2026.02.09
リョウザンパーク代表:竹沢徳剛
愛用するIWCとノルケインは家族や仲間との繋がりの証
時計はオトナの必需品であり、自身の足跡を雄弁に物語る記念品でもあります。意識の高いツワモノを世界から呼び込む現代版“梁山泊”の主は、ワイルドかつダンディ。絆や友情を具現化した「濃い」時計を相棒とし、愛情を注ぎ込んでいます。
BY :
- 文/長谷川 剛
- CREDIT :
写真/高橋敬大(Table Rock) 編集/長谷川 剛(Table Rock Script)
現代版“梁山泊”の主は、腕時計に人生の記念を重ねる
竹沢徳剛さんは東京・豊島区を拠点に、シェアハウスとシェアオフィスを組み合わせた複合施設、「リョウザンパーク」の代表者。
「リョウザンパーク」は『水滸伝』に登場する梁山泊からのネーミングであり、世界から傑出した意志を持つツワモノどもを集めたいと願う、竹沢さんの熱い思いが込められています。

▲ 情熱的にアクティブな人生を突き進む竹沢さん。愛用時計に対しても、真摯にアツく向き合っています。
竹沢さんは単なる賃貸物件のオーナーではなく、夢をもつ人達が集い、積極的な交流の中で友情を育み、ともに希望を実現させていける場所を運営したいと考え、地元である巣鴨から「リョウザンパーク」のプロジェクトを始動。年を追うごとにその計画は認知を広め、現在は5つの関係施設を運営しています。

▲ 今回の取材場所となった「リョウザンパーク グリーン」は、東京都認定のインキュベーション施設で、個室オフィスや、会議や水耕栽培などの実験ができるラボスペースを有しています。1階にはレストランも併設。
「リョウザンパークは施設が完成したら終わりではなく、そこからがスタート。だから僕自身が率先し、リョウザンパークの一員として日々活動しています。
一般的なシェアハウスやシェアオフィスとは異なり、利用者が一緒に食事を楽しめる場所やフィットネスを設けることに加え、彼等と旅行を楽しむイベントなども随時企画しています。
それは、ともに生活や体験をシェアすることで、強い絆や友情が生まれると信じているから。個々の活動も確かに大事ですが、それだけだと限界もある。仲間の輪を広げることで、個人の時よりも大きな計画を動かしていけると考えています」
▲ 近隣の地域活性化を意図したイベントでは、リョウザンパークの敷地を開放。餅つき大会でも真っ先に杵を振るいます。
▲ 竹沢さんは起業家が多く住まうシェアハウスという先進的な取り組みをする一方で、現代生活では忘れられがちな人間の“野生”を取り戻すことも大切だと、週末はほとんど山や海へ赴いているのだとか(!)。写真はリョウザンパークで実施した、滝行体験を組み込んだツアーの一幕(中央右が竹沢さん)。

▲ 近隣の地域活性化を意図したイベントでは、リョウザンパークの敷地を開放。餅つき大会でも真っ先に杵を振るいます。

▲ 竹沢さんは起業家が多く住まうシェアハウスという先進的な取り組みをする一方で、現代生活では忘れられがちな人間の“野生”を取り戻すことも大切だと、週末はほとんど山や海へ赴いているのだとか(!)。写真はリョウザンパークで実施した、滝行体験を組み込んだツアーの一幕(中央右が竹沢さん)。
大切な“王子さま”との出会いを祝したIWC
そんな竹沢さんは時計がひとつの趣味。今回はなかでも大事な2つの時計を紹介していただきました。ともに竹沢さんが常に心の真ん中に置く、“絆と友情”、そして思い出に溢れた特別なタイムピースです。

▲ 家族との絆を感じさせる竹沢さんのIWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ “プティ・プランス”」。大きめケースのパイロットウォッチですが、大柄の竹沢さんが身に付けるとちょうど良いサイズです。
「昔から、何か特別な記念があると、時計を手に入れてきました。例えば、僕の娘が生まれた時にはジャガー・ルクルトのレベルソを買いました。その反転ケースのソリッドバックに娘の名を入れて、妻にプレゼントしたんです。
一方で、今日持ってきたIWCは、息子が生まれた時に手に入れたもの。そもそもIWCは父親がポルトギーゼを所有していて、少なからず憧れあるブランドでした」

▲ 快活な笑顔でエピソードを語ってくれる竹沢さん。熱のこもった語り口についつい引き込まれます。
「でも、自分はもう少しワイルドなモデルの方が良いなと思っていたところ、昔、イタリア旅行中にビッグ・パイロット・ウォッチに出会ったんです。
その時、『コレコレ!』と盛り上がりましたが、ただし購入には至らず……。個人的に本当に手に入れるべき時計は“向こうから来る”と考えており、あの時はもうひとつ何か決定打が足りなかったのです。
そして息子が産まれ、ビッグ・パイロット・ウォッチに『星の王子さま』モデルがあることを知り、ついに『タイミングが来たっ!』 となりました(笑)」

▲ サン=テグジュペリの世界的な『星の王子さま』をオマージュした「ビッグ・パイロット・ウォッチ プティ・プランス」。“プティ・プランス”とは、「小さな王子さま」を意味するフランス語。ケースバックにお馴染みの絵柄が彫り込まれています。
待望の第二子の誕生を、竹沢さんが敬愛する偉人のひとりであるサン=テグジュペリの『星の王子さま』に重ねたわけです。
サン=テグジュペリは、それまで未開拓であった欧州-南米間の飛行航路を確立した飛行士であり、小説家。そんな伝説的小説家自身の哲学にも、竹沢さんは強く惹かれてきたと言います。

