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2023.03.13

第25回

腕時計のパワーリザーブがわかると、こんなメリットが!

時計の「7大複雑機構」のひとつが、パワーリザーブの残量を確認できる「パワーリザーブ・インジケーター」。耳慣れないかもしれませんが、腕時計をより高い精度で着用するための機構なのです。

CREDIT :

文/渋谷康人 編集/岸澤美希(LEON.JP)

腕時計の「使える時間」を示すパワーリザーブ・インジケーター 

▲ 1787年にアブラアン・ルイ・ブレゲが製作した懐中時計の名作「No.5」も、10時位置にパワーリザーブインジケーターが搭載されていた。自動巻きでクォーター・リピーター機能も搭載。
▲ 1787年からアブラアン・ルイ・ブレゲによって製作された懐中時計の名作「No.5」も、10時位置にパワーリザーブインジケーターが搭載されていた。自動巻きでクォーター・リピーター機能も搭載。
時計の「7大複雑機構」と呼ばれるのが、「トゥールビヨン」「パーペチュアルカレンダー」「ミニッツ・リピーター」「スプリットセコンド・クロノグラフ」「ムーンフェイズ」「レトログラード」、そして、今回紹介する「パワーリザーブ・インジゲーター」です。

パワーリザーブ・インジゲーターは耳慣れない機構かもしれませんが、時計のスペックに「パワーリザーブ約◯時間」という記載を見たことはあるでしょう。パワーリザーブとは、主ゼンマイに蓄えられたエネルギーで「時計がちゃんと使える時間」のことで、一般的に時間や日数で表記されます。

そして、パワーリザーブ・インジケーターは「いま、主ゼンマイに蓄えられているエネルギー量=時計が現時点で使える時間」を針や数字で表示してくれる機構のこと。クルマに例えれば、燃料計です。機械のエネルギー量が分かるって、メカ好きにはうれしいですよね。

ですが、パワーリザーブ・インジケーターには見る楽しみに以外にも、実用的なメリットがあるのです。
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パワーリザーブは「使いやすさ」に影響する 

パワーリザーブ・インジケーターは、古くは、高い精度が求められる航海用の置き時計「マリンクロノメーター」や、鉄道運行のために高い精度を追求した「鉄道時計」と呼ばれる懐中時計に搭載されていました。

なぜ、パワーリザーブ・インジケーターによって高い精度が確保できるのでしょう? 

まずは、パワーリザーブについてもう少し知ることから始めましょう。主ゼンマイのエネルギー量が機械式時計にとって、パワーリザーブは「使いやすさ」と「時間精度」を左右するとても大事な要素です。機械式時計は、手巻きの場合はゼンマイを巻かないと、自動巻きの場合は腕から外すと、やがて止まります。パワーリザーブが短いとすぐに止まってしまうので、手巻きなら頻繁にゼンマイを巻かなければなりませんし、自動巻きなら腕から外している時間をできるだけ短くする必要があります。
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2000年頃までは、機械式時計のパワーリザーブは特別なモデルを除けば手巻きでも自動巻きでも約36〜40時間程度が一般的でした。このスペックだと、たとえ主ゼンマイがフルに巻き上げられた状態でも2日間で止まってしまうことになります。つまり、自動巻きでも金曜日の夜に帰宅して腕から外すと、日曜日の夜には止まってしまう。だから、忙しい月曜日の朝にゼンマイを巻き、時刻合わせをする手間がかかったのです。
▲ パワーリザーブインジケーターはケース裏に搭載される場合も。「ポルトギーゼ・ハンドワインド・エイトデイズ “150 イヤーズ”」手巻き、SSケース(43.2mm)、アリゲーターストラップ。参考商品/IWC
▲ パワーリザーブインジケーターはケース裏に搭載される場合も。「ポルトギーゼ・ハンドワインド・エイトデイズ “150 イヤーズ”」手巻き、SSケース(43.2mm)、アリゲーターストラップ。参考商品/IWC
そこで2000年以降、時計ブランドの多くがパワーリザーブを伸ばそうとムーブメントの改良や世代交代に取り組みました。その結果、今では約72時間、日数で言えば約3日間というロングリザーブ仕様が標準になりつつあります。
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主ゼンマイのエネルギーが減ると「精度が悪くなる」 

また、パワーリザーブが少なくなると、精度の悪化にもつながります。心臓部である脱進調速機に供給されるエネルギーが少なくなって、脱進調速機が充分に働かなくなるからです。

具体的に起きるのは「テンプの降り角」の減少。テンプ=振り子の周期は一定で変わりませんが、降り角が少なくなるとテンプの往復回転運動のスピードが落ちて「外からの力」、つまり重力や時計に加わった衝撃の影響を受けやすくなるのです。この影響は主ゼンマイの量が少なくなればなるほど大きくなります。

また、主ゼンマイのエネルギーの蓄積量が多いほど、歯車輪列を通じて脱進調速機に伝わるエネルギーは高く安定する=「精度が安定する」ことになります。近年の機械式ムーブメントのロングリザーブ化は、この「時間精度の安定」のためでもあります。
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「止まり」と「時間精度の低下」を防ぐために 

機械式時計の仕組みを確認すると、パワーリザーブ・インジケーターはその「止まり」と「精度の劣化」を防ぎ、オーナーにゼンマイを巻くことを促すための表示機構だとわかるでしょう。

手巻きならゼンマイを巻く、自動巻きなら腕に着けるべきタイミングが一目瞭然となるのです。これは、最新の5〜10日巻きのロングリザーブ仕様でも頼りになります。

パワーリザーブ・インジケーターは絶対に必要な機構ではありませんが、優れた精度で使い続けるために頼もしい機構なのです。
※掲載商品はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ 

IWC 0120-05-1868
ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211

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