2025.08.03
絶対的人気のバルセロナもいいけどカタルーニャとは? 「マンダリン オリエンタル バルセロナ」を拠点に知る、その魅力
サグラダ・ファミリアを擁するバルセロナは、世界屈指の観光都市。その中心地に位置する「マンダリン オリエンタルバルセロナ」に泊まれば、よくある観光以上の体験を得られるはず。安心、美食、新発見をもたらすホテルは、カタルーニャ州に興味をもつきっかけにもなるでしょう。
BY :
- 文/大石智子(ライター)
永遠の憧れ、カタルーニャ

上空から見えるのは、地中海と山に囲まれた街並み。もう、お腹が空いてきます。なぜならカタルーニャの料理には、その景色を表す海と山の恵みが並ぶから。もちろん世界中に海と山はあるけれど、それを存分に生かす感性と技術をもち合わせる特異な地と感じています。
伝説のレストラン「エル・ブジ」があったのもカタルーニャ。最近では同店出身の3人のシェフによるバルセロナの「ディスフルタール」が、2024年度版「世界のベストレストラン50」で世界1位に輝きました。


安心で美味しい立地に立つホテル
毎回絶対に行きたい「Suru」には、個人見解で天才ソムリエがいます。オープン直後に入ればサービスを待たないので是非ソムリエに身を委ねてくださいませ。ホテルから徒歩3分の「Mon Vinic」のチーズとワインも堪りません。




こんなディナーを期待していた!

開業当時、指揮を任されたのは、スペインで初めて3つ星を獲得した女性シェフ、カルメ・ルスカイェーダさん。その後、長男のラウル・バラムさんが後を引き継いでいます。ラウルさんのSNSを見ると、いつも自分に似合う服を着ていて、服以外も何が自分にフィットするのかを把握した雰囲気。食でも流行りに流されないシェフと想像させます。


そんな話とともに出てきた一杯目は、バルセロナから北西にクルマで40分ほどのワイナリーで造られるカヴァ「Mestres Visol 2017」。実はカヴァを苦手に思うことがあって、それは泡が粗い時。グラスを傾けた時、鼻にプツプツ泡が当たると色気がありません。しかし、このカヴァは繊細な泡と芳醇さを兼ね備え、リッチな幕開けが叶いました。流石はマンダリン。

ほんの数本にも関わらずハーブの香りの気持ちよさよ。食材の香りが一体化して、それがカヴァを飲んだあとに一層立ち上がってくるのがたまりません。この泡効果による鼻腔の娯楽は、本当に美味しい料理でないと成し得ません。人体の管の構造に感謝です。


美しい景色を見ているシェフの料理を食べたい


「小さい頃は偏食な悪ガキでした(笑)。外食に行っても定番の子ども向けの料理ばかりを注文。でもある日、母が“El Racó de Can Fabes”(3つ星も獲得したレストランで2013年に閉業)に連れて行ってくれたんです。家から比較的近い特別なレストランで、テイスティングメニューを頼んだ時、母に“いままでどれだけの味を逃してきたか分かった?”と言われました。その日の素晴らしい食体験をきっかけに、味覚が開かれました」
綺麗な海と野菜づくりに最適な土壌のある地で育ち、思春期にガストロノミーに開眼。そんなシェフが作る料理で、この日最も印象に残ったのはアーティチョークでした。バルセロナ近郊はアーティチョークの名産地。「美しいアーティチョークをすべて無駄なく使いました」とシェフは言います。

最後、鹿のロースに合わせられたワインは、出ました、プリオラート産! プリオラートはバルセロナから南西にクルマで2時間にあるワインの名産地。スペインの高級ワインというと一般的にはリオハが有名ですが、プリオラートも最高峰として人気を高め、“ブルゴーニュ好きもハマる”と称する専門家もいます。「Gralton La Sort de Ponent 2019」は黒果実の中にスパイスのニュアンスがあり、鹿の赤みに最適なお化粧をした印象。肉とワインがなめらかに繋がり、惹かれざるを得ません。

「マンダリン オリエンタル バルセロナ」ではカタルーニャのワイナリー巡りの手配も可能。ぜひその目で畑を見て、戦利品を見つけてくださいませ。

「住みたい」と夢を見させる客室






動物たちが住む秘密の庭園も見逃せない








■ MANDARIN ORIENTAL BARCELONA
料金/1泊675ユーロ〜(税別)
HP/https://www.mandarinoriental.com
イベリア航空に乗れば、スペイン旅行が16時間長くなる!?

イベリア半島の名をそのまま冠する航空会社。1927年創立なので再来年100周年を迎えます。1940年台から国営でしたが、2001年から民営化。日本では成田―マドリード間で唯一の直行便を週3便運行しています。往路は15時間35分、復路は14時間10分のフライト。往路は日本から飛ぶ国際線で最長の搭乗時間! そのためパイロットは4人体制です。

搭乗した機材はエアバスA350-900。1〜10列までがビジネスクラスで配列1-2-1でした。2mまでのフルフラットシートはマッサージ機能付き。

シェフが踊るように料理に塩をふる後ろで、キャビンクルーたちが酸素マスクの説明。最後は完成した料理を前にシェフもマスクを装着します。「乗るんかーい!」とツッコミたくなる内容は、正統派では終わらせないスペインらしい個性です。


おつまみがオリーブ、チーズ、アーモンド、ピコス(小指サイズの乾燥パン)というのも非常にスペイン的。ワインを飲みながら早くも、「16時間多くスペイン旅行を味わっているようなものだ!」と、イベリア航空に乗る意味を思い知ります。


ポーチは大きすぎず素材感もいいなと思ったら、サトウキビ由来の再生素材を使っていました。さらにハンドクリームなどはワインの製造過程で出る余ったブドウが原料。環境への配慮に積極的です。

業務中はお喋り禁止という傾向が日本ではありますが、個人的には喋っているくらいのテンションが好きだし楽。お喋り→仕事が楽しくなる→サービスがよくなる、なら好循環なのでは? 何より機内に明るさがありました。まさにスペイン。成田からその空気を感じるために、「イベリア航空で旅を始めよう!」と、皆さまにも過去の自分にも言いたいです。