本邦トップの時計YouTuberが選んだヴァシュロン・コンスタンタン、ロレックス、オメガ

お洒落な男性なら誰もがステキな時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いお話がアレコレと飛び出します。

CREDIT :: 写真／干田哲平　構成・文／長谷川剛（TRS）

視聴者を導く“船長”はタフなスポーティウォッチがお好き

自身が出演しつつ解説もこなす、時計関連YouTubeを配信するRYさん。爽やかなネイビーのジャケットスタイルは、彼の定番的な着こなしのひとつ。

現在急速に注目を集めつつある時計関連のYouTube。RYさんは「腕時計のある人生Channel」のタイトルにて、昨今急速にファンを増やしている話題の時計YouTuberです。現在のYouTubeチャンネル登録者数は約8.7万人(！)。時計専門チャンネルとしては日本一を誇る、実力派メディアを独力で運営する人物です。

広範な知識から繰り出される分かりやすい解説、そして落ち着いたトーンの口調など、飽きずに興味をもって視聴できる配信が業界からも注目され、昨今は時計ショップやブランドとのコラボも多く手掛けています。そんな今を時めくウォッチYouTuberにお気に入り時計をうかがったところ、RYさんの本業にも縁深い“海”に関連するウォッチが登場しました。

RY　実は僕、本業は外国船の船長をしておりまして、しょっちゅう海の上にいるんです(笑)。そういった仕事の場合、付ける時計はやはり防水性に優れたスポーティウォッチだろうと。現在、10本ほど時計を所有していますが、その内の5本はダイバーズなど、海や水に関連したアクティブなモデルです。

ユニフォームでもあると語るネイビージャケットの装いに、ブルー文字盤の高級ドレスポ時計がよく似合っています。

PAGE 2

── なかでも大事に使用しているのがヴァシュロン･コンスタンタンのオーヴァーシーズオートマティックとロレックスのサブマリーナー、そしてオメガのシーマスターダイバー300Mの3本です。とりわけ現在のお気に入りは、やっぱりオーヴァーシーズとのこと。

RY　これは自身の30歳となる節目である2020年に買った一本。30歳でヴァシュロン･コンスタンタンは少し早いかとも思いましたが、今マッチしなくても10年後に似合うようになれば良いと考え、背伸びをして手に入れました(笑)。そもそもYouTubeでの配信をスタートさせたのが2020年。ただし、時計関連のメディアを2019年からブログ形式で始めており、複数の記事を書き上げてから“いつかはスイス三大時計が欲しい”と思っていたのです。我慢できず、結構早めに手に入れてしまいました(笑)

ジュネーブの名門、ヴァシュロン･コンスタンタンが打ち出すラグスポ時計の人気シリーズであるオーヴァーシーズ。エレガントでありながらアクティブな一本は、ドレススタイルにもカジュアルな装いにもマッチする万能時計。シースルーバックからは自動巻きcal.5100が観賞可能。

── もちろんパテックフィリップやオーデマピゲも選択肢として上がっていたと語るRYさん。しかしヴァシュロン･コンスタンタンの少し控えめな立ち位置や、継続経営している世界最古の時計ブランドという歴史性に惹かれたと言います。そしてオーヴァーシーズは、海に関連するネーミングを持ち、本格的に調べると実に素敵な特長を持つ時計があることを知りました。

RY　まず実機に触れて文字盤の深いブルーに感動。太平洋のど真ん中とまったく同じトーンのブルーなんです。そしてムーブメントの美しさも大きなポイント。ジュネーブシールを取得した機械は、スペックはもちろん仕上げの入念さもハイクオリティ。緻密な陰影を持つコート・ド・ジュネーブ装飾など、芸術的な美観を備えています。羅針盤を模した22K製ローターも、船長を務める僕にはグッとくるディテールです(笑)

