2025.08.06
鈴木亮平×江口洋介【後編】「江口さんは『バイクと音楽とサーフィン』。僕は『世界遺産とYouTubeと筋トレ』です(笑)」
全国東宝系にて公開中の映画、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』で共演した鈴木亮平さんと江口洋介さん。沖縄と鹿児島にまたがる大海原と火山の島を舞台にした一大スケールの本作に込めた思いと撮影の舞台裏、そしておふたりの関係がうかがえるエピソードまで、たっぷりお聞きしました。その後編です。
- CREDIT :
文/浜野雪江 写真/土屋崇治 スタイリング/臼井 崇(THYMON Inc.)(鈴木)、島津由行(江口) ヘアメイク/Kaco(ADDICT_CASE)(鈴木)、中嶋竜司(HAPP’S)(江口) 編集/森本 泉(Web LEON)

劇中の喜多見と牧志、そして鈴木さんと江口さんの関係性について語ってくれた前編(こちら)に続き、対談後編では撮影秘話やプライベートな時間、そして、おふりが思うカッコいい大人像についても伺いました。
鈴木さんは、周りを筋トレムードにもっていくのが上手でした
鈴木亮平さん(以下、鈴木) 江口さんたちが入られる前、若手の新メンバーたちといた時は、「美ら海水族館」に行ったり、ジムを契約してトレーニングをしたりしていましたね。
中打ち上げでは、スタッフたちと居酒屋に集まり、劇中で牧志先生が釣ったとされる大きな魚をお店の人にさばいてもらってみんなで食べたり。そんな賑やかな食事会もありました。
江口洋介さん(以下、江口) 沖縄は土地ならではの食を味わえるお店がいろいろあって、ソーキそばや、沖縄ならではのかき氷を食べたり、街の食堂にもよく行きました。
鈴木さんは、周りを筋トレムードにもっていくのが上手でしたね! 「ジム行ってきた? あ、もう行った。いいねぇ~」とか言って(笑)。ご自分の肉体改造もすごくて、映画をご覧になった方はわかると思いますが、ファーストカットのインパクトは強烈で、CGかな!? と思いました(笑)。

江口 大変だったなぁ……あれ。
鈴木 全力で走っていて、そのシーンを含めた1日の撮影がようやく終わった後に夜釣りに行かれていたので。朝もすごく元気に「おはよう!」って入ってこられるので、ホントにタフだなって。
江口 ふふふ(笑)。僕はコーヒーが好きで、沖縄でもコーヒー豆を買ったし、持参したコーヒーも毎日淹れてましたけど、朝それを飲んでから撮影に臨むと覚醒するんですよ。
勇気を出して一歩を踏み出すことができれば誰もがヒーローになる
鈴木 自然は美しいけれど、その分脅威にもなりうるという一面が、今回描かれています。いつもと違うなと思うのは、島の人たちが全員顔見知りで、皆が一丸となって誰かを救おうとする流れです。
MERのメンバーだけがヒーローなのではなく、誰かを救うために勇気を出して一歩を踏み出すことができる人は誰もがヒーローになれる。そして、