• TOP
  • WATCHES
  • 旅先で見つけたレアなジャガー・ルクルトをお洒落の達人はどうこなす!?

2025.09.06

ファッションディレクター 鴨志田 康人

旅先で見つけたレアなジャガー・ルクルトをお洒落の達人はどうこなす!?

時計は単なるステイタスアイテムにあらず。装いにしっかり生かしてこそお洒落上手と言えるのです。時計を使ったスタイルアップ術とは一体どういうものかを、達人が実際のコーディネートを交えてレクチャーします。

CREDIT :

写真/高橋敬大(Table Rock)  編集・文/長谷川 剛(Table Rock Script) 

男性的な艶も引き出す黒×金時計の妙

今季の秋も絶対注目したいスエードブルゾンの装い。ウェルドレッサーの鴨志田さんは、絶妙な差し色セーターを着込んでメリハリを演出。
▲ 今季の秋も絶対注目したいスエードブルゾンの装い。ウェルドレッサーの鴨志田さんは、絶妙な差し色セーターを着込んでアクセントをちょい足し。
大人であればそれなりに良い時計を持っているのは当たり前。そして上級者はその時計を巧みに使いこなすと言います。そう、良い時計をただの自慢のためだけに所有するのでは、あまりにもったいないと言うもの。今回は本邦におけるファッションシーンの重鎮が、どのように時計スタイルを楽しんでいるかを紹介します。

鴨志田 康人さんは、あのユナイテッドアローズにおいて長くバイヤーやクリエイティブの責任者を務め、現在は同社アドバイザーのかたわら、ポール・スチュアートのメンズディレクターとして活躍する人物。男性服の要であるクラシックスタイルを知り抜いた、ワンランク上の達人です。
PAGE 2
服装のプロフェッショナルとして、若い頃から時計に親しんできたのは言わずもがな。カルティエやロレックス、それにオーデマ ピゲなどを所有してきたとのこと。そしてそんな鴨志田さんが、新たな一本を手に入れられたと噂があって、今回の取材とあいなりました。

時計選びにおいて、必ず自身のスタイルを念頭に置く鴨志田さん。ですから、新たな愛用時計も当然、着こなしを引き立てる効果を備えていることは確実です。そこで、カジュアルとスーツという2つの定番スタイルにおいて、“どう付けこなすのか”を実際にレクチャーしていただきました。

まずカジュアルスタイルは、秋をイメージしたスエードブルゾンの装いです。ブラウンを基調とした穏やかで上質な雰囲気が実に洒脱。

カジュアルなブルゾンスタイルをレアな“角金”でランクアップ

ブルゾン22万円/ポール・スチュアート(ポール・スチュアート青山本店)、セーター4万4000円/ソブリン(ユナイテッドアローズ) その他私物
▲ ブルゾン22万円/ポール・スチュアート(ポール・スチュアート青山本店)、セーター4万4000円/ソブリン(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店) その他私物
PAGE 3
「この着こなしは、気軽な散歩スタイルといったもの。ショート丈の革製ブルゾンは、軽快にしてほどほどの存在感を放つところがポイントです。スエード素材は硬質な表革にはない、ソフトなエレガンスが大きな魅力。そしてパンツはブルゾンのカラーを拾った同系色を選んでいます。細かいハウンドトゥース柄と、ゆったりしたフィット感が特徴であり、スタイルに動きの要素が備わる一本です」
シューズも含めスエードの持つソフトなエレガンスを好む鴨志田さん。大人の余裕を感じさせます。
▲ シューズも含めスエードの持つソフトなエレガンスを好む鴨志田さん。大人の余裕を感じさせます。
ブラウン系の着こなしは秋らしいしっとり感を放つもの。ただし、場合によってはもっさり見えてしまうきらいも。しかし、鴨志田さんはパープルのセーターを着込むことで、全体のカラートーンを乱すことなく、穏やかにメリハリ感を演出しています。そしてそんなコーディネートに合わせた一本が、ジャガー・ルクルトのヴィンテージ・レクタンギュラー。
PAGE 4
手に入れたばかりの“角金”ジャガー・ルクルト。1960年代製と思われるレクタンギュラーは、無垢のゴールドケースがリッチの証。文字盤6時位置には、自動巻きを示す「VOGUEMATIC」の文字が見えます。
▲ 手に入れたばかりの“角金”ジャガー・ルクルト。1960年代製と思われるレクタンギュラーは、無垢のゴールドケースがリッチの証。文字盤6時位置には、自動巻きを示す「VOGUEMATIC」の文字が見えます。
「今年の初夏にバンコクを訪れた際、マニアに知られたヴィンテージショップまで出向いて手に入れました。角型の時計という意味では、僕はすでにカルティエのタンク(白文字盤)を所有しています。しかしこのルクルトは、同じ四角でも若干フォルムが異なり、文字盤もブラック。自分のコレクションにはなかった、艶っぽさが特に気に入りました」

