2025.10.06
第34回
大人の男に欠かせない「ラジュグアリースポーツウォッチ」とは? その魅力と歴史
誕生から半世紀が過ぎ、腕時計のひとつのジャンルとして確立された「ラグジュアリースポーツウォッチ」。その魅力や誕生した背景を解説します。
BY :
- 文/渋谷ヤスヒト
- CREDIT :
編集/岸澤美希(Web LEON)
ラグジュアリースポーツウォッチとは何か?

スポーティなうえに、ケース厚が10mm前後と超薄型で付けやすく、名門ブランドのものならそのステイタス性の高さの点でも、大人ならぜひ1本は持ちたい時計のひとつです。
ラジュグアリースポーツウォッチの生みの親、ジェラルド・ジェンタ


クォーツショックによるスイス時計業界の動揺から誕生した新機軸
スイスの高級時計ブランドは、これまでにないまったく新しいコンセプトの時計を提案する必要に迫られ、その中で登場したのが初代ロイヤル オークだったのです。
ドレスウォッチにあえてステンレススティール素材を採用して、しかも超薄型かつスポーティなデザインにし、ドレッシーとスポーティの良いトコ取りを実現したのです。
「ドレスウォッチ=ゴールドケースでクラシック」という常識を破壊したという意味で、オーデマ ピゲにとっても意外なものだったといいます。

そして、ステンレススティール製でありながらゴールドウォッチと変わらないプライスタグが付けられた初代ロイヤル オークは、世界中をジェット機で飛び回り優雅なソーシャルライフを楽しむセレブリティから予想外の人気となりました。
▲ 1977年にヴァシュロン・コンスタンタンから発売された「222」のAD。デザインは当時新進気鋭であったヨルグ・イゼックによるもの。
▲ 「222」の後継期に位置付けられる「オーヴァーシーズ」は1996年に誕生し、現在に至るまでブラッシュアップを続けています。「オーヴァーシーズ オートマティック」自動巻き、SSケース(41mm)×ブレスレット(カーフレザーストラップとラバーストラップが付属)。15気圧防水。396万円/ヴァシュロン・コンスタンタン
▲ 1977年にヴァシュロン・コンスタンタンから発売された「222」のAD。デザインは当時新進気鋭であったヨルグ・イゼックによるもの。
▲ 「222」の後継期に位置付けられる「オーヴァーシーズ」は1996年に誕生し、現在に至るまでブラッシュアップを続けています。「オーヴァーシーズ オートマティック」自動巻き、SSケース(41mm)×ブレスレット(カーフレザーストラップとラバーストラップが付属)。15気圧防水。396万円/ヴァシュロン・コンスタンタン
▲ ジラール・ペルゴから1975年に発表された初代「ロレアート」。ベゼルにダイヤモンドをセッティングしたレディースモデルも展開されていました。
▲ 高度な技術を要するグラン・フーエナメル文字版のモデル。現在の「ロレアート」は第4世代に当たります。「ロレアート インフィニット グレー」自動巻き、SSケース(42mm)×ブレスレット。100m防水。250万8000円/ジラール・ペルゴ(ソーウインド ジャパン ジラール・ペルゴ)
▲ ジラール・ペルゴから1975年に発表された初代「ロレアート」。ベゼルにダイヤモンドをセッティングしたレディースモデルも展開されていました。
▲ 高度な技術を要するグラン・フーエナメル文字版のモデル。現在の「ロレアート」は第4世代に当たります。「ロレアート インフィニット グレー」自動巻き、SSケース(42mm)×ブレスレット。100m防水。250万8000円/ジラール・ペルゴ(ソーウインド ジャパン ジラール・ペルゴ)
2000年代初頭にラグジュアリースポーツウォッチとして再評価を得る
ところが、スイスの機械式時計の復活とそのブームが拡大した1990年代後半以降、とくにロイヤル オークが誕生30周年を迎えた2002年になると、時計コレクターや専門メディアがこのジャンルの時計をラグジュアリースポーツウォッチと名付けて再評価するという動きが始まりました。
さらに、ロイヤル オークの誕生40周年が大々的に祝われた2012年以降、このジャンルは時計コレクターばかりでなく世界中の時計好きから認知されるようになります。
▲ ショパールの「アルパイン イーグル」の前身である「サンモリッツ」のAD。リゾート地サンモリッツでウィンタースポーツを楽しむ人々のラフスタイルを想定していました。
▲ 「サンモリッツ」に着想を得ながら、さらにワシの虹彩といった自然のディテールも取り入れ、2019年に発表されたのが「アルパイン イーグル」。「アルパイン イーグル 41」自動巻き、ルーセントスティール™ケース(41mm)×ブレスレット。100m防水。231万円/ショパール(ショパール ジャパン プレス)
▲ ショパールの「アルパイン イーグル」の前身である「サンモリッツ」のAD。リゾート地サンモリッツでウィンタースポーツを楽しむ人々のラフスタイルを想定していました。
▲ 「サンモリッツ」に着想を得ながら、さらにワシの虹彩といった自然のディテールも取り入れ、2019年に発表されたのが「アルパイン イーグル」。「アルパイン イーグル 41」自動巻き、ルーセントスティール™ケース(41mm)×ブレスレット。100m防水。231万円/ショパール(ショパール ジャパン プレス)
ジラール・ペルゴのロレアート(2016年)や、ショパールのアルパイン イーグル(2019年)、IWCのインヂュニア・オートマティック 40(2023年)などがその好例です。
▲ 1974年には、ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた「インヂュニアSL」(Ref. 1832)が登場。1950年代に登場したラウンドウォッチの初代「インヂュニア」を大胆に再設計したものでした。写真は、IWCが自社の歴史的タイムピースに入念な検査と修復を施して販売するサービス「IWC. Curated.」で扱う「IWC. Curated.インヂュニア SL」(Ref. 1832)。
▲ 2023年には外装をよりブラッシュアップして「インヂュニア・オートマティック 40」が登場。2025年には小振りな35mmも加わり、コレクションの拡充が続いています。「インヂュニア・オートマティック 40」自動巻き、SSケース(40mm)×ブレスレット。10気圧防水。184万8000円/IWCシャフハウゼン
▲ 1974年には、ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた「インヂュニアSL」(Ref. 1832)が登場。1950年代に登場したラウンドウォッチの初代「インヂュニア」を大胆に再設計したものでした。写真は、IWCが自社の歴史的タイムピースに入念な検査と修復を施して販売するサービス「IWC. Curated.」で扱う「IWC. Curated.インヂュニア SL」(Ref. 1832)。
▲ 2023年には外装をよりブラッシュアップして「インヂュニア・オートマティック 40」が登場。2025年には小振りな35mmも加わり、コレクションの拡充が続いています。「インヂュニア・オートマティック 40」自動巻き、SSケース(40mm)×ブレスレット。10気圧防水。184万8000円/IWCシャフハウゼン

■ お問い合わせ
IWCシャフハウゼン 0120-05-1868
ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755
オーデマ ピゲ ジャパン 03-6830-0000
ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922
ソーウインド ジャパン ジラール・ペルゴ 03-5211-1791
ティソ 03-6254-5321