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2025.08.03

絶対的人気のバルセロナもいいけどカタルーニャとは? 「マンダリン オリエンタル バルセロナ」を拠点に知る、その魅力

サグラダ・ファミリアを擁するバルセロナは、世界屈指の観光都市。その中心地に位置する「マンダリン オリエンタルバルセロナ」に泊まれば、よくある観光以上の体験を得られるはず。安心、美食、新発見をもたらすホテルは、カタルーニャ州に興味をもつきっかけにもなるでしょう。

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文/大石智子(ライター)

永遠の憧れ、カタルーニャ

マンダリン オリエンタル バルセロナ
もしも国外で住むならどこがいいか? 私が最右翼としてあげるのがバルセロナです。でも、いま現実には住むことは出来ない。だから幾度となく通っています。前提としてカタルーニャ州に魅了され、その州都であり玄関口のバルセロナに吸い寄せられてしまう。飛行機でバルセロナ=エル・プラット空港に近づくと常に高揚します。

上空から見えるのは、地中海と山に囲まれた街並み。もう、お腹が空いてきます。なぜならカタルーニャの料理には、その景色を表す海と山の恵みが並ぶから。もちろん世界中に海と山はあるけれど、それを存分に生かす感性と技術をもち合わせる特異な地と感じています。

伝説のレストラン「エル・ブジ」があったのもカタルーニャ。最近では同店出身の3人のシェフによるバルセロナの「ディスフルタール」が、2024年度版「世界のベストレストラン50」で世界1位に輝きました。
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以前、「ディスフルタール」のシェフにインタビューした際、「(3人のシェフは)家族が揃って食を楽しむことに重きをおく家庭で育ったことも共通項です。いわば、カタルーニャ人なんですよ」と発言。カタルーニャ人にもつイメージはまさにそれ。幼い頃から蓄積された食体験をもつ料理人が多いから、カジュアルのレベルも高い。ワイン文化も素晴らしくて、ナチュラルワインの宝庫でもあります。
中央の塔が完成間近のサグラダ・ファミリア(2025年3月撮影)。
▲ 中央の塔が完成間近のサグラダ・ファミリア(2025年3月撮影)。
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そういうわけで、上空から食い意地を膨らませていると、街中にひときわ高い塔が。はい、サグラダ・ファミリアです。未完の傑作ですが、いよいよ2026年に完成予定。サグラダ・ファミリアという強烈なシンボルを筆頭に、バルセロナはカルチャーも飽きることがない。フェスも多い! そんな街の超絶理想のロケーションに2009年に開業したのが、「マンダリン オリエンタル バルセロナ」です。
グラシア通りに立つ「マンダリン オリエンタル バルセロナ」。
▲ グラシア通りに立つ「マンダリン オリエンタル バルセロナ」。

安心で美味しい立地に立つホテル

バルセロナというと、“治安が悪い”という印象をもつ人もいるでしょう。ご安心を。「マンダリン オリエンタル バルセロナ」の周辺は大丈夫。好都合なことに、ホテルから私的におすすめするレストランエリアまでは特に安全な印象です。
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それは、ホテルと大学病院北側を結ぶ一帯。ニノット市場(Mercat del Ninot)は混みすぎず飲食店も上質で、切実に「近所にあったら」と思います。特に「La Medusa 73」という魚屋のバルは、ご機嫌なお兄ちゃんが美味しい地元メシを作ってくれるのでお試しを。

