2026.01.04
知られざる食べ歩き天国・泉州は、日本人に本当におすすめしたい旅先でした
地方都市にも点在する中国の魅力。福建省泉州は、まさにそのひとつです。正直、いま中国への渡航には不安やためらいがある方もいるかもしれません。しかし、泉州は行ってみれば躊躇を忘れるほど、穏やかで美味しいものに溢れる街。かつては「海のシルクロード」の起点として栄え、いまも異国情緒が漂い、旅人を快く迎え入れてくれます。
BY :
- 文/大石智子(ライター)
- CREDIT :
編集/森本 泉(Web LEON)
人々の知恵を味わう街、泉州

大人になってくると、名前も知らない街に行く機会は減ってくるもの。海外旅行であれば、なおさらです。そこにきて、泉州(Quanzhou)。ヒルトンさんからこの街が魅力的だと提案された時、「どこですか?」というのが第一印象でした。
調べると、泉州市は福建省で最大の人口(約890万人)を誇る街。地図では台湾と海を挟んで向かいに位置します。上海から泉州晋江国際空港まで飛行機でおよそ1時間半、または成田空港からJALで隣町の廈門へ飛べば、そこから高速鉄道にて約30分でたどり着きます。
泉州へ向かう前夜、上海のトップレストラン「Ling Long(リン・ロング)」で「次は泉州に行く」とスタッフの女性に言うと、こう熱弁されました。
「泉州の閩南(ミンナン)料理は素晴らしくて、いま中国でとても人気があります。牡蠣オムレツや姜母鴨(ジャンムーヤー)を食べるんでしょうね。泉州は本当にストリートフードが豊富。小さな町がたくさんあって、それぞれが知恵を出し合って新しい料理を生み出してきた場所。泉州は“人々の知恵を味わう街”です。一番有名なお寺に行ったら、伝統衣装の仮装をした女子にいっぱい会いますよ」
さらに北京の友人は、「泉州は男の人が穏やかでいいですよ〜。喋る雰囲気からまったく違います」と言います。
期待を胸に泉州晋江国際空港に降り立つと、ゲート前の椅子が航空会社のラウンジのように綺麗。地味なところですが、まずそこに豊かさを感じてほっとしました。

▲ 発着ゲート前に仕切りのついた大きなソファが並び、打ち合わせスペースも用意。なお、中国旅行に際し、eSIMはAiraloのAsialink(GoogleやLINE等を使用するため)をダウンロード。タクシーの配車アプリは中国のヒルトンと連携しているDiDi、支払いはWeChat Payを利用。
ローカルに根づくホテルにチェックイン
空港からクルマで約20分、「ヒルトン泉州リバーサイド」に到着。ウェルカムティーを手に迎えてくれたのは、頭に大きな花飾りをつけて伝統衣装に身を包んだ女性たち。その花飾りは宋の時代に広く普及し、いまも漁村・蟳埔(シュンプ)村で受け継がれる「簪花囲(ザンホワウェイ)」というものです。

▲ 最近の取材の中でも歓迎ムードが最も強かったホテル。
漁村では海神への祈りが女性の役割で、花には祈願の意味があり、さらに女性たちは毎日家事もしなくてはいけない。そこで華やかかつ落ちにくい構造のカンザシとなり、村の高齢女性は現代でも日常的に「簪花囲」をつけているとか(日常版はもう少しシンプル)。

▲ 大きな髪飾りはフィルターと美しい背景をかけ合わせたような役割となり、女性を綺麗に見せます。
「ヒルトン泉州リバーサイド」では、この髪飾りと伝統衣装をゲストに体験させてくれるサービスを提供。セットしてくれるのは、本場・蟳埔村の女性です。筆者もお願いしたところ、ピンを駆使してもの凄い安定感。ホテル内での仮装体験のみなら約900円とお手頃で、歴史建築でのカメラマンによる撮影等、オプションも多数用意されています。

