2018.04.08
【バーゼル速報06】
世界的評価がさらに高まる、グランドセイコー&セイコー
世界最大規模の時計見本市が、スイスのバーゼルで行われる「バーゼルワールド」。著名な時計ブランドが多数出店するなかで、静かで熱い地殻変動がおこっている模様。そんななかから、LEON.JPが注目する時計ブランドの最新作と、目が離せないブランドの動向をご紹介します。6日目は、日本の優れたものづくりを象徴する、グランドセイコー&セイコーです。
- CREDIT :
写真/小林孝至 取材・文/福田 豊
◆ グランドセイコー
日本のものづくりは、世界のトップクラスであるという左証
これまでにも、別ブランドとして扱うという旨のアナウンスはありましたが、これをもって完全な独立ブランドとなったのです。展示ブースもそれぞれ別々に。時計を見ても、ダイヤルの12時位置の「SEIKO」のロゴは「Grando Seiko」と変更されています。
その理由は、欧米では「セイコー=クォーツ式の安価な時計」というイメージがいまだに強く、そこからグランドセイコーを脱却させ、高級ブランドとしての地位を確立するというのが狙いのようです。いわば、メルセデス・ベンツに対するマイバッハ、トヨタに対するレクサス、といった関係を構築するため。
鑑みるに、クォーツ式が安価なのは、たまたま大量生産に向いていたというだけのこと。そのため価格を安価に設定することが可能だっただけで、決して“安物”というわけではありません。逆に言うと、機械式が高価なのは、手間がかかるためです。
その線でいくと、グランドセイコーは、驚くほどの手間がかけられています。まず、グランドセイコーを組み立てられるのは、ごく限られた熟練の時計師のみ。
独自の「GS規格」(グランドセイコー規格)は「C.O.S.C.」(スイス公式クロノメーター検定)を超える厳密さで、「C.O.S.C .」が一部抜き取り検査であるのに対し、「GS規格」は全品検査を徹底。
しかも検査は、夏休みも正月休みもなく、一年中続けられています。もちろん、ケースなどの仕上げも丹念に手作業で行われるのです。
つまり、日本のものづくりは世界のトップクラスである、ということを、グランドセイコーやレクサスは体現しているのです。
さて。今年のグランドセイコーのハイライトは、ブランド史上最高精度を誇る機械式ムーブメント「9S」の誕生20周年を記念した限定品の登場でした。わけても特別なのが「V.F.A.」(Very Fine Adjusted)の復活。これは「GS規格」のさらに上を行く高精度のために、「9S」のなかから特に優れた個体を選び出し調整しているのが特徴。
まるで映画『ウインチェスター銃’73』の1000挺に1挺だけつくられるライフルのような話で、そういうモノ好きな男には堪らない、グッときちゃうものなのです。
◆セイコー
男心をくすぐる、名作ダイバーズが復刻
また最近は、ベルトをリボンベルトなどに付け替え、街使いするのが流行しています。いまどきのお洒落アイテムのポジション、認知とも確保しているのです。
などなどと、グランドセイコーもセイコーも、日本が世界に誇れるブランドである、ということを、改めて、実感したのです。
バーゼルワールドとは?
「BASELWORLD」=「バーゼルワールド」は、毎春先にスイスのバーゼルで開催される、世界最大級の時計宝飾見本市。そもそもはスイスの主要産業である工業製品を国内外に披露する「スイス工業展」が起源で、昨年100周年を迎えました。
そんな長い歴史と伝統から、市民にとっては“年に一度の祭事”のようになっており、チケットを買えば誰でも入場できる、まさにお祭りのような明るくオープンな雰囲気が特徴。週末には、友だち同士や、カップル、ベビーカーを押した家族、老夫婦、犬連れの方など、さまざまな来場者が皆うれしそうに時計を眺めている姿を見ることができます。
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セイコーウオッチお客様相談室 0120-061-012