毎回絶対に行きたい「Suru」には、個人見解で天才ソムリエがいます。オープン直後に入ればサービスを待たないので是非ソムリエに身を委ねてくださいませ。ホテルから徒歩3分の「Mon Vinic」のチーズとワインも堪りません。
1877年に建てられた「カサ・バトリョ」(右から2番目)。
▲ 1877年に建てられた「カサ・バトリョ」(右から2番目)。
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そして、「マンダリン オリエンタル バルセロナ」はガウディ建築「カサ・バトリョ」までほんの1ブロック。ホテルに着くと同時に、通りの反対側にモザイクが美しい建築が目に入ります。建物前には写真を撮る人々が集い、「ガウディじゃない?」と、存在を知らなくても察するでしょう。ガウディ建築が街に溶け込むバルセロナ。それをホテルの窓からも実感できるのです。
12月になるとポインセチアや薔薇で入口が彩られることを留めてくださいませ。
▲ 12月になるとポインセチアや薔薇で入口が彩られます。
ホテル自体も街に華を添える存在。1955年に建てられた銀行を改築したホテルには、いまも当時の意匠が残ります。注目はエントランスの4本の柱。カタルーニャ人彫刻家がさまざまな“労働”を彫り、農夫や船乗り、鉄道工事に携わった人々が表されています。ちなみにカタルーニャ人はスペインのなかでも勤勉で知られ、私が知るだけでもメールの返信がはやい。
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重厚な柱を抜けた先の回廊は、下にアートギャラリー、上に美しい吹き抜けが見え、目が忙しい。目の前のグラシア通りは賑やかな大通りですが、この回廊から「マンダリン オリエンタル バルセロナ」の世界観に没入できます。
ギャラリー「Villa del Arte」が眼下に見えます。
▲ ギャラリー「Villa del Arte」が眼下に見えます。
9階建ての建物を貫通する大きな吹き抜けは、自然光と人工照明が調和。
▲ 9階建ての建物を貫通する大きな吹き抜けは、自然光と人工照明が調和。
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こんなディナーを期待していた!

中庭の緑が見える「MOMENTS」。コース180ユーロ〜。
▲ 中庭の緑が見える「MOMENTS」。コース180ユーロ〜。
ハイレベルな飲食店に囲まれるホテルですが、館内の1つ星レストラン「MOMENTS」での食事は宿泊のハイライト。「マンダリン オリエンタル」はラグジュアリーホテルブランドの中でも、食への注力がトップ3に入るのではないでしょうか。そのブランドが美食都市につくったレストランだから、間違いない。

開業当時、指揮を任されたのは、スペインで初めて3つ星を獲得した女性シェフ、カルメ・ルスカイェーダさん。その後、長男のラウル・バラムさんが後を引き継いでいます。ラウルさんのSNSを見ると、いつも自分に似合う服を着ていて、服以外も何が自分にフィットするのかを把握した雰囲気。食でも流行りに流されないシェフと想像させます。
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素敵な帽子を被るラウルさん。 Instagram/@raul_balam_ruscalleda
▲ 素敵な帽子を被るラウルさん。 Instagram/@raul_balam_ruscalleda
今回はチェックイン直後に「MOMENTS」へ向かいました。席に着いて歓喜。卓上にはカタルーニャのワインの産地を表す木製地図が。その地図を手にして、「これこれ〜!」と、絶対に美味しいワインが提供される期待に満ちたのでした。ちなみにワイン地図は持ち帰り可能だったので、いま家の廊下に飾っています。
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ペアリング5杯のうち3杯はカタルーニャ産ワイン。
▲ ペアリング5杯のうち3杯はカタルーニャ産ワイン。
「MOMENTS」で提供するのは、季節ごとのカタルーニャの食材を使ったコース料理。「カタルーニャ料理は、海と山の恵みを組み合わせるのが特徴です」と担当ソムリエさん。本当に上空の景色通りなのです。

そんな話とともに出てきた一杯目は、バルセロナから北西にクルマで40分ほどのワイナリーで造られるカヴァ「Mestres Visol 2017」。実はカヴァを苦手に思うことがあって、それは泡が粗い時。グラスを傾けた時、鼻にプツプツ泡が当たると色気がありません。しかし、このカヴァは繊細な泡と芳醇さを兼ね備え、リッチな幕開けが叶いました。流石はマンダリン。
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カヴァと合わせた一品目の前菜。
▲ カヴァと合わせた一品目の前菜。
前菜は崩れる食感のタルトに海水の風味をつけたフレッシュチーズがのり、鯛、フェンネル、キャビアが重なります。“海の香りのチーズ(海+山)”という時点でカタルーニャ的。ひと口サイズの小さな料理ですが、具材がほぼ地元産で生命力を感じました。