▲ 真っ白な状態から鯉を仕上げる絵付け体験。

▲ 屋根の上に鯉が鎮座。
同ホテルで提供する泉州の伝統を伝えるアクティビティは、のちに街歩きとリンクしてくるのが面白い。例えば、泉州のシンボルである鯉の絵付け体験もそうです。絵付け中、「泉州の城郭の形が鯉に似ているためカープシティと呼ばれています」と聞いてから街に出れば、シーサーならぬ鯉を守り神として屋根に飾る民家を目撃。伝統衣装の体験後には、西街の開元寺で多くの仮装美女を見かけます(後述)。お茶や食体験も然り。

▲ バスルームと一体化して解放感のある「キングデラックスルーム リバービュー」(48㎡)。バスタブの扉を閉めることも可。

▲ 晋江沿いに立つのでリバービューの部屋がおすすめ。
「ヒルトン泉州リバーサイド」
料金/キングゲストルーム1泊1室約1万4000円〜
HP/https://www.hilton.com/ja/hotels/jjnqchi-hilton-quanzhou-riverside/
“海のシルクロード”の起点だった国際都市

▲ 街にはイスラム建築の様式も。
泉州では、自分がいまどこのどの時代に立っているのか分からなくなるような瞬間があります。その理由は、泉州がかつて“海のシルクロード”の起点として栄え、いまも古い建物が残り、各国の影響を受けた建築様式が多いから。
中国南東の海辺に位置する泉州は、宋(960〜1279年)元(1271年〜1368年)時代に世界を繋ぐ中継貿易都市として栄えました。当時、泉州と結ばれていた港は世界各国100以上。泉州の港からは、陶磁器、絹、茶などが中東やアフリカに運ばれ、他国からはインドの宝石やアラビア半島の金銀などが舶来品に。誰もが学生時代に学んだ「日宋貿易」もその一端。泉州の商人が陶磁器を積んで福岡の港に入った記録も残っています。逆に日本からは刀剣や漆器などが海を渡りました。

▲ 「泉州海外交通史博物館」では、1105年に貿易商人に発給された、日本へ赴くための公認書も展示。
大海原を味方に、南栄王朝はイケイケどんどんの最盛期へ。泉州を起点に各国が活発に交錯し、かのマルコ・ポーロも泉州を訪問。泉州の港を、「あらゆる大きさ、出身地の船が出入りする世界最大級の港のひとつ」と記録しています。
物資だけではなく、航海術や宗教、建築様式も泉州にもたらされました。街を歩けば、アラブ世界を思わせるアーチ型の窓や、“寺”の名がつくモスクに遭遇。単なる交易拠点ではなく、国と国を結ぶ異文化交流の地であったことを感じさせます。大きなポイントは、泉州人たちが多様な文化や宗教に属する旅人を寛容に受け入れてきたことでしょう。そんな国際都市の誇りを引き継ぐのか、現代の泉州人もオープンで穏やか。旅行者にとって接しやすい気質に感じます。

▲ 1009年にムスリム商人のために建てられた「清浄寺」。
ありし日の姿が尊重され、泉州は2021年7月に、「宋・元時代の中国における世界的な商業の中心地」としてユネスコ世界遺産に登録されました。構成資産は、開元寺や清浄寺(モスク)、洛陽橋など22カ所の史跡群。

▲ 開元寺の階段。
開元寺に行ってみれば、仏教寺院ながらインドの影響を思わせる彫刻が彫られていて、やはり泉州らしい。そして開元寺の周りには、前述の花飾りと伝統衣装で着飾った女子・女子・女子!
現在は造花による花飾りですが、元はジャスミンやイランイランなど、外国からもたらされた生花が多く使われていたとか。花飾りの文化にも“海のシルクロード”が深く関わっていたのです。形は変わっても、歴史を紐解く装いが若者の間で流行っていることの意味を大きく感じます。泉州観光は、まずはそんな彼女たちが闊歩する開元寺・西街から始めるのが楽しいでしょう。

