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2025.09.03

【試乗リポート】最新世代のプジョー3008は、いいファミリーカーの資質を備え、ヒットの予感!

プジョーのミッドサイズSUV、3008が第3世代へとフルモデルチェンジした。電動化、そして最新のデザインを取り入れ大幅にアップデイト。その一方で“猫足”と呼ばれるプジョー独自のしなやかな乗り味はしっかりと継承している。ヒットの予感がするモデルの登場だ。

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文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

画像/Stellantisジャパン

真ん中がゼロの3桁と、真ん中2つがゼロの4桁の数字を登録商標

プジョー3008 WebLEON  SUV フランス車
106、205、309、405など、プジョーといえば伝統的に真ん中がゼロの3桁の数字を車名にしてきた。ポルシェ911の初代モデルの車名は当初901だったが、真ん中がゼロの3桁数字のすべてをプジョーが商標登録していたため、911に変更を余儀なくされたというのは有名な話だ。

そして2004年に発表された1007を皮切りに、SUV系の車名は4桁の数字が使われるようになった。ちなみに以前は、1桁目はサイズ、末尾は世代をあらわしていたが、現在は世代が一巡したモデルもあり、末尾はすべて8とする法則になっている。
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ボディサイズは全長4565×全幅1895×全高1665mm。プラットフォームはステラティスグループの「STLA-Medium」を採用する。
▲ ボディサイズは全長4565×全幅1895×全高1665mm。プラットフォームはステランティスグループの「STLA-Medium」を採用する。
8年ぶりにフルモデルチェンジした3世代目の3008は、ステランティスグループの最新プラットフォーム「STLA-Medium」を採用する初のモデル。このプラットフォームは、ホイールベース、全長、地上高、サスペンション形式などにおいて色々な構成に対応でき、また電気自動車のみならず、ハイブリッド車などにも使える設計の自由度をもつ。

したがって今後はこれをベースとしたアルファロメオやジープなどさまざまなブランドのモデルが登場する予定だ。
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最新のプジョーのアイデンティティとも言えるライオンの爪痕をモチーフにした3本ラインのLEDデイタイムランニングライト。リアランプも同じモチーフが用いられている。
▲ 最新のプジョーのアイデンティティとも言えるライオンの爪痕をモチーフにした3本ラインのLEDデイタイムランニングライト。リアランプも同じモチーフが用いられている。
新型3008のエクステリアデザインは、ファストバックスタイルのいわゆるクーペSUV。幾何学模様のグリルの中央には新世代のブランドエンブレムが、そして左右には最新のプジョーのアイデンティティとも言えるライオンの爪痕をモチーフにした3本ラインのLEDデイタイムランニングライトが配置されている。リアのLEDランプにも同様に爪痕の3本ラインが用いられている。
ライオンの爪痕のモチーフは、プジョーのレーシングマシンにも用いられている。現在、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦しているプジョー「9X8」。車名の3桁の真ん中のXは、全輪駆動やハイブリッドパワートレインをあらわす。9月26〜28日には、富士スピードウェイで、WEC第7戦「富士6時間レース」が開催されるのでライブでみたい方はぜひ。
▲ ライオンの爪痕のモチーフは、プジョーのレーシングマシンにも用いられている。現在、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦しているプジョー「9X8」。車名の3桁の真ん中のXは、全輪駆動やハイブリッドパワートレインをあらわす。9月26〜28日には、富士スピードウェイで、WEC第7戦「富士6時間レース」が開催されるのでライブでみたい方はぜひ。
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独自性を貫く「i-Cockpit」を進化させたインテリア