ほんの数本にも関わらずハーブの香りの気持ちよさよ。食材の香りが一体化して、それがカヴァを飲んだあとに一層立ち上がってくるのがたまりません。この泡効果による鼻腔の娯楽は、本当に美味しい料理でないと成し得ません。人体の管の構造に感謝です。
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ラビオリの周りはカボチャのソース。
▲ ラビオリの周りはカボチャのソース。
次に海老とブティファラを合わせたラビオリが登場。ブティファラとはカタルーニャ伝統の腸詰めソーセージ。旨味が強く、海老もまた味が深いのでいいバランス。スペインは魚の身味は日本に及ばず何かと難しいですが(シェフではなく水揚げ後の処理の問題)、甲殻類全般、特に海老はかなり美味しい。ぜひ「パラモス 海老」と検索してみてください。パラモスもカタルーニャです。脱線しましたが、海老とブティファラに高度なサーフ&ターフを感じたのでした。
絶対に美味しい赤海老も仕入れているのですね。
▲ 絶対に美味しい赤海老も仕入れているのですね。
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美しい景色を見ているシェフの料理を食べたい

ラウルさんの母カルメさんは東京で「レストラン サンパウ」を開業したことでも知られます。
▲ ラウルさんの母カルメさんは東京で「レストラン サンパウ」を開業したことでも知られます。
ディナー中、シェフの印象がさらによくなったのは、いまも生まれ育った海辺の街サン・ポル・デ・マール在住と聞いたから。そこはバルセロナから北東に50kmに位置する街で、各駅停車では1時間ほど。それが青くキラキラした海沿いを走る鉄道で、けっこう遅いですが夢心地なので気になりません。お金に余裕のある方は、いっそ「マンダリン オリエンタル バルセロナ」に5泊くらいして郊外も楽しんでいただきたいものです。
さて、何が言いたいかというと、シェフはいつも美しい景色を見ながら生活しているということ。ローカルの食材を取り扱うシェフこそ、自然の美しさを熟知していると説得力が増します。料理は景色を食べているようにも思うからです。
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ピスタチオと青唐辛子で作ったグリーンモーレソースと、ズッキーニやパンプキン。
▲ ピスタチオと青唐辛子で作ったグリーンモーレソースと、ズッキーニやパンプキン。
ラウルさんは少年時代から母親がスターシェフでしたから、幼い頃からグルメかと思いきや、答えは意外なものでした。

「小さい頃は偏食な悪ガキでした(笑)。外食に行っても定番の子ども向けの料理ばかりを注文。でもある日、母が“El Racó de Can Fabes”(3つ星も獲得したレストランで2013年に閉業)に連れて行ってくれたんです。家から比較的近い特別なレストランで、テイスティングメニューを頼んだ時、母に“いままでどれだけの味を逃してきたか分かった?”と言われました。その日の素晴らしい食体験をきっかけに、味覚が開かれました」

綺麗な海と野菜づくりに最適な土壌のある地で育ち、思春期にガストロノミーに開眼。そんなシェフが作る料理で、この日最も印象に残ったのはアーティチョークでした。バルセロナ近郊はアーティチョークの名産地。「美しいアーティチョークをすべて無駄なく使いました」とシェフは言います。
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アーティチョーク以外の食材は主にナマコ。
▲ アーティチョーク以外の食材は主にナマコ。
ご馳走とされる中心部はもちろん、茎はピュレ、普通は捨てられる皮や葉はアーティチョークのオイルに。エスプーマもアーティチョークが濃厚に香ります。単体でシンプルに食べるより何倍もアーティチョークを感じられて、自分が生産者だったらどれだけうれしいことか。