そして帰国してすぐレザーベルトを2本、銀座のジャン・ルソーにてオーダー。今日はそのうちのひとつであるグレーベルトを付けていただきました。
PAGE 5
「お気に入りの時計を手に入れたら、まず好みのベルトに替えるのが自分流。今回はニュアンスのある柔らかいグレーレザーを選んでいます。以前に入手したオーデマ ピゲもベルトはグレーカラー。しかしそちらはトーンの異なるグレーで、素材もクロコダイルでした。今回のルクルトにはケースの形状や文字盤の色味、それにこれからの着こなしを考慮して、最終的にゴート(ヤギ革)をセレクト。カーフ(牛革)のソレとは一味異なる、独特のシボ感がなんとも気分にマッチしたのです」
丈夫でありながらしなやかさを持つといわれるヤギの革。この玄妙無数に入ったシワと優しいグレーカラーが選びの決め手に。
▲ 丈夫でありながら、しなやかさを持つといわれるヤギの革。この玄妙無数に入ったシワと優しいグレーカラーが選びの決め手に。
ブルゾンの袖口からのぞくパープルのセーターに並ぶグレーレザーの角金時計。このフォーメーションが、小気味よいコントラストを描きます。そしてヤギ革ならではのシボ感もまた、味わいをも主張するポイント。
PAGE 6
センスを感じさせるブラウン、パープル、グレーの配列。もちろん真面目すぎないブラック文字盤も効いています。
▲ センスを感じさせるブラウン、パープル、グレーの配列。もちろん真面目すぎないブラック文字盤も効いています。
「訪れたバンコクのショップではいろいろと悩みました。王道と言われる著名モデルにも惹かれましたが、やはり他所であまり見掛けないモデルが欲しかった(笑)。あれこれ探して行き着いたのが、このジャガー・ルクルトなんです。僕は時計選びに際し、全体のデザインと同様に、とにかく“薄くて軽い”を重視します。この一本は自動巻きにして非常にスマート。まさに僕好みの一本と言えるでしょう」

上品でありながら柔和なタッチのベルトを纏った通好みのジャガー・ルクルト。とはいえ、カジュアルスタイル専用機ではありません。ドレススタイルに合わせても、良い感じになると鴨志田さんは話します。
PAGE 7

ドレッシーさのなかに絶妙な寛ぎを生む時計の妙

そこで特別にスーツスタイルとのマッチングも見せていただきました。鴨志田さんがチョイスした一着は、長年ひいきにしているリベラーノ&リベラーノのダブルブレステッド。定番的なグレンチェックですが、ほんのりベージュ掛かっているところがポイントです。
隙のないスーツスタイルはさすがのもの。リベラーノ&リベラーノはサルト(スーツ)文化の一大拠点であるイタリア、フィレンツェにおける代表格。鴨志田さんの“マイ・テーラー”であり、この一着はもちろんオーダーメイド。
▲ 隙のないスーツスタイルはさすがのもの。リベラーノ&リベラーノはサルト(スーツ)文化の一大拠点であるイタリア、フィレンツェにおける代表格。鴨志田さんの“マイ・テーラー”であり、この一着はもちろんオーダーメイド。
PAGE 8
「基本的にはオーセンティックな一着です。遊び要素のないスーツですが、少しカラー掛かった生地であり、そういった意味では本格フォーマル服のような厳密さはありません。以前はこのスーツに白文字盤のカルティエなどを合わせ、手堅く着こなしていました」

しかし今回、ジャガー・ルクルトを手に入れたことにより、王道のオーセンティックな装いとは別に、アレンジを加えたコーディネートもできるようになったと語ります。
新たな愛用時計を腕にトークも弾む鴨志田さん。着こなしの幅が広がったと嬉しそうに語ります。
▲ 新たな愛用時計を腕に、トークも弾む鴨志田さん。着こなしの幅が広がったと嬉しそうに語ります。
PAGE 9
「とはいえ、遊びのスタイルかというとそうではありません。キチンとドレッシーであることはもちろん、少し寛ぎのタッチを盛り込んでいるのです。まずベージュのシャツがそのひとつ。ネクタイも同系色のプリントタイをチョイスし、時計ベルトに寄せた組み合わせにしています。

最大のポイントとなるのは、やはりブラック文字盤の時計。これにより標準的なドレススタイルとはひと味違うニュアンスが漂います。もちろん要素だけで見ればキチンとした正統派のスタイル。しかしどこか艶っぽいスーツルックに仕上がっているように思います」
端正なレクタンギュラーフォルムに細身のバーインデックスが実にクラシカル。手巻き風に見えながら、実は自動巻きというのも実にお洒落。センス抜群です。
▲ 端正なレクタンギュラーフォルムに細身のバーインデックスが実にクラシカル。手巻き風に見えながら、実は自動巻きというのも実にお洒落。センス抜群です。
PAGE 10
足元に合わせたグレーのスエードスリッポンも、恐らくそういった気分から入念に選ばれた一足。ちゃんとしているのに、どこか小粋でノンシャラン。このギリギリの崩しこそ、スーツを長年着続けてきた達人の“神の遊び”にほかなりません。
旅先で見つけたレアなジャガー・ルクルトをお洒落の達人はどうこなす!?
鴨志田康人(ファッションディレクター)

● 鴨志田康人(ファッションディレクター)

1957年、東京生まれ。89年にユナイテッドアローズの設立に参画。以来、同社のメンズクロージングにおけるバイイングにはじまり、クリエイティブ業務の責任者として長く活動。2018年にはクリエイティブ・アドバイザーに就任。社内の監修業務に携わるかたわら、ポール・スチュアートのメンズディレクターも兼任する。

※掲載商品はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ

ポール・スチュアート青山本店 03-6384-5763
ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 03-5772-5501

こちらの記事もオススメです

PAGE 11

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        旅先で見つけたレアなジャガー・ルクルトをお洒落の達人はどうこなす!? | メンズウォッチ(腕時計) | LEON レオン オフィシャルWebサイト