▲ 開元寺に来ていた中国国内からの旅行者。西街には衣装のレンタルショップが立ち並びます。
何を食べても美味しい、泉州の料理

▲ 「臨家閩南菜(五店市店)」の牡蠣オムレツ。
泉州行きが決まった際、日本で最も中国料理を知るジャーナリストの佐藤貴子さん(祝!『旅する火鍋 12か月のレシピと中国ローカル鍋紀行』刊行)にそのことを伝えると、こんなことを教えてもらいました。
「泉州は、台湾料理好きが行きつく場所」
一瞬で心奪われる特色です。泉州は海を挟んで台湾のすぐ隣で、台湾へ渡った人の多くが泉州出身。台湾料理の源流のひとつは泉州にあり、そこから独自の発展をとげたとみられています。ならば共通する料理を食べてみたい。渡航前に調べ、下記の品目を現地コーディネーターにリクエストしてみました。
・面線糊(極細の汁麺)
・海蛎煎(牡蠣オムレツ)
・焼肉粽(肉ちまき)
・魚丸湯(魚のすり身を団子にしたスープ)
すると、返事にはそれらを含む24品12軒が返ってきたので、丸1日で行った店を一気にご紹介。誰がコーディネートしたかと言えば、実は「ヒルトン泉州リバーサイド」のオーナー会社代表と秘書の方でした。オーナー会社は中国の大手ウエットティシュ企業。飲食店との付き合いも深く、代表も食べるのが大好き。「私たちは地元の老舗や小さな名店が大好き。お客さんには是非そういった店を体験してほしいです」と、取引先とも違う本当にローカルな店を選んでくれました。ちなみに大の日本好きな方でもあります。

▲ 食べ歩きは「天后宮」からスタート(1.2の店舗がある場所)。「ローカルの人が最も熱心に参拝する寺院で、みんな迷いや悩みがあるとここへ来ます」と、秘書さん。
1.「乘正堂石花膏」の四果湯(スーゴータン)

▲ 四果湯とは冷たいシロップにゼリーや豆、フルーツなどを入れたもの。店手作りの石花凍(天草ゼリー)のツルリとやわい食感に、黒豆やくわいの自然な甘さがよく合います。写真を見返すといま手に入らないことが辛い。それほどお気に入りに。一杯約200円〜。

▲ 石花凍をベースに、20種ほどあるトッピングから好きなものを選択。午前中から大繁盛!

▲ 「乘正堂石花膏」は100年以上続く老舗。石花凍は台湾北部でもよく食べられます。
2.「正宗林記緑豆餅」の緑豆餅

▲ ほろりと崩れるパイのような生地に緑豆餡がたっぷり入っています。4個で約200円。
3.「坤記芋頭餅」のタロイモ餅

▲ タロイモを挟んで揚げた菓子。生地はサクッとした饅頭のようで中はホクホク。看板には「泉州人の昔ながらの味」と書いてありました。なお、タロイモは形が鎖に似ているため、家族の結束や繁栄を象徴する食材として泉州でよく食べられるとのこと。1個約90円。
4.「藍氏鐘楼肉粽総店」の肉粽

▲ 粽の中は干し海老、豚バラ肉、栗、椎茸、卵黄、ソーセージと具沢山で、まるで米の宝箱。ピーナッツソースと甜辣酱醤でいただきます。米には地元の小粒なうるち米が使われ、その米の味もよき。1個約330円
5.「吴氏手工麻糍」のマーツー(餅)

▲ 店名は「ウーさんの手作りマーツー」。ピーナッツ、胡麻、ココナッツ、海苔などに覆われた餅で、中にもそれらの餡が入っています。唇に風味豊かな粉を感じながら、柔らかな餅を噛む瞬間が至福。1個約50円〜。
6.「康圭満煎糕」の満煎糕