最後、鹿のロースに合わせられたワインは、出ました、プリオラート産! プリオラートはバルセロナから南西にクルマで2時間にあるワインの名産地。スペインの高級ワインというと一般的にはリオハが有名ですが、プリオラートも最高峰として人気を高め、“ブルゴーニュ好きもハマる”と称する専門家もいます。「Gralton La Sort de Ponent 2019」は黒果実の中にスパイスのニュアンスがあり、鹿の赤みに最適なお化粧をした印象。肉とワインがなめらかに繋がり、惹かれざるを得ません。
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ワインが造られた地の石も登場。
▲ ワインが造られた地の石も登場。
さらに面白かったのが、ソムリエさんが「これがプリオラートの土壌です」と、石を見せてくれたこと。「この土壌でのワインづくりは非常に難しく、生産も限られます。石が多くて硬い土壌なので、ブドウの根が地中深くに入り込むのが困難。でも、だからこそ特別な個性をもつワインが出来上がるのです」と、石の匂いまで嗅がせてくれました。嗅ぐと強いミネラルを感じ、それもまた旅の記憶です。

「マンダリン オリエンタル バルセロナ」ではカタルーニャのワイナリー巡りの手配も可能。ぜひその目で畑を見て、戦利品を見つけてくださいませ。
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プリオラートは標高の高い斜面に畑が広がっています。昨年12月中旬に撮影。
▲ プリオラートは標高の高い斜面に畑が広がっています。昨年12月中旬に撮影。

「住みたい」と夢を見させる客室

プレミアスイート(123㎡)。
▲ プレミアスイート(123㎡)。
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客室は地中海らしい解放感にアジアのディテールをほんの少し足したデザイン。デザイナーのパトリシア・ウルキオラは、ミラノを拠点とするスペイン人です。全120室全般、白を基調としたラテン系の品を感じる空間。コンサバではなく明るいムードが漂うのは、椅子がいいアクセントになっているからでしょうか。元の銀行の造りのおかげで、天井が高いのが贅沢です。
奥の壁には屏風的なものがありますがアジア感抑えめ。
▲ 奥の壁には屏風的なものがありますがアジア感抑えめ。
ホテルは「カサ・バトリョ」や「カサ・ミラ」に近いですが、客室の窓の外に見える建物も十分美しい。「向かいに並ぶ3つの建物は、それぞれ異なる建築家によるモダニズム建築です」と広報担当者。ベッドに寝転び窓の外を見ているだけの放心時間も最高なので、やはり大通り沿いの客室がおすすめです。春以降は木々の緑、冬はイルミネーションが綺麗。特に冬の夕方以降は、浮き足立つ街のムードをダイレクトに感じられます。
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座らず眺めたくなってしまうデザイナーズチェアが効いています。
▲ 座らず眺めたくなってしまうデザイナーズチェアが効いています。
大通りの先に山が見えるのもバルセロナらしい。
▲ 大通りの先に山が見えるのもバルセロナらしい。
客室アメニティのご当地レベルも高いです。カタルーニャ県ジローナ州からは「casa cacao」のチョコレートや発泡水「ヴィッチーカタラン」、浴室にはバルセロナ発祥のスキンケアブランド「miriamquevedo」を用意。スイートルームにおいてはウェルカムアイテムがVIP仕様のような品揃え。「カサ・バトリョ」をイメージした陶器の中にはチーズケーキが入っています。
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カヴァに加えホテル内のバーで作られたボトルドカクテル(左下)も用意。
▲ カヴァに加えホテル内のバーで作られたボトルドカクテル(左下)も用意。
カタルーニャ伝統のタイルから着想を得た絵柄の浴室。
▲ カタルーニャ伝統のタイルから着想を得た絵柄の浴室。
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動物たちが住む秘密の庭園も見逃せない

