思うけど、あの時は友達のやさしさが身にしみました。出所した日、マスコミに追いかけられるだろうからと、(木梨)憲武がクルマを手配してくれて、ホテルのスイートルームを1週間キープしてくれていたんですよ。ヒロミやRICAKOも来てくれて、励ましてくれたし。仕事も全部なくなって、落ち込んでいたけど、持つべきものは友でした。

コーン そう、俺って、いつも楽しいのよ。留置場には3週間入っていたんだけど、毎晩すごく楽しい夢を見ていました。あと周りの人にも良くしてもらって「73番、風呂入れ」って、いつも一番最初にお風呂入れてもらって。あ、73番って俺の番号ね(笑)。

「人生、何事も早期発見、早期治療が大切だよ(笑)」
コーン 男が乳がんになるのかと驚いたけど、1000人にひとりくらいなるんだそうです。まだ投薬中だけど、8月には「バブルガム・ブラザーズ」として新しいアルバムも出すし、元気でいないとね。
コーン 今の若い人たちには……っていうとジジイみたいでイヤなんだけど、真剣に、手間暇かけて遊んでほしいと思っています。遊びのない人生はさびしいじゃない。真剣に遊んで出会った友達はホンモノですから。あとね、病気も、スキャンダルも、早期発見、早期治療が大切(笑)。何事もコレで行こうよ。
● ブラザー・コーン(Bro.KORN)
1955年、東京都生まれ。大学在学中に出演した「とびだせものまね大作戦」(フジテレビ系)で注目を集め、1983年にBro.TOMと「バブルガム・ブラザーズ」を結成する。1990年にリリースされた「WON’T BE LONG」がミリオンヒットを記録し、1991年には「第42回NHK紅白歌合戦」に出場。2023年、乳がんと診断されたことを公表した。

ブラザー・コーン自伝『WON’T BE LONG~バブルと泳いだ人生~』
およそ170万枚を売り上げた「WON’T BE LONG」で一世を風靡した「バブルガム・ブラザーズ」のブラザー・コーンによる初の自伝。木梨憲武やヒロミ、RIKACOら大物芸能人たちとバブルのど真ん中を駆け抜けたブラザー・コーンの半生を辿りながら、輝かしく、ハチャメチャで豪快なエピソード満載。同時に、男性にしては極めて珍しい乳がんとの闘病の過程も記されている。
出版社/講談社
発売日/2025年5月21日予定(※一部、発売日が異なる地域あり)
定価/1650円(税込)
プロデュース/Kaori Oguri
全国の書店、ネット書店で予約受付中 。
【イベント&オンライン配信(Zoom)】『WON’T BE LONG ~バブルと泳いだ人生~』(講談社)刊行記念イベント
日時/2025年5月24日(土)11時開始(開場10時45分)
会場/六本木 蔦屋書店 2階SHARELOUNGE内イベントスペース
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