▲ ここまで全ての菓子が素朴な味わいですが、その中でも泣きたくなるほど素朴!満煎糕とは福建や泉州でよく食べられるパンケーキ。自然発酵させた小麦粉を溶いて鉄板で焼き、もちっと噛み応えのある食感に。中には黒糖や胡麻の餡が薄く入ります。1パック約220円〜。

▲ 1980年創業でオヤジふたり(親子)が営みます。看板によると、パソコン修理屋を併設。
7.「西街行舎」のランチ
6のお店までで午前中が終了。どこも小さく愛らしい地元のお店ばかりでした。「泉州、最高!」ともう連呼。代わって次は西街のブティックホテル「西街行舎」へ。ウェットティッシュ会社代表が運営するまた別のホテルです。そこのレストラン「好料」が、美味しいのなんの。自身が食通ですから、腕のいいシェフを雇わないわけがありません。ランチは代表にお茶を淹れていただくところから始まりました。泉州はお茶の名産地に近く、お茶も美味しいのです!
鉄観音の飲み比べ

▲ よい香りで胃を温める。なんと贅沢なことか。ランクの違う茶葉を、日本好きな代表は「こっちは中トロ、こっちは大トロ」とマグロに例えて説明。お茶への造詣が深く、いまは仕事の打ち合わせもオフィスではなくお茶室にて寛いで行っているそう。
魚丸湯

▲ ランチ10品の一部をご紹介。こちらは白身魚の団子が入った、鶏ベースのスープ。
血豆腐スープ

▲ 豚の血を固めたものを鶏ガラや豚骨でとったスープに入れたもの。綺麗な味わいの血豆腐でした。
姜母鴨

▲ 大量の生姜を鉄壺に入れて作る鴨料理で、泉州のあちこちに専門店あり。生姜の香りをまとった鴨も、鴨の脂を吸った生姜も、どちらも美味。一緒に食べればさらに美味。泉州にいる間4回この料理を食べましたが、ここが一番でした。
永春酢豚足

▲ 泉州中心部からクルマで50分ほどにある永春は酢が有名で、“中国四大名酢”のひとつを作る地域。その永春の酢で煮込んだ豚足です。酸味が飛んで旨味となった酢がとろとろの豚足に染み込み、つい食べ過ぎてコラーゲンを大量に摂取。
花生湯

▲ 花生湯とは台湾でもよく飲まれるピーナッツスープ。各地にある花生湯の中でも、この日、異様に美味しく感じられたのはなぜ? ランチはひとり約6500円が目安。
8.「阿要海蠣煎」の牡蠣オムレツ

▲ 小粒の牡蠣と葱を卵でとじたオムレツも泉州名物。この店は粉が少なく卵中心で、大根の漬物を添えているのが特徴。小約440円
9.「鼎鴻」の珍珠小籠包

▲ 米粉を使った少し生地が厚めの小籠包。約240円 同店には肉団子スープや肉粽もあり。
10.「海絲金鳳」の胡麻団子

▲ “海のシルクロード(海絲)”の名をもつ店の、胡麻餡入り餅団子。5個約260円 同じ店のピーナッツスープや生姜スープもおすすめ。
11.「東来菜頭酸」の油柑ジュース

▲ 私的に世界一好きなジュースかもしれない絞りたての油柑ジュース。甘過ぎず、酸味の中に微かな渋みもあり、非常に爽やかな飲み心地です。約240円

▲ 油柑ジュースは泉州のあちこちで販売され、搾りたてであればどこも美味しい。台湾や香港にもあり。
12.「婷婷麺線糊」の面線糊

▲ 面線糊は泉州を代表するローカルフード。素麺よりさらに細い小麦麺です。麺というよりスープに一体化した線のようで、舌でギリギリ分かるほどの存在感。お粥の麺版と言いましょうか、“飲む麺”です。さまざまな魚介を煮込んで作ったスープでじっくり煮て、時間をかけてとろみのある糊状に仕上げているとのこと。にんにくがガツンと効いています。小一杯約290円、トッピング約50〜440円。