庭にメタル製の馬が佇みます。
▲ 庭にメタル製の馬が佇みます。
最後に「ミモザ・ガーデン」をご紹介。植物園のように緑溢れる庭に、古い廃材で造られた動物たちが並びます。それらはバルセロナ出身のアーティスト、ミケル・アパリシの作品。動かないと分かっていても、存在感の強い動物たちの視線を感じるような不思議な庭です。都会の隠れ家として夏はドリンクも楽しめるので、滞在の際はお立ち寄りを。
基本は宿泊者限定なのでプライベートガーデンのように静か。
▲ 基本は宿泊者限定なのでプライベートガーデンのように静か。
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ゴージャスな黄金の虎も存在。
▲ ゴージャスな黄金の虎も存在。
以上が、「マンダリン オリエンタル バルセロナ」の私的お気に入りポイントでした。バルセロナ観光の拠点となりつつ、次に行くカタルーニャの街を発見できるホテル。だから、バルセロナ初訪問でもリピーターでも満足できます。ただでさえ楽しいバルセロナの旅。このホテルを決定打に逃避行へとお誘いくださいませ。
ランチやディナーを気軽に楽しめる「Blanc」の天井には、カタルーニャのレースを意識した透かし模様がかかります。
▲ ランチやディナーを気軽に楽しめる「Blanc」の天井には、カタルーニャのレースを意識した透かし模様がかかります。
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万人に美味しい「Blanc」の生ハムのせコロッケ。
▲ 万人に美味しい「Blanc」の生ハムのせコロッケ。
元銀行の建物なので、バーの名は「Banker’s Bar」。天井や壁は貸金庫をモチーフにした柄。
▲ 元銀行の建物なので、バーの名は「Banker’s Bar」。天井や壁は貸金庫をモチーフにした柄。
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ルーフトップのプールからはサグラダ・ファミリアも見えます。
▲ ルーフトップのプールからはサグラダ・ファミリアも見えます。
バルセロナはかわいい水着ブランドが多い街で、スパのショップでも販売。
▲ バルセロナはかわいい水着ブランドが多い街で、スパのショップでも販売。

■ MANDARIN ORIENTAL BARCELONA

料金/1泊675ユーロ〜(税別)
HP/https://www.mandarinoriental.com

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イベリア航空に乗れば、スペイン旅行が16時間長くなる!?

全長約66mのエアバスA350-900。
▲ 全長約66mのエアバスA350-900。
今回のスペインへの旅で搭乗したのはイベリア航空。正直なところ、スペイン渡航20回以上にして初のイベリア航空です。普段はスターアライアンスで乗り継ぎ、バルセロナかビルバオに入ってばかりだったので、機会がなかったのです(イベリア航空はoneworld加盟で日本からだとマドリード行きのみ)。でも、スペインを代表する航空会社ですから、もちろん乗ってみたかった!

イベリア半島の名をそのまま冠する航空会社。1927年創立なので再来年100周年を迎えます。1940年台から国営でしたが、2001年から民営化。日本では成田―マドリード間で唯一の直行便を週3便運行しています。往路は15時間35分、復路は14時間10分のフライト。往路は日本から飛ぶ国際線で最長の搭乗時間! そのためパイロットは4人体制です。
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15.4インチのスクリーン。
▲ 15.4インチのスクリーン。
今回、往路はビジネスクラスをご提供いただきました。これまで自力エコノミーでスペインに通ってきた身としては、涙が出るほどうれしい! 席に着くとクッションの包装紙に「Hola(こんにちは)」と書かれ、スクリーンにも「Hola」と表示され、ああ、これだけでテンションが上がる。心の中で「Hola」とその都度返しているうちに、キャビンクルーが来て肉声の「Hola」。ウェルカムドリンクのカヴァを手渡されます。それを飲みながら、あらゆる説明書きをスペイン語の勉強としてじっくり読みます。

搭乗した機材はエアバスA350-900。1〜10列までがビジネスクラスで配列1-2-1でした。2mまでのフルフラットシートはマッサージ機能付き。
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枕には「sueña(よい夢を)」との刺繍あり。
▲ 枕には「sueña(よい夢を)」との刺繍あり。
そのうち、スクリーンでイベリア航空の機内安全ビデオがスタート。これが意表つく内容でした。登場したのは、モヒカンがトレードマークのスペイン人スターシェフ、ダビッド・ムニョス。マドリードにかまえる「Diverxo」は2025年の「世界のベストレストラン 50」にて世界4位にランクインしました。