▲ IWCは恵まれない子供や青少年の教育を支援する団体「アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ財団」のパートナーであり、その繋がりから本作をリリース。46.2mmケースは迫力も十分。
「昔から冒険者に対してリスペクトを抱いていました。誰も成し遂げていない領域を単身切り開いていく姿は感動的なもの。
なかでもサン=テグジュペリは小説の中に非常に良い言葉をも残しており、強いシンパシーを感じさせます。
例えば『共通の目標で仲間と結ばれたとき、われわれは初めて呼吸することができる。経験は教えてくれる。愛することはお互いに見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることなのだ』。その文章は、そのままリョウザンパークの理念にも重なります」

▲ 立派な体躯をもつ竹沢さん。リョウザンパークにはダンベルやフィットネスバイクなどが設置されており、自ら空き時間に身体を鍛えているのだそう。
タフなフライトジャケットを愛用する現代版“梁山泊”の主。それは男子たるものワイルドたれ、と考えているから。そんな快活なタフガイの腕元に、大きめのビッグ・パイロット・ウォッチはこの上なくマッチして見えるのです。
ちなみに、リョウザンパークの入居者は施設内のフィットネスを利用して身体を鍛えているうちにメンタルもどんどん元気になり、いつの間にか何組もカップルが生まれ、結婚に至っているとのこと。これもパワフルかつピースフルな竹沢さんの影響かも?
忘れられぬ友との思い出が詰まったノルケイン
そして、常に仲間や友情を大事にする竹沢さんは、その後にもうひとつの時計を手にします。それがノルケインのアドベンチャー・スポーツ 42mm。
トレイルや登山、それにマリンスポーツなど、大自然に挑むスリルを体現したアクティブなモデルです。

▲ 友人である冒険家の成功を願って手に入れたノルケインの「アドベンチャー・スポーツ 42mm」。入手して2年ほど経ちますが、ブロンズケースは今も明るい輝きをキープしています。
「ある時、僕はひとりの南極冒険家に出会いました。阿部雅龍くんという若者であり、非常に熱いハートをもつ男。
出会った時に意気投合して、お互いのチャレンジ精神ががっちりクロスしたことから、阿部くんはその日にリョウザンパークの住人になることを決めました」

▲ ノルケインのなかでも特にアウトドアユースが似合うモデル、「アドベンチャー・スポーツ」。経年変化が楽しめるブロンズケースは100mの防水仕様。グリーンの文字盤やストラップが大自然を感じさせるところも竹沢さんのお気に入り。海や川のアクティビティ、そして滝修業等に連れていくと言います。
「彼は当時、日本人で初めてメスナールートによる南極点単独徒歩到達を達成し、続いて人類未到のしらせルートの単独徒歩踏破に挑戦するため、いろいろな準備の真最中。
そもそも南極に行くにも莫大なお金が必要なので、スポンサーを得るため全国を奔走しており、僕はリョウザンパークの仲間なら、きっと阿部くんを温かくバックアップできると考えました。
そんな中、阿部くんはそのチャレンジマインドからノルケインのアンバサダー(ノルケイナー)に認められ、僕も両者の劇的な出会いに感動して、記念に時計を手に入れることにしたんです」
その時、竹沢さんにひとつの腹案が生まれました。一般的に南極の地に立つには、まずチリの南端にあるプンタ・アレナスに行き、そこから船もしくは飛行機にて向うのが定石です。
実はプンタ・アレナスは、南米航路を切り開いたあのサン=テグジュペリにゆかり深い場所。1938年に開催されたニューヨーク〜プンタ・アレナス間の飛行レースにも参加していたのです。
そこで竹沢さんは阿部さんのお見送りに随行すると同時に、敬愛する作家の足跡を自ら辿る南米行きプランを思い付いたのです。

▲ かつて寝食をともにした友との思い出が詰まった「アドベンチャー・スポーツ 42mm」。この時計を見つめる竹沢さんの表情からは、楽しかった記憶と慈しみの心が見て取れます。
「ただ、冒険の直前に阿部くんは重い脳腫瘍が見つかってしまいました。それにも関わらず、彼は希望を持ち続け治療に励みました。しかし残念ながら、3度目の南極の地を踏むことなく亡くなってしまいました。
非常に悲しい話ですが、彼の飽くなきチャレンジスピリットは、僕の中でしっかり生きています。このノルケインのアドベンチャー・スポーツは、現在の僕のデイリーウォッチであり、海や山などにも一緒に行く大事な相棒。
そしてこの時計を見るたびに、僕は必ず阿部くんを思い出します。本当にあの時、この時計を手に入れておいて良かったと心の底から思っています。そして僕は、この時計が若者たちの抱くチャレンジスピリットと、未来への希望を末長く刻み続けるであろうと信じるのです」

● 竹沢徳剛(たけざわ・のりたか)
リョウザンパーク代表。1981年、豊島区生まれ。米国で在米邦人向け新聞記者として勤務。その後帰国し2012年、シェアハウス・シェアオフィス「リョウザンパーク巣鴨」を開設。 2014年に豊島区が「消滅可能性都市」であることを知り、託児所付きシェアオフィス「リョウザンパーク大塚」をオープン。行政や近隣住民などを巻き込みながら、巣鴨・大塚エリアにて都市における「村づくり」を実践。2019年在日英国商工会議所起業家賞受賞。
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