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2019.03.24

知ってる? 桜の豆知識・雑学【サイエンス編】モテるうんちく集めました

毎年、日本各地を賑わせる桜なのに、その種類や歴史など、意外にご存じない方もいらっしゃるかと。ここでは、お花見デートを盛り上げる、桜にまつわる小話をまとめてみました!

CREDIT :

取材・文/木村千鶴 取材協力/森林総合研究所 多摩森林科学園

例年より開花が早まり、東京の桜はもう五分咲きに。満開まで残すところあと数日ですが、お花見デートのプランは決まりましたか?

心浮き立つ春ならではのイベントをもっと楽しくするなら、桜にまつわる豆知識は知っておいて損はありません。実は意外と知られていないトピックをサイエンス編と歴史編の2回にわたってご紹介します。

今回はサイエンス編として、森林総合研究所 多摩森林科学園にご協力いただきながらまとめました。大切な女性とのお花見で、ぜひ披露しちゃってくださいませ!

豆知識 [1] “染井吉野”は、奈良県・吉野が起源ではない!?

「“染井吉野”って、実は江戸っ子なんだよ」

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“染井吉野”は葉が出る前に花を咲かせ、花自体が大きく数も多いため、花見用の桜として江戸時代より重宝された。
開花予想のための指標にもなっている最もポピュラーな桜の品種は、ご存じ、“染井吉野(ソメイヨシノ)”です。実はこの桜、野生の植物ではないってご存じでしたか?
 
確実な記録は残されていませんが、奈良県の桜の名所・吉野にちなんで「吉野桜」と命名され、江戸末期に染井村(現在の豊島区)から売り出された栽培品種というのがいちばんの有力説です。この“染井吉野”は、エドヒガンとオオシマザクラを交配してつくった桜らしく、花付きの良さ、成長の早さ、咲き初めには葉が広がらず、淡紅色の花だけが楽しめることなど、お花見用に植樹するには最適。明治に入ると、瞬く間に全国に広がったとか。

“染井吉野”は奈良生まれではなく、生粋の江戸っ子なのですね!
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豆知識[2]サクランボの桜の木は“セイヨウミザクラ”

「街で見る桜に、なぜサクランボができないか、知ってる?」

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セイヨウミザクラのサクランボは有史以前から、ヨーロッパ地域を中心に自生していたという。
「お花見で見る桜にはサクランボができないのはなぜ?」と、子供時代に抱いた疑問。ふだん食べているサクランボは、実はヨーロッパや北西アフリカに自生する“セイヨウミザクラ”という桜になる果実なのです。では、日本の桜には果実がならないのか、というとそうではありません。実は条件が整えば結実するのです。
とはいえ、いちばんポピュラーな“染井吉野”は、接木によって増殖し、すべての個体が同じ遺伝子をもつ、いわば“クローン”。多くのサクラ種は、自分と同じ遺伝子をもつ花粉は受粉できないとされており、同じ“染井吉野”ばかり植樹されている場所では実がならないのですね。

いっぽう、自生するヤマザクラには果実が付きますが、少量ではありながら毒が含まれているとのことですので、食用はオススメしません。
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豆知識[3]世界に100種、日本原産はわずかに10種

「国花でもあるのに、日本の桜は種類が少ないんだよ」

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富士山や箱根近辺の山麓に自生する「マメザクラ」は、その名のとおり樹高は低く、花も小さい。写真提供/森林総合研究所 多摩森林科学園
名称の数だけでカウントすると、実に1000を超える桜が存在しますが、植物生態学の概念による分類では、サクラ類は世界におよそ100種、日本産では10種しかありません。日本の象徴のように慕われている花のわりに、メイドインジャパンの品種は意外にも少ないのです。
日本生まれの原種は、ヤマザクラ・オオシマザクラ・カスミザクラ・オオヤマザクラ・マメザクラ・タカネザクラ・チョウジザクラ・エドヒガン・ミヤマザクラ・カンヒザクラの10種。それらに、2016年に発見され、新種かもしれないと期待されている“クマノザクラ”が今後仲間入りする可能性は大。また、カンヒザクラは石垣島の一部にしか自生していないのですが、それ以外の9種の桜をすべて見ることができる場所が実は身近にあるのです。
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山のほうでは、さまざまな品種の桜が、微妙に異なるピンクのグラデーションで目を楽しませてくれる。写真提供/森林総合研究所 多摩森林科学園
それはなんと、東京。多摩川を上流に遡り、青梅、奥多摩、雲取山、と辿っていけば季節をずらしながら日本生まれの桜9種を見ることができます。開花の季節がそれぞれ違うため、一度で全部を見られるわけではありませんが、ドライブしながら遠景に花霞を眺めるのもオツですね。
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豆知識[4]交感神経興奮剤、エフェドリンが含まれる説は嘘

「昔、桜の木の下は女性を口説きやすい、なんて都市伝説があってさ……」

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たとえエフェドリンが含まれていなくても、桜の美しさを目の前にしたら、誰でもロマンチックな気分になるってもの。
「桜の花粉にはエフェドリンが含まれていて、神経を興奮させる作用があるから、女性を口説くには桜の下が良い」なんて、まことしやかな都市伝説を耳したことのある方もいらっしゃるかと。
エフェドリンというのは、漢方薬で言うところの「麻黄」で、マオウ科、シナマオウなどの植物に含まれる成分。交感神経を興奮させる作用があり、風邪薬や鎮咳薬にも配合されています。ただ、乱用によっては薬物依存も生じるような、ちょっと危険な物質。ただしサクラとシナマオウはまったく系統の違う植物のため、桜にエフェドリンが含まれているとは考えられないそうです。
ではなぜこんな話が出回ったのか。『桜の科学』の著者である、勝木俊雄先生が話の出典を調べてくださったところ、どうやら1990年に刊行された『超老伝カポエラをする人』(中島らも著)に出てくる一節を信じた読者が、インターネットを通して広めてしまったのではないか、という説が濃厚です。
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豆知識[5]民間の気象予報会社も新たに参入

「開花予想は、もう気象庁だけがやっているわけじゃないんだよ」

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毎年3月に入ると、メディアで話題になる桜の開花予想。2009年までは気象庁が開花観測と開花予想を行っていましたが、現在ではウェザーニュースや日本気象協会など、民間の気象予報会社や法人でも、独自に予想を立てられるようになっています。
 
5~6輪の花が咲いた日が開花日と定義され、気温や天候にも左右されますが、すべての花が開くまでは10日ほどかかるそうです。
 
そして、この予測の観測対象になっているのが、“染井吉野”。先述したように同じ遺伝子をもつクローンのため、自生している桜の木のような個体差が出ないのが好都合。異なる環境下で観測したとき、環境の違いがどのように発現するか予想しやすいというわけです。鹿児島県・奄美大島以南と札幌以西と根室を除く北海道の健全に生育できない地域以外では、“染井吉野”が標本木となっているそう。
 
桜の豆知識・サイエンス編は、いかがでしたでしょうか。お花見の席での小話として、お役に立てれば幸いです。次回は桜の歴史豆知識をご紹介しますよ!

参考文献/『桜』(勝木俊雄著/岩波新書)『桜の化学』(勝木俊雄著/サイエンス・アイ新書)

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