シェフが踊るように料理に塩をふる後ろで、キャビンクルーたちが酸素マスクの説明。最後は完成した料理を前にシェフもマスクを装着します。「乗るんかーい!」とツッコミたくなる内容は、正統派では終わらせないスペインらしい個性です。
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往路撮りそびれ、帰りのエコノミークラスで撮った機内安全ビデオ。
▲ 往路撮りそびれ、帰りのエコノミークラスで撮った機内安全ビデオ。
そんな機内安全ビデオは、“Talento a bordo(タレント・ア・ボルド)”、直訳すると「才能を乗せて飛ぶ」という活動の一貫。イベリア航空は、スペイン人を中心に、料理から、スポーツ、サイエンス、映画、音楽まで、輝く才能を支援し発信しているのです。長距離フライトでは彼らが機内安全ビデオに登場。彼の地で誰がいまのスターか知ることができます。
おつまみにはスペイン名産のアードモンドも用意。
▲ おつまみにはスペイン名産のアードモンドも用意。
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離陸から約1時間後、キャビンクルーがスペインワインをずらりと揃えたワゴンとともに登場。リオハから3種類、ナヴァラにラ・マンチャetc. 充実の品揃えは流石ワイン大国です。そして、ワインの継ぎ足しが早い! 空のグラスを見逃すものかと、呼ばなくともサーブする俊敏さが当便クルーにはありました。

おつまみがオリーブ、チーズ、アーモンド、ピコス(小指サイズの乾燥パン)というのも非常にスペイン的。ワインを飲みながら早くも、「16時間多くスペイン旅行を味わっているようなものだ!」と、イベリア航空に乗る意味を思い知ります。
左・紅白の塩胡椒は、「家に持って帰ってね」とのメッセージ付き。右・デミグラスソース添えの牛ヒレ肉のグリル。
▲ 左・紅白の塩胡椒は、「家に持って帰ってね」とのメッセージ付き。右・デミグラスソース添えの牛ヒレ肉のグリル。
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近年はエアライン業界で塩胡椒入れに自国の個性を表すのが流行り。イベリア航空はディエゴ・ベラスケスの名画『ラス・メニーナス』に登場する女性をイメージした入れ物でした。続いて珍しかったのが、メインの肉に日本米が添えられてきたこと。牛丼を愛する日本人向けか、同じく米を愛するスペイン人のスタンダードか。ともあれうれしいです。
イベリア航空のInstagramは楽しいので是非チェック!
▲ イベリア航空のInstagramは楽しいので是非チェック!/@iberia
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クルーのユニフォームとアメニティのポーチは、あらゆる航空会社の中で一番好きと断言。バルセロナのデザイナー、テレザ・エルビグが手がけたもので、ネイビーをベースにスペイン国旗の赤と黄を効かせています。そう、サッカースペイン代表のアウェイのユニフォームと同じ配色です。

ポーチは大きすぎず素材感もいいなと思ったら、サトウキビ由来の再生素材を使っていました。さらにハンドクリームなどはワインの製造過程で出る余ったブドウが原料。環境への配慮に積極的です。
普段使いしたいと思うビジネスクラスのポーチはなかなかないですが、イベリア航空は使えます。
▲ 普段使いしたいと思うビジネスクラスのポーチはなかなかないですが、イベリア航空は使えます。
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最後に、イベリア航空で最もよかったのは、クルーたちが明るかったこと。この日はスペイン人らしくよく喋るクルーたちで、仲がよい雰囲気でした。

業務中はお喋り禁止という傾向が日本ではありますが、個人的には喋っているくらいのテンションが好きだし楽。お喋り→仕事が楽しくなる→サービスがよくなる、なら好循環なのでは? 何より機内に明るさがありました。まさにスペイン。成田からその空気を感じるために、「イベリア航空で旅を始めよう!」と、皆さまにも過去の自分にも言いたいです。

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