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2025.08.05

鈴木亮平×江口洋介【前編】「鈴木さんのセリフの切れは尋常じゃないね」「現場では結構噛んでます(笑)」

全国東宝系にて公開中の映画、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』で共演した鈴木亮平さんと江口洋介さん。沖縄と鹿児島にまたがる大海原と火山の島を舞台にした一大スケールの本作に込めた思いと撮影の舞台裏、そしておふたりの関係がうかがえるエピソードまで、たっぷりお聞きしました。

CREDIT :

文/浜野雪江 写真/土屋崇治 スタイリング/臼井 崇(THYMON Inc.)(鈴木)、島津由行(江口) ヘアメイク/Kaco(ADDICT_CASE)(鈴木)、中嶋竜司(HAPP’S)(江口) 編集/森本 泉(Web LEON)

鈴木亮平 江口洋介 TOKYO MER   WebLEON
鈴木亮平さん主演の救命医療ドラマシリーズの映画化第2弾、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』がこのほど公開。LEONでは、TOKYO MERチーフドクター・喜多見幸太役を演じる鈴木亮平さんと、沖縄と鹿児島の離島地域で喜多見と新たにタッグを組む「南海MER」チーフドクター候補・牧志秀実役の江口洋介さんの対談が実現。

沖縄と鹿児島にまたがる大海原と火山の島を舞台にした一大スケールの本作に込めた思いと撮影の舞台裏、そしておふたりの関係がうかがえるエピソードまで、たっぷりお聞きしました。
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鈴木さんはターミネーター。常に周りを見て、色々なことを分析してやる人

── 「待ってるだけじゃ、助けられない命がある」という信念のもと、苦境に飛び込む型破りな医師を演じる鈴木さんと、「救命病棟24時」シリーズをはじめ、数々の医療ドラマで医師役を演じてきた江口さん。おふたりの競演は本作の大きな話題ですが、これまで俳優としてのお互いをどのようにご覧になってきましたか?

鈴木亮平さん(以下、鈴木)  僕はドラマを見始めたのが中学生ぐらいの時で、その頃、リアルタイムで見ていた作品のひとつが、(江口さんが長男役で主演した)「ひとつ屋根の下2」(97)だったんです。

なので僕にとって江口さんは、自分がドラマを見始めた時からずっと映像の中にいらっしゃる人なんです。作品自体にも原体験的な感覚があるからか、こうしてご一緒していると、役を離れたふとした瞬間に、「ひとつ屋根の下」で見ていた“あんちゃん”(江口さんの役の愛称)の記憶が蘇ることがあります(笑)。

共演している時は、あまり他の作品について口にしないようにしていますが、江口さんが色々な作品でお医者さんの役をやられているのも当然拝見しているので、今回、それらの役柄とは全然違うタイプの牧志先生役を引き受けてくださってホントに良かったなと思っています。
鈴木亮平 江口洋介 TOKYO MER   WebLEON
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江口洋介さん(以下、江口)  鈴木さんは、演じる役によって体型まで変える、今までの日本の俳優の枠を超えた、アジアレベルのスケール感を感じる俳優さんだなという風にいつも見ていました。外面を作るだけでなく、役の捉え方が深い上に視野が広く、役に没入するストイックさも相当すごい。

MERの喜多見先生役でいえば、なんと言ってもセリフのキレが尋常じゃないです。僕も今まで医療ドラマをたくさんやっていますけど、現場の緊迫した空気の中、専門用語だらけの膨大な量のセリフをあのスピードで的確に表現するわけで。

長回しもあるし、いくつものシーンを並行するうちに頭がバグってくるんですけど、そこと懸命に戦いながら演じている姿を見て、これはレベルが違う俳優さんだなと。セリフのキレは知性ですし、そのキレがあっての喜多見先生でありMERだと、今回一緒にやって感じました。
鈴木 セリフのキレについては、「よく噛まずに言えるね、すごい!」と言われるんですが、やり直しているだけで、現場では結構噛んでいます(笑)。

江口 それはそうでしょ。噛まなきゃいいってものでもないしね。とにかく、膨大な量の言語を吸収するスピードと、それを表現する瞬発力がすごい。

座長としても、ターミネーターのように常に周りを見て、色々なことをきちんと分析してやるような人だと思う。俺は動物的直観でその場でバッと動くタイプだけれど、鈴木さんはたぶん、その両方を持ってる。ある意味、僕とは真逆のタイプだと思うし、あまり出会ったことのない俳優なんです。

鈴木 ターミネーター! 初めて言われました。
── 喜多見先生は、海外の紛争地や僻地での医療に従事した経験から、どんなに緊迫した状況でも冷静沈着。スタッフに対する言葉遣いも丁寧で、お礼の言葉も忘れず伝えます。そうした姿勢が、撮影現場での鈴木さんのイメージとも重なって見えます。

