2026.02.23
株式会社エイトウィル CEO:田中翔大
さり気ない自己表現を意図した、真っ黒「ロレックス」と2つの「パテック フィリップ」
時計はオトナの必需品であり、自身の足跡を雄弁に物語る記念品でもあります。健康食品シーンに単身で飛び込んだ気鋭の起業家が愛用するのは、これ見よがしでなく本当の自分にマッチした“しっとり”時計。
BY :
- 文/長谷川 剛
- CREDIT :
写真/高橋敬大(Table Rock) 編集/長谷川 剛(Table Rock Script)
気鋭のCEOの腕時計選びとその遍歴とは?
田中翔大さんは、現代人がリアルに求める“あるモノ”に目を付け起業した先見の人。それは世界初の機能をもつ韓国発の特殊乳酸菌「ディグルラクト」。その特許菌株を使用したサプリや原料成分を、企業向けに販売する会社、エイトウィルのCEOを務めています。
そもそも田中さんは、大学卒業後に入社した野村証券株式会社を経て、株式会社HRBrainに創業メンバーとして参画するなど、着実にキャリアを形成していました。しかし、さらなる夢を求めて2025年に自社を創業。スピード感をもってビジネスを展開する、行動派のエグゼクティブとしてメキメキ頭角を現しています。

▲ 大学時代はサッカー部に在籍していたという田中さん。明朗快活な新時代の経営者です。
「“ディグルラクト”は韓国で特許が取得された乳酸菌由来の食品原料。近年、健康志向の高まりとともに、グルテンフリー市場は世界的に注目を集めています。ただし日本国内において、厳密な意味でグルテンフリーを実践できている人はまだ多くありません。それはやはり、現代生活においてパンや麺類などの小麦粉主体の食品を避けて暮らすことが難しいから。ただし弊社の“ディグルラクト”は、グルテン自体を分解できる世界初の機能が大きなポイント。最大約70%のグルテンを分解する性能が認められた乳酸菌として、韓国特許を取得しています」
つまり「ディグルラクト」を使ったバゲットやパスタならば、グルテンの摂取を大幅にカットできるということ。これはグルメと健康指向の両立を願う我々のような欲張りにとって、夢のような朗報です。しかし単身異業種となる食品関係のシーンに乗り込むには、相当な決断が必要だったのでは?
「そうですね。前職のHRBrainは、いわゆる人事管理サービスを提供する会社。業績もかなり順調に推移していましたが、やはり自分の力で新しい事業を作り上げたいと考えていました。そんな時に“ディグルラクト”に出会い、商材としての大きな可能性に惹かれ、また健康という人の幸せに直結するビジネスを手掛けたい考え、スパッとこちらにシフトしました(笑)」
高級機械式時計の魅力を知った「ポルトギーゼ」との出会い

▲ 普段着はシックなダークカラーの装いが田中さんの定番。それに合わせて真っ黒ウォッチを愛用しています。
そんな行動的かつ商才に溢れる田中さん。ビジネスに邁進するなかで、時計がひとつの節目になっていると振り返ります。
「いわゆる本格時計を最初に手にしたのは、証券会社勤務時代。飛び込みの営業先で出会った社長さんから強く薦められ、IWCのポルトギーゼを60回払いで買いました(笑)。言われるままの購入でしたが、スーツスタイルのアクセントとして非常にマッチしていると感じ、長く使用しました。時計についてまだ深い知識はなかったものの、良い時計を身に着けると自信も湧くし、身嗜みについても気を払うようになるなど、効果があると感じました」

▲ 時計は強引に買い求めるのではなく、「自然な形で出会うのが一番の理想」と話します。
当時、周囲の同僚も田中さんと同様に、いわゆる高級時計を付けていたのだそう。そしてその時計のチョイスに関しては、大まかにふたつのタイプがあったと言います。
「ひとつは“がっつり系”。45mm超ケースなど、迫力あるデコラティブなモデルを付ける人が当時から少なくありませんでした。もう一方は“しっとり系”。特に目立ちはしないけれど、よく見ると美的デザインや優れた機能をもったモデルをさり気なく付けるタイプ。自分はどちらかというと、“しっとり系”に惹かれていました」
証券マン時代を経て、カジュアルな服装で過ごすことが多くなった田中さん。ライフスタイルの変化に合わせてひとつの時計を手に入れます。
真っ黒サブマリーナーが今の自分にちょうどいい

▲ 普段用の相棒として田中さんが選んだのは、世界的な人気を誇るスポーツロレックス。モノトーンにブルーを効かせたデザインが目を引きます。
「それが現在も愛用しているロレックスのサブマリーナー。ただし、マットブラックにカスタムされたモデルで、いろいろな服装に合わせやすい汎用性がポイントです。
普段の自分は春夏ならTシャツ、そして秋冬はスウェットパーカを主体とするカジュアルな装いがメイン。メタリックな印象の強い時計よりも、シックな真っ黒時計の方がしっとり見えるだろうと探して出会いました」

