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2020.10.11

フランク ミュラー「トノウ カーベックス」に込められた“時の哲学”とは?

数多の時計のなかでも「名作」と呼ばれるモデルを、時計のプロが語ります。第4回目は、“天才時計師”と謳われるフランク ミュラー氏が、自らのブランドのフラッグシップモデルに選んだ「トノウ カーベックス」。その独特のデザインには、ブランドの哲学が凝縮されているのです。

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写真/鈴木泰之(Studio Log) 文/福田 豊

星の数ほどある腕時計のなかで、「名作」と呼ばれるモデルは何が違うのか? 時計のプロがその魅力を語ります。あなたの「時」を豊かにする、理想の1本との出合いを、ぜひ──。

“時の哲学”が凝縮された、独自のデザイン

フランク ミュラーは「天才時計師」と謳われるフランク ミュラー氏が自身の名を冠して創設したブランド。

フランク ミュラー氏は、ジュネーブの時計学校で本来は3年かかる技術を1年で習得するなど、開校以来もっとも優秀な成績で卒業した逸材。そんなことから在学中から時計界で名を知られ、卒業後には多数の時計ブランドから誘いを受けますが、すべてを断り独立時計師の道を選択しました。
▲フランク ミュラーを代表するモデル。アイコンであるトノウ カーベックスケースと、やはりフランク ミュラーの象徴であるビザン数字のインデックスが特徴。このビザン数字インデックスは初期の書体で、後により太い書体が誕生しています。「トノウ カーベックス」自動巻き、18KPGケース(45×32mm)、クロコダイルストラップ。205万円/フランク ミュラー(フランク ミュラー ウォッチランド東京)
そうして1986年に、世界初のトゥールビヨン搭載腕時計を発表したのを皮切りに、トゥールビヨンにミニッツリピーターとパーペチュアルカレンダーを併載したグランドコンプリケーションや、ミニッツリピーター搭載ワールドタイムなど、数々の「世界初」を開発。1992年に、ブランドとしてフランク ミュラーを設立しました。

さて、そんなフランク ミュラーの代表作が「トノウ カーベックス」。その独特のケースは、フランク ミュラーのアイコンになっています。

〜「トノウ カーベックス」が時を哲学する3つのポイント〜
(1)球体から切り出したような3次元フォルム
(2)トノウ カーベックに合わせて創案されたビザン数字
(3)「マスターオブコンプリケーション」の本当の意味
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(1)球体から切り出したような3次元フォルム

トノウ カーベックスケースが誕生したのは、まだ独立時計師の時代であった1986年のこと。当時のフランク・ミュラー氏は世界初の複雑機構を生み出すことに没頭していました。

しかしある時、親しくしていた時計の注文主であるイタリア人の婦人から「丸型ケースではない、あなた独自のデザインを」と依頼されます。
そうして創案されたのが、世界初のケースデザインである、トノウ カーベックスケース。大きな特徴は、球体から切り出したような、三次元曲線のフォルム。縦・横・斜めのすべての方向に曲線が描かれ、それらの曲線が1点に集約するのです。

ちなみに、そんなことから一般的なトノウ(樽)型ケースとはまったくの別物とされ、欧米では「トノウ カーベックス」ではなく「サントレ(湾曲)カーベックス」と呼ばれています。

さらに、すべてが曲線であるトノウ カーベックスケースでは、サファイアクリスタル風防も3次元フォルムに加工されています。しかし、高硬度のサファイアクリスタルを精確に美しく加工するのは非常に困難なこと。つまりトノウ カーベックスケースは、フランク ミュラーのデザインが素晴らしいだけでなく、加工技術が優れていることも表している。そういう意味でも、フランク ミュラーを代表する名作なのです。
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(2)トノウ カーベックに合わせて創案されたビザン数字

前記したイタリア人の婦人のために作られたトノウ カーベックスケースの最初の時計は、ミニッツリピーターとパーペチュアルカレンダーを併載した超複雑機構モデルでした。1986年のイタリア・ビチェンツァの見本市に参考出品し、そこで高い評価を受けます。

その時、トノウ カーベックスケースに合わせて創案されたのが、ビザン数字のインデックス。そしてトノウ カーベックスケースとビザン数字インデックスとの組み合わせは、そのまま1992年のブランド創業時のファーストコレクションにも採用されました。フランク ミュラーのスタイルとして確立され、ビザン数字もまたフランク ミュラーの象徴的なデザインになったのです。

また、ビザン数字インデックスは、職人による手仕事であるのも特徴。数字の輪郭が描かれたなかに手作業でインクを注入し、表面張力によりふっくらと盛り上がった立体的なインデックスに仕上げているのです。

というように、インデックスひとつとっても物語がある。そこがフランク ミュラーの時計の深さであり大きな魅力でもあるのです。
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(3)「マスター オブ コンプリケーション」の本当の意味

冒頭で述べたように、フランク ミュラーはトゥールビヨンを初め数多の複雑機構を開発している、複雑機構の名手。そんなことから、自ら「Master of Complications」=「マスター オブ コンプリケーション」と名乗り、ケースバックにその文字を刻んでもいます。

しかし重要なのは、複雑さがフランク ミュラーの本質ではないこと。
たとえば、トゥールビヨンはより正確な時間を表すためのもの。レトログラードセコンドは過ぎ去った時間は戻らない、ということを表し、「クレイジーアワーズ」は時間の束縛から逃れるために作られました。

そんなふうに、フランク ミュラーの複雑機構は、時間の表現のために使われているのです。「マスター オブ コンプリケーション」と、自ら名乗るのもそういうこと。いわば「時の芸術家」や「時の哲学者」といった、そういう深い意味をもっているのです。
※掲載商品はすべて税抜き価格です

■ お問い合わせ 

フランク ミュラー ウォッチランド東京 03-3549-1949

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