▲ 具材は、豚のレバー、大腸、豆腐、貝類などさまざまで、オーダー時に好きなものを注文。

▲ 「地元の人たちは飲んだ後に面線を食べるのが大好き」と秘書さん。とことん飲んだ後、出汁が効いたとろみのある汁が身体を温める瞬間は最高でしょう。
一度のコースでスープが2回出るのが泉州流
街での食べ歩きが最高ですが、「ヒルトン泉州リバーサイド」の「故郷」での食事も非常におすすめです。今回いただいたのは、宋王朝の晩餐会を再現した特別なコースディナー(要予約で注文可)。なぜ宋王朝かといえば、前述通り、泉州は宋の時代に最も栄えたから。当時、海外からの客人を大切にもてなしたように、御馳走を振る舞います。

▲ ディナー前に古典舞踊が披露され、手厚い歓迎を感じます。
「海のシルクロード」の起点であった国際都市を意識し、スペインの生ハムやイタリアの黒トリュフを使った料理も提供。ただし基本は泉州の閩南料理で、その細やかさが印象に残っています。エグゼクティブ・スーシェフの陳棟梁さんは泉州出身で、料理の道に入って30年。登場の瞬間から、「このシェフが作る料理は絶対に美味しい」という信頼を得る人相といいましょうか、堅実そうな雰囲気に惹かれました。

▲ 「中国の仕事には象徴的な“3つの刀”があります。包丁(料理人)、鋏(仕立て屋)、剃刀(理髪師)。このどれかが出来れば、“自分の力で人生を切り開ける”という意味を持っています。私は包丁を選び、料理で生きていくと決めました」と陳さん。

▲ 自家製黒胡麻豆腐のウニ包み。
前菜の自家製黒胡麻豆腐のウニ包みは、日本以外で食べるウニ料理のなかで最も美味しいものでしたし、ふたつのスープも素晴らしかった。泉州では、1度の宴席でスープを2回提供するのが慣習だそうです。「宴席ではお酒を飲むので、2回目のスープには“酔い覚まし”の役割があります」と、秘書さん。
この日はひとつ目に蓮と魚のスープ、ふたつ目に干し鰻と白菜のスープが提供されました。どちらも複合的な出汁を感じつつ、引きははやく食後感が軽い。

▲ 左・魚の身を蓮に見立てています。右・干し鰻と白菜のスープ。
ふたつ目のスープは凝縮された鰻の旨みとホタテの出汁が重なり、お酒がまわった身体に染み渡りました。そのスープを吸った白菜が美味しいのは言うまでもなく、さらに白菜の中に鰻の身が。飲み干せば身体がととのう心地です。次に出たお皿が鳩のローストというのもいい流れ。中の詰め物のジューシーさと皮のクリスピーさが見事なコントラストでした。

▲ 砂漠の塩でいただく鳩。通常の「故郷」のセットメニューは2名約9000円〜(特別メニューは別途)
街での食べ歩きとホテルでの食事、みなさんへのヒアリングを経て、泉州の料理の特徴をまとめると下記となりました。
・ 海も山も近い土地柄、それぞれの食材が融合している
・ 湿度も気温も高い沿岸地域ゆえ、体温調整に効く生姜、葱、酢をよく使う
・ 食材の鮮度や品質を重視し、複雑な調理はあまりしない
・ 塩味は控えめだが、その分出汁に重きをおく
・ 漁に出る時間が長かったため、保存食(乾物・揚げ物等)が多彩
・ 宴席ではスープが2回提供される
・ 台湾料理の源流となっている料理が多い
ご覧の通り、泉州の料理は日本人が好きな要素に溢れていました。特に汁物の美味しさは忘れがたいです。

▲ 別日、「故郷」でいただいた太刀魚。まるで太刀魚列車!