エクステリア以上にあたらしさを感じさせるのが、ドライバーを囲むようにスクリーンやスイッチ類が配置されたインテリア。テキスタイル調のトリムは、サステイナブルであることを感じさせる最近のトレンドでもある。
プジョーの新世代インテリア「Panoramic i-Cockpit」。適度な囲まれ感と計算されたボタン配置など、オリジナル性は高いが慣れると使いやすいもの。
▲ プジョーの新世代インテリア「Panoramic i-Cockpit」。適度な囲まれ感と計算されたボタン配置など、オリジナル性は高いが慣れると使いやすいもの。
プジョーこれまでも「i-Cockpit(アイコックピット)」という独自のデザインを採用してきた。これは小径のステアリングの位置をできるだけ下げ、ドライバーはその上からメーターを覗きこむレイアウトになっている。メーターがステアリングによって遮られない、また前方の視界が広くなるといった利点がある。
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新型では21インチのワイドなスクリーンにメーター類やインフォテインメントなどを集約。ダッシュボード中央には、頻繁に使用する機能を10個のショートカットキーに任意でわりあてることができる「i-Toggles(アイトグル)」を配置するなどしている。プジョーはこの新世代インテリアを「Panoramic i-Cockpit(パノラミック アイコックピット)」と呼んでいる。

電動化が進んでも、“猫足”は健在 

試乗車は、最上級グレードの「GTアルカンタラパッケージ」で、シートは中央部にアルカンタラ素材を使用し、上質かつ身体が滑りにくくホールド感を実現している。またサイドサポート部などをドライバーの好みに調整できるアダプティブボルスター機能をプジョーとして初搭載。さらにマッサージ機能まで備わっていた。
人工スエードであるアルカンターラを用いたシート。肌触りがよくかつホールド性に優れるといった特性がある。プジョー初のアダプティブボルスター機能やマッサージ機能も備わった。
▲ 人工スエードであるアルカンターラを用いたシート。肌触りがよくかつホールド性に優れるといった特性がある。プジョー初のアダプティブボルスター機能やマッサージ機能も備わった。
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パワートレインは、マイルドハイブリッドとBEVの2種類で、後者は年内にも追加の予定。試乗したモデルは、新開発の1.2リッター直列3気筒ターボエンジンと、6速デュアルクラッチ式トランスミッションに内蔵する電動モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載。システム最高出力は145PSを発揮する。

マイルドハイブリッドといっても約30km/h までは電動走行が可能。燃費はWLTCモードで19.4km/Lを実現しており、クルマを取得した際にかかる税金である環境性能割1%対象となっている。車両重量1620kgのミッドサイズSUVが、ハイブリッドといえども1.2リッター3気筒エンジンでちゃんと走るのか心配だったが、しばらく走っているとそれは杞憂にすぎないとわかる。

実際のところ、電動走行できる時間はスタート時くらいで長くはない。しかしエンジン始動中もモーターによって発進、加速をサポートするため、動力性能は必要にして十分なもの。

またプジョーのサスペンションには伝統的にスプリングを柔らかく、ダンパーの伸び側の減衰力を高める独自のセッティングが施され、猫の足さばきのしなやかさになぞらえ“猫足”という異名が用いられてきた。
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ハイブリッドモデルには19インチホイール「YARI」を標準装備。これは長野県、北アルプス南部に位置する槍ヶ岳の特徴である、槍の穂先のように鋭い山頂部をモチーフにデザインされたものという。
▲ ハイブリッドモデルには19インチホイール「YARI」を標準装備。これは長野県、北アルプス南部に位置する槍ヶ岳の特徴である、槍の穂先のように鋭い山頂部をモチーフにデザインされたものという。
自動車メーカーのグローバル化の流れのなかでそうした各ブランドの独自性は薄れつつあるが、プジョーはこの最新モデルにもその個性をしっかりと与えていた。したがって街乗りもいいが、長時間の運転でも疲れにくく、ロングドライブにも向いている。

エンジンノイズやロードノイズも抑えられているし、フランス車の伝統で、先のサスペンションだけでなくシートもいい。大人4人がくつろげる空間があって、少し気を遣ってドライブすれば燃費20km/Lオーバーも難しくない。それでいてエントリーグレードなら500万円以下、最上級グレードでも600万円以下なのだから、ファミリーカーとしてヒットの予感なのである。
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プジョー3008の車両価格は、エントリーグレードの「Allure Hybrid」が489万円。「GT Hybrid」が540万円。最上級グレードの「GTアルカンターラパッケージHybrid」が558万円
▲ プジョー3008の車両価格は、エントリーグレードの「Allure Hybrid」が489万円。「GT Hybrid」が540万円。最上級グレードの「GTアルカンターラパッケージHybrid」が558万円
藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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