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2025.09.10

【試乗リポート】「ボルボEX30クロスカントリー」はアウトドアにも行ける“街の遊撃手”!

ボルボのEVであり、コンパクトSUVの「EX30」をベースに、アウトドアアクティビティ向きのスタイリングに仕立て、悪路走破性を高めたモデルが「EX30クロスカントリー」。外観からは想像できない驚きの加速性能で、意外なほど運転の楽しいモデルだった。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/ボルボ・カー・ジャパン 編集/森本 泉(Web LEON)

国内で人気のEV、EX30がベースのアウトドア仕様

ボルボEX30クロスカントリー WebLEON
昨年ボルボは2030年までに新車販売のすべてを電気自動車(BEV)にするという目標を撤回した。とはいうものの将来的にBEV専業メーカーになるという方針に変更はなく、世界のBEVの販売状況を鑑みて目標時期を2040年に延期したというわけだ。

実際のところボルボは着実にBEVのラインアップを拡大しており、日本へは導入されていないが、EX90、ES90、EM90といったラージサイズのBEVも本国や中国などで販売している。
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ベースとなる「EX30」。今年8月に商品改良をうけ、全5モデルにラインアップを拡大。シングルモーターのエントリーモデルでは479万円という500万円以下の価格を実現している。
▲ ベースとなる「EX30」。今年8月に商品改良をうけ、全5モデルにラインアップを拡大。シングルモーターのエントリーモデルでは479万円という500万円以下の価格を実現している。
日本へはいまのところC40リチャージやEX40そしてEX30といったコンパクトSUVのみが導入されている。なかでも2023年に発売されたEX30は人気で、国内市場における2024年の輸入EVの車名別登録台数でテスラモデルY、モデル3に続く3位となっている。

そのEX30をベースに、悪路走破性を高めるために車高を上げてロードクリアランスを確保し、キズの目立ちにくい樹脂パーツを効果的に配置してアウトドアユースにも適したデザインにしたのが「EX30クロスカントリー」だ。
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「EX30クロスカントリー」のラインアップはいまのところ高性能なUltra Twin Motor Performanceのみの設定。車両価格は649万円
▲ 「EX30クロスカントリー」のラインアップはいまのところ高性能なUltra Twin Motor Performanceのみの設定。車両価格は649万円
ボディサイズは全長4235mm、全幅1850mm、全高1565mm。全長4.3m以下はプレミアムセグメントにおいてはかなりコンパクトな部類で、レクサスLBX(全長4190mm、全幅1825mm)あたりと近い大きさだ。

最低地上高は195mmで、悪路走破性を高めるために EX30よりも20mm 高められている。
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ブラックの専用フロントシールドにはトポグラフィーパターンが描かれており、スウェーデン最高峰のケブカイセ山の緯度と経度が表記されている。
▲ ブラックの専用フロントシールドにはトポグラフィーパターンが描かれており、スウェーデン最高峰のケブカイセ山の緯度と経度が表記されている。
リアにもブラックの専用シールドを採用。CピラーにはCross Countryのロゴ入りパネルを配置している。
▲ リアにもブラックの専用シールドを採用。CピラーにはCross Countryのロゴ入りパネルを配置している。
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エクステリアは、フロントマスクとテールゲートをマットブラック仕上げに。フロントにはスウェーデンの北極圏にあるケブネカイセ山脈の地形図からインスピレーションを受けたユニークなアートワークが施されている。そしてダークカラーのホイールアーチ・エクステンションがタフな印象を与えている。
シンプルでモダンなインテリアデザイン。ダッシュパネル全体から左右のドアにかけて亜麻を使ったフラックス・デコパネルが採用されている。ハーマンカードンのプレミアムサウンドシステムも標準装備する。
▲ シンプルでモダンなインテリアデザイン。ダッシュパネル全体から左右のドアにかけて亜麻を使ったフラックス・デコパネルが採用されている。ハーマンカードンのプレミアムサウンドシステムも標準装備する。
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サステナブルとスタイリッシュを両立

インテリアデザインは基本的にEX30を踏襲。しかしポップなイメージの強かったEX30に対して使用素材を一新することでシックで落ち着いた雰囲気を醸す。スカンジナビアの森の常緑樹の松やモミの葉からインスピレーションを得たPine(パイン)と呼ばれる自然素材が用いられている。

シートにはウールブレンドの素材を、加飾パネルには一年草で成長が早く、栽培中にCO2 を吸収する再生可能な繊維である亜麻を使ったフラックス・デコパネルを採用。微に入り細に入りサステナビリティを追求しつつも、ボルボらしいスタイリッシュな空間をつくりあげている。またインフォテインメントシステムは定評のあるGoogleを採用し、ワイヤレスApple CarPlayが搭載されたことでより使い勝手がましている。
インテリアのテーマは、スカンジナビアの常緑松林にインスパイアされた「パイン」。シート地にはウール30%、再生ポリエステル70%を配合したテイラード・ウールブレンド素材と、リサイクル素材とバイオ由来素材からなるノルディコを組み合わせている。
▲ インテリアのテーマは、スカンジナビアの常緑松林にインスパイアされた「パイン」。シート地にはウール30%、再生ポリエステル70%を配合したテイラード・ウールブレンド素材と、リサイクル素材とバイオ由来素材からなるノルディコを組み合わせている。
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街中ではキビキビと、ロングドライブも快適に

試乗車のモデル名は「ウルトラツインモーターパフォーマンス」とスポーティな印象を与えるもの。前後アクスルに2基のモーターを搭載。最高出力はフロント115kW、リア200kWとあるので、前後を足せば325kW、約428PSにもなる。最大トルクはフロント200Nm 、リア343Nmとこちらも足しあわせれば543 Nmと、ちょっとしたスポーツカー並みのものだ。

実際にアクセルペダルに力を込めると、想像以上に鋭い加速をみせる。アウトドア向けというクルマのキャラを考慮すると、加速性能は抑えて電費をよくしたほうがいいのではないかと試乗後にボルボの担当者にたずねてみたら、上級モデルとの上位互換で高性能モーターが使用されているという。アクセルを強く踏まなければいいだけのことだが、乗り手の自制心が問われるモデルではある。

街中を流していても、ハンドリングは軽快でキビキビと動くし、ふとした瞬間に意のままに加速できるので運転が楽しくなる。いささか古い話で恐縮だが、“街の遊撃手” というCMのキャッチコピーを思い出した。
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電気自動車専用モデルのため床がフラットで、とても全長4.3m以下のクルマとは思えないほど後席も広い。フロントシート下への足先の収まりもよく、このサイズで約180cmの大人が座れる後席空間を確保する。
▲ 電気自動車専用モデルのため床がフラットで、とても全長4.3m以下のクルマとは思えないほど後席も広い。フロントシート下への足先の収まりもよく、このサイズで約180cmの大人が座れる後席空間を確保する。
また高速道路では、ベースのEX30では乗り心地が少しかために感じられたが、車高を上げるため専用のサスペンションを採用したことによって快適性も高められていた。コンパクトカーながらも駆動用バッテリーの総電力量は69kWh、一充電走行距離は500km(WLTCモード)と十分なもので、これならロングドライブも快適にこなせそうだ。

そもそもボルボはステーションワゴンをベースに車高をあげ、アウトドア向けのスタイルに仕立てた、いわゆる“クロスオーバー” をいち早く取り入れたブランドであり、そのモデルを四半世紀以上にわたって“クロスカントリー” と呼んできた歴史がある。そして、今度は都市型BEVをベースに、新たなクロスカントリーを生み出したというわけだ。
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藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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