▲ ホテル内「Kitchencraft」の朝食はビュッフェが豊富でヌードルスタンドもあり。
漁村にいきなり出現するお洒落なカフェに注目!
最後にもうひとつ、郊外の注目スポット「巴浪魚咖啡(LOCAL FISH Café) 祥芝碼頭店」をご紹介。泉州中心部からはクルマで45分ほどかかりますが、海に浮かぶお寺「洛伽寺」とセットで行けば旅の満足度はぐっと上がります。

▲ 漁業用器具が並ぶ道を進んでください。
カフェの住所通りに進むと、寂しい漁村で何もなさそう。それが、波止場に近づくほどに若者の姿が見えてきます。彼らの目当てこそ、「巴浪魚咖啡」。製氷工場の建物をリノベーションした現地で流行りのカフェです。古いコンクリート剥き出しの建物はほぼそのままに、照明や家具でお洒落に蘇らせていました。

▲ 漁業関係のオヤジたちが周辺でいつも通り仕事をしているのもいいギャップ。
店内では浅煎りのコーヒーやコーヒーカクテルを提供。コーヒーのお供は魚やイカの干物です。まるでお酒のアテのようですが、不思議とその塩気や旨みがコーヒーに合う。店内では本や雑貨も販売し、総合的にセンス抜群です。騙されたと思って、ぜひ行ってみてください。人気が増して中国のSNSスポットになっているので、オープン直後に行くと静かか。ただ、陽が落ち始めて船が港に帰ってくる時間帯も趣があって捨てがたいです。

▲ 漁船ビューの客席。左のグラスはカクテル、右はコールドブリューのボトルを開けたもの。
再び、海外からの旅人を引き寄せる国際都市を目指して
泉州は、2025年に初訪問したなかで一二を争うお気に入りの街となりました。歴史も景色も食事も、好奇心を刺激するものばかり。しかし、現地には海外の観光客はほとんどいなかった印象です(中国国内からは多数)。泉州市の議員のひとりでもある代表は語ります。
「泉州は海に近く、昔から多文化が共存していた街です。1000年前から多くの外国人が泉州を訪れ、地元の人々と交流してきました。その歴史から、私たちには新しい人や文化を受け入れる心が根づいています。ですから、もっと外国人の観光客にこの街に来てほしいです。遠い国から来る旅人は、未知の文化や私たちが気づかないニーズを教えてくれます。その声によって、私たちはサービスを改善できますし、多様性が広がり、街全体が進化できるはず。皆さんの意見を反映して、もっとよい街にしたいのです。それに、泉州を旅行するのはとっても手頃。ほとんどの名所や博物館は無料で、安くて美味しい店がたくさんあります。きっと楽しい旅になるので、たくさんの人に気づいてほしいですね」
かつてシルクロードの起点だった街は、拓けた目線をもち、平和な国際交流を重視していました。同時に、街には昔懐かしい風景や味わいが溢れ、古きよきものが守られています。そのバランスが絶妙で、何より街の空気感が穏やかで落ち着きました。
個人的には、今回、泉州に行ったことで、日本にいた時は目を向けなかった中国の魅力的な側面に触れることとなりました。そういった価値観の変化を得る機会こそ、旅の醍醐味。その絶好の場所となる泉州への渡航が身近なものとなる未来がくればよいなと思います。本当におすすめの旅先なので、頭の中に「泉州」という街の名前を覚えていてください。

▲ 現地で見たかったお馴染みの野外体操。

▲ 明・清・明国時代の建物が残る泉州市内の「五店市伝統街区」。すぐ隣に高層マンションが建ち、700年超のコントラストも見ものです。

▲ 外資のチェーン店が少ない中、「五店市伝統街区」のスターバックスはこのような店がまえ。
※取材は2025年8月末に実施

こちらの記事もオススメです