PAGE 3

時計への愛情が尽きないRYさん。流れるような解説はまるでアナウンサーのトークのよう。

── そしてお次に伺ったのが、本格機械式時計の“沼”にハマった切っ掛けともいえる、ロレックスサブマリーナーについて。こちらは同じ会社に勤務する先輩の助言がひとつの起点になったとか。

RY　船に乗る仕事について3年経ったとき、なにか自分にご褒美を買おうと思っていたんです。スーツも車もすでに手に入れていたので、次はいよいよ時計だなと。しかし時計は種類が多くて何がベストか答えが出ません。そこで自分のオーストラリア人の上司に相談したところ、“ワールドスタンダードな良品から選びなさい”と言われ、検討の末サブマリーナーに行き着きました。結果、半年ほど探し続けて羽田空港のショップで手に入れることができました。

RYさんが初めて手にした高級時計であるロレックスサブマリーナー。タフなケース＆ブレスレットに視認性の良い夜光付きの大きめインデックスなど、確かに安定感溢れる一本です。

PAGE 4

──初めての高級時計ということで、購入してからは集中的に愛用し、そのなかでいろいろな発見があったと振り返ります。

RY　王道の定番が発する絶対的な安心感に、まずヤラれました(笑)。普遍的とも言えるムダのない完成されたデザインであり、使い勝手も抜群。そして見るたびに常に格好イイ(笑)。ダイバーズウォッチの先駆け的な存在でもあり、そういった歴史やストーリーも僕好みでした。あまりに良いものを手に入れたということで、あるとき誰かにこの感動を伝えたくなったのです。それが高じて時計ブログがスタートし、後にYouTube配信へとつながっていくのです。

── そして第三の「海時計」となるのがオメガのシーマスターダイバー300M。2022年の購入ということで、コレクションのなかでは比較的新しい一本です。

現在のヘビロテ時計であるオメガシーマスターダイバー300M。赤みあるゴールド使いが暖かみを感じさせます。レーザー処理にてあしらわれた文字盤の波紋模様も洒落感を醸すポイントに。耐磁性にも優れたマスタークロノメーター仕様です。

RY　それまで業務中は別のダイバーズウォッチを使っていたのですが、精度が落ちてきてしまって。そこでもう一本手に入れようと考え、オメガのシーマスターに目星をつけました。シーマスターはご存知のとおりサブマリーナーと並ぶボンド･ウォッチの双璧。業務に使うだけならSSモデルでも良いのですが、それだとサブと被ります。ですので、ちょっと秋の装いなどにも使い回しやすい、暖かみあるコンビモデルを入手しました。要素としてはサブと確かに似てはいるのですが、安定のサブに対してシーマスはちょっとデコラティブ。金・銀の外装に加えて波模様の装飾文字盤など、洋上で眺めると気分もアガるところが気に入っています。

PAGE 5

海や海外が職場であるヤマダさんならではのラインナップ。愛用品ゆえにどれもキレイなコンディション。時計好きがひしひしと伝わってきます。

── ダイバーズは車にたとえるとSUVに似ていると指摘するRYさん。いろいろなシーンに使えて堅牢かつ機能的なことから、本格時計ビギナーにも奨めやすいモデルとのこと。そう言う意味で、これからもいろいろなダイバーズウォッチに触れ、多角的な解説をYouTubeでも配信できたらと考えているのだそう。

● RY （時計YouTuber）

1990年生まれ。本業は世界の海を股にかける“船長”。初めて購入した機械式時計を切っかけに腕時計の魅力に取り憑かれる。日本の腕時計好き人口を増やすため、2019年にブログ『腕時計のある人生』を、2020年にYouTube『腕時計のある人生Channel』を開設。現在（2023年11月）のYouTubeチャンネル登録者数約8.7万人は時計専門チャンネルとして日本一。ラジオ局と合同でPodcastを配信するほか、出版社のウェブマガジンで時計コラムを多数連載するなど、幅広く時計の魅力を発信している。