2025.10.11
モデル/美容ジャーナリスト 櫻井貴史
モデル人生が導いた2つの「ロイヤル オーク」へと続く道
時計は単なるステイタスアイテムにあらず。自身の足跡を雄弁に物語る記念品でもあるのです。人生の節目ごとに特別な時計を手に入れてきたキャリア25年超えのベテランモデルは、一体どんなウォッチライフを送っているのでしょう?
BY :
- 文/長谷川 剛
- CREDIT :
写真/高橋敬大(Table Rock) 編集/長谷川 剛(Table Rock Script)
自分への記念に高級時計を手に入れる

ファッション誌面では多くのモデルがトレンドのウエアに加え、本格時計を身に付け華やかに登場します。しかし、個人的に長年の趣味にしている人はそれほど多くありません。
実際にモデル業のなかで数々の高級時計に触れ合うだけでなく、時計に関する知識もキャッチアップしてきた櫻井さん。そんな達人はこれまでどんな時計を愛用してきたのでしょう。そしていかにして時計ライフを楽しんでいるのかを含め、うかがってみました。

「若い頃から時計が好きでした。ただ、本格的な趣味となったのは、初めて買ったブルガリが切っ掛けでしょう。その頃、僕はシンガポールのモデルエージェントに所属しており、向こうで二十歳を迎えました。そして何か節目のアイテムを手に入れようと考え、ブルガリのスポーツウォッチを手に入れたのです。結構ムリして購入したこともあり、当時はその時計をずっと付けていました(笑)。高級時計は見た目も確かに華やかですが、実に作りがしっかりしていて、眺めるごとに買ってよかったと思わせる魅力があるんです。そこで、何かの節目にはその都度時計を手に入れて、自分の記念を増やしていこうと考えました」
「それまではスポーティなモデルを中心に選んでいましたが、40歳を迎えてドレッシーなモデルが欲しくなりレベルソを指名しました。それまで、ブランドが催す新作発表などのレセプションは、雑誌の編集者やファッションビジネスに関わる人が主に出席するものでしたが、2010年頃からは、モデルも顔を出すのが一般的になって、そういった席ではジャケット着用が定番なのでレベルソは非常に重宝しました」

しかし、一年ほどすると経営者であることにも慣れ、とあることを不意に思い出したのだそう。

当時もロイヤル オークは簡単に手に入るものではなく、希望をブティックに伝えて一定期間待ってからの入手。待望の一本ということもあり、初めて手にした時は感慨もひとしおでした」

「僕が選んだロイヤルオークはref.15500ST。いわゆる第三世代と呼ばれるモデルで、41mm径のやや大きめサイズがポイントです。定番的な3針式オートマティックですが、高級時計はシンプルなモデルでも非常に深い満足感をもたらしてくれるもの。磨き抜かれたケースやブレスレット、それに緻密な彫り込みのタペストリー文字盤など、唯一無二の存在感がビシビシと伝わってくるんです(笑)」

惚れ込み抜いたからさらにもう一本!

そしてこの喜びをひとつの形にしたい考え、どうしようかといろいろと悩みました。で、その答えとなったのがもう一本のロイヤル オーク。ちょうど新たなモデルが打ち出され話題にもなっており、なかでも37mmモデルは非常に気になっていたのです」

「12時位置の“AP”ロゴが排されスッキリした盤面ですが、ケースの際までタペストリーが広がっていて奥行きある印象になっています。また、ネイビーのトーンもわずかに濃いため、どこか締まった雰囲気。何よりもref.15550は小振りの37mmケースゆえ、終日付けていても重さを感じません。なので、出張などは断然37mmの方で出掛けます」

「いろいろなお仕事でモデルをしてきました。しかし、そのメインはやはりメンズファッションに関わるもの。男の服装のなかで、時計は小さいフォルムですが重要なアイテムです。だから、僕も出掛ける際は時計を身に付けるクセが付きました。やはりコーディネートがぴりっとキマるんです。
とはいえ、あまりに時計だけが目立ちすぎるのも僕好みではありません。控えめでありながら、しっかり大人のエレガンスを備えた時計が、今の自分には必要だと感じます」

櫻井さんはネックレスや腕輪などの装飾品を、普段あまり身に付けないスタイル。しかしブレスレット仕様のロイヤル オークは、コマの磨きも緻密ゆえに、時計でありながら優れた装身具のようなクオリティ。それゆえにシャツ一枚のシンプルな装いでも、華やかかつ爽やかなルックスになると言うのです。


● 櫻井貴史
長年、男性ファッション誌の表紙モデルを務めるなど多岐に渡って活動。美容ジャーナリストとして『Men’s VOCE』での連載執筆や、各種メディアで審査員やコメンテーターも務める。株式会社「ティ」の代表としてブランド監修やマーケティング、イベント企画などに携わり、トークイベントや講演への登壇にも積極的。
Instagram/@sakurai_takashi
YouTube/さくCHANNEL