▲ 実は「MAD Paris」という、フランス・パリを拠点に著名ブランドの時計をカスタマイズするレーベルの作品。特にブラックのDLC加工は、MAD Parisの得意技だと言われています。
「MAD Parisのカスタム・ロレックスは、知る人ぞ知るマニア向けの一本。サブマリーナー自体はある意味定番でありながら、しっかり差別化できるところにこの時計の魅力があります」
そんな田中さんのウォッチライフにおいて、ひと際大きな節目を飾った時計がパテック フィリップのアニュアル(年次)カレンダー。これは前職の人事管理サービス会社をエグジットした際に購入したものだそう。
憧れのパテック フィリップ。年次カレンダーの魅力に引き込まれる

▲ 独立を機に手に入れたパテック フィリップの「年次カレンダー(ref.4947/1A)」。同シリーズ初となるステンレススチールモデルです。クラシカルながら爽やかなルックスが田中さんに似合っています。
「IWCに始まる僕の時計遍歴。いろいろな高級時計を探すなかで、やはりパテックフィリップはいつしか大きな憧れとなりました。
取締役まで務めたHRBrainを辞して、いよいよ自分の事業に乗りだす大事な節目ということから、ついに雲上ブランドに手を掛けました。
本当のことを言うと、当初の希望はノーチラスなどのスポーティなモデル。しかし実際にブティックで出会ったのは、この非常にドレッシーな年次カレンダーでした。

▲ アニュアルカレンダー(年次カレンダー)は、1996年に世界で初めてパテックフィリップが開発した複雑機構です。このref.4947はその機構を積んだ後継モデル。絹目調のブルーダイヤルも若々しくエレガントな印象です。自動巻きcal.26-330 S QA LUを搭載。
実物をじっくり眺めると、その美しさにグイグイ引き込まれてしまい、結果迷うことなく購入(笑)。大事な商談など、ここぞのシーンではこの年次カレンダーを付けて出掛けます。ご存知のとおり、年次カレンダーは年に一回だけ日付調整をすればよいコンプリケーション。その“儀式”についても同様に気に入っています(笑)」
すっかり雲上ブランドの虜となった田中さん。さらにもう一本のパテックフィリップを“おかわり”します。
「パテック フィリップは高級時計ブランドの頂点だけあって、デザインから仕上げ、機能に至るまですべてが最高だと感じています。先に買った年次カレンダーはステンレススティールモデルですが、輝きがどこか違うと感じています。
かといってギラギラしているわけでなく、シャツ一枚の装いにも自然になじむ輝き。ただし、僕が選んだ年次カレンダーは飽くまでクラシカルなルックスです。もう少しモダンなモデルも手に入れたくなりました」

▲ 田中さんにとって二本目のパテック フィリップとなるモダンな「カラトラバ(ref.6007)」。ブルーの色使いが何とも鮮烈です。明るいブルーは田中さんのフェイバリットカラー。
そして手に入れたのが、パテック フィリップのカラトラバ。しかしいわゆる“クンロク”ではなく、2023年のウォッチズ&ワンダーズで発表されたカラフルでグラフィカルな新時代モデルです。
「非常にポップなルックスですが、一般的なカジュアル時計とは異なり、念入り仕立てであるのは先の説明どおり。恐らくこれを見て、カラトラバと気付かない人も多いのではないでしょうか」

▲ このref.6007は、赤い矢印のカレンダー針で知られたref.6006の発展モデル。エボニーブラックの文字盤中央には、カーボンエンボス・パターンが施され、スポーティな印象を放ちます。18KWG製ケースに搭載されるのは、自動巻きcal.26-330 SC。
腕時計を選ぶ決め手は“縁”
「個人的な考えですが、あまりに分かりやすい時計は、セルフプロデュースの面でマイナスになる場合があると感じます。特に初対面の人との出会いに言えますが、時計だけが突出していると、僕という人間への理解にブレが生じてしまう。
まずはフィルターなく自分を正面から見てほしいのです。できればその後に『なるほど、だからこういう趣味なのか』と気付いてもらうのがベスト(笑)。そういう意味でもこのカラトラバは、僕の理想の一本と言えるでしょう」
数々の素晴らしい時計遍歴を経て、時計は“縁”だと感じるようになったと話す田中さん。執着することなく柔軟に出会いを続けることで、自分にマッチした一本に出会えるものだと考えています。

● 田中翔大(たなか・しょうた)
株式会社エイトウィル CEO。大学卒業後、野村證券株式会社に入社。2017年、株式会社HRBrainの創業メンバーとして参画し、2020年に取締役に就任。2024年、自身の保有株式を投資ファンドへ譲渡し退任。2025年、株式会社エイトウィル創業。従来の常識にとらわれず、本質的な価値を提供し続ける手腕に定評を持つ。
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