江口 そう。たぶん喜多見先生をやる時は、もう普段から徹底してそういう風にいる人なんです。恐らく「西郷どん」で西郷隆盛をやられた時は西郷さんになりきって、現場でもどっしり構えて「よかよか!」みたいに(笑)なっていたはず。

そういう風に作品全体をとらえて、そのまま芝居に入っていかれるんだなと。それは最初に現場を見た瞬間にわかりました。

鈴木 はい(笑)、その通りです。カッコつけたらすぐにバレますし、そういうのに向いたタイプじゃないことも僕が一番知っているので、現場ではなるべくその役として、自然体でいるようにしています。
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江口さんはぬるっと、前からいたみたいな感じでチームに入ってくれた

── 「南海MER」は、沖縄と鹿児島の離島地域の救命医療を担当するため新たに試験運用が始まったチームで、牧志先生はチーフドクター候補という位置づけです。江口さんは、牧志役のオファーがきた時どう思われましたか?

江口 僕は「TOKYO MER」については今回の映画がスタートでした。「医者ものなので」と台本を渡されて、読んでみると、それまで自分がやってきた医者ものとはタッチが違う。大きな災害が起きて、傷病者を現場で治すという部分はレスキュー隊みたいな感じもあるし、設定からして異なるなと感じました。

そこから、どういうものかと思って遡ってシリーズを観たのですが、最初は、こういうオペ室を搭載したERカーが実際に存在するのか!? と思いました(笑)。MERみたいな人たちが、本当に日本で活躍しているように見えたんです。

今までやってきた「白い巨塔」や「救命病棟24時」とは全然違うタイプのリアリティが面白く、新しい気持ちで臨みたいと思ったし、どんな風になるのか楽しみでしたね。
鈴木 南海チームはフェリーで島を巡回している設定で、牧志先生は病院に1回もいないですもんね。

江口 そう、いない(笑)。船の上で“釣りキチ三平”みたいに登場して、夕飯のおかずにする魚を釣ってるわけだから。緊急事態に備えて巡回・待機する時間が、そのまま生活と繋がっているんです。
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▲ ジャケット、ネクタイともに参考商品/ともにラルフ ローレン パープル レーベル(ラルフ ローレン)、シャツはスタイリスト私物
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── 牧志役を演じるにあたり、何から始められたのでしょう。

江口 鈴木さんをはじめ主要キャストの方々もスタッフのみなさんも、すでにできあがってるチームですからね。今までどういう風にやってこられて、その中にふっと加わる自分がどういう位置で入っていけばいいのかを知りたくて、少し現場を見たりはしました。

ただ、松木(彩)監督と初めてお会いした時に、「この作品は、どこか戦隊ものの要素もあるんです」と言われて、なるほどと思ったんです。もともとチームの力がテーマの一つでもあるし、医療戦隊だから医療シーンがアクションのようにも見える。

つまり、このハイビスカスカラーのユニフォームを着てしまえば牧志もそう見えるわけで(笑)、そういう意味では何の気負いもなく演じることができました。
鈴木 実際、江口さんは現場の雰囲気をあまり変えることなく、ぬるっと、前からいたみたいな感じで入ってくださいました。

江口 それ得意だから、俺(笑)。

鈴木 先輩がいらっしゃると僕も緊張しますし、怖い人だったらどうしようと思うのですが、江口さんは気さくな感じでナチュラルに入ってきてくださったので、とてもありがたかったです。

撮影においては、僕らは監督・スタッフも含め比較的若めのチームで突っ走ってきた中で、そこにひとり、経験豊富な先輩が入ってくださることで、江口さんご自身は自然体なんですが、現場の雰囲気が少しだけ締まりました。

例えば、スタッフのここがちょっとうまくいってないなとか、このシーンのここが停滞しているなとか、僕らが気づいてないところを、こうすればいいんじゃないかと経験に根差した的確なアドバイスをくださる。おかげで作品に芯が通った感じがします。

── 江口さんはご自身の役割として、新しい風を吹き込むことを意識されたのですか?

江口 いやいや。単純に動物的な勘で、思ったことを正直に言ったんでしょうね(笑)。
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喜多見は牧志先生のどこに惚れ、なぜ彼を選んだのか

── 本作で喜多見先生は、新しく発足するチームの指導医として南海MERに出向しています。劇中においても、喜多見先生と牧志先生の関係性は見どころになっていますが、ふたりの関係についてはどのように捉え、演じていかれましたか。

鈴木 牧志先生は歳上で、医者としては先輩ですが、「南海MER」のチーフを選ぶ人事権を持っているのは一応、喜多見です。なので、喜多見が牧志先生のどこに惚れ、なぜ彼を選んだかというのがだんだんわかってくるような流れを見せていけたらなと考えました。

そして、ふたりはチーフ候補と指導医であり、船で寝食を共にしていて信頼関係はとても深いけれども、そこには甘いだけではない医療従事者としての厳しさがあります。

実際に災害が起きた時、喜多見には傷病者を救うことを第一に、冷静に、緊張感をもって牧志先生と向き合う厳しさが必要で、その覚悟と牧志先生の人間性に対する信頼の両方を表せたらいいなと思って演じました。
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 ▲ 「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』より。
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江口 牧志は「平和なのが一番だ」が口癖で、離島地域をフェリーで巡回しながら、閉塞感漂う船内での生活を少しでも豊かなものにしようと、釣った魚で皆の食事を用意したりして明るくふるまっています。その姿は、TOKYOチームのように医療で活躍したくて「南海MER」に入った後輩たちからするとやや期待外れで、チーフ候補なのに軽んじられているんです。

最初はそういうキャラクターですし、そこをかなりオーバーめにつくったので、喜多見の目にも少し頼りなく見えただろうし、「このチーム大丈夫なの?」みたいに思ったかもしれない。そんな牧志が、喜多見との出会いによっても覚醒していくという流れをつくっていきました。

牧志が「平和が一番」と語る背景には彼自身のつらい過去があり、彼は命が何より大事だということを誰よりも痛感しているひとりでもあります。だからこそ、彼の中では家族と他人の境がなく、島の人たちは全員ファミリーだと思ってるし、常に他人ファーストになっている。

自分の生き方としてもそれを貫くしかなく、そうやって生きてきた牧志という男が僕も大好きになったし、すごくいいやつだなと思いながら演じさせてもらいました。
鈴木 だからこそ喜多見は、牧志先生を選んだんだと思います。

江口 こんな人、なかなかいないですけどね。出世も何も考えてないですし。
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── テレビシリーズや劇場版1作目には、出世を目論む官僚たちもたびたび登場しますが、牧志先生の出世に無頓着なところにも共感を覚えますか?

江口 僕は元から組織人ではないので出世とかないし、毎回作品のことしか考えてないですけど。でも、それっていい立場だと思っているので、そういう意味では共感しますね。世の中、ポジションに即した振る舞いというのはあると思うけれども、人はポジションによって変わってしまうこともある。

そんななかで牧志は一切そういうことがなく、一番大事なのは命だと確信し、それを体現して生きている。すごくシンプルですけど素敵だし、そういう生き方に憧れます。

(後編に続きます)
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鈴木亮平 江口洋介 TOKYO MER   WebLEON

● 鈴木亮平(すずき・りょうへい)

1983年生まれ。兵庫県出身。’06年に俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台と幅広く出演。主な作品にNHK 連続テレビ小説「花子とアン」、大河ドラマ「西郷どん」、ドラマ「TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜」(TBS)、「エルピス-希望、あるいは災い-」(関西テレビ・フジテレビ)、「下剋上球児」(TBS)、映画『孤狼の血LEVEL2』(22)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞、『エゴイスト』(23)で第78回毎日映画コンクール男優主演賞をはじめ数々の賞を受賞。ほかに映画『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(23)、『シティーハンター』(24)、『花まんま』(25)など。「世界遺産」(TBS)のナレーションも務める。

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● 江口洋介(えぐち・ようすけ)

1968年生まれ。東京都出身。’86年俳優デビュー。以降、「ひとつ屋根の下」、「救命病棟24時」(ともにフジテレビ)など数々のヒットドラマや映画にて活躍。俳優業の他アーティストとしても活動中。近年の出演作にドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1〜東京湾大海戦〜」(Amazon)、「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)、「誰かがこの町で」(WOWOW)、「誘拐の日」(テレビ朝日)、映画『大きな玉ねぎの下で』(25)など。8月16日(土)・17日(日)にNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」が放送。9月26日(金)には映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が公開される。

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劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』

2021年にTBS日曜劇場枠で放送された「TOKYO MER~走る緊急救命室」は東京を舞台に最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」の活躍を描くドラマ。その劇場版第2弾として公開されるのが本作。TOKYO MERの活躍が高く評価され、全国の主要都市である札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に新たなMERが誕生。その一方で沖縄・鹿児島では離島地域に対応できるMERの誘致活動が活発化。指導スタッフとしてTOKYO MERの喜多見チーフ(鈴木亮平)と看護師の夏梅(菜々緒)が派遣され、オペ室を搭載した中型車両=NK1を乗せたフェリーで、離島での事故や災害に対応する南海ERの試験運用が開始されていた。注目を集めた南海MERだったが、運用が決まってから半年間が経過しても、緊急出動の要請はゼロ……まったく実績をつくることが出来ず、廃止が決定的な状況となっていた。そんな中、南海MER管轄区域の離島で突如として火山が噴火! 大規模医療事案として南海MERの初出動が決まる。溶岩が村を焼き尽くし、多くの噴石が飛び交うすさまじい状況。噴煙のため、ヘリコプターによる上空からの救助は不可能。そして海上自衛隊や海上保安庁の到着も数十分後という絶望的な状況……。しかし南海MERは、島に取り残された79名すべての命を救うために、絶体絶命のミッションに挑む。
全国東宝系にて公開中
公式HP/劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
©2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

お問い合わせ

ラルフ ローレン 0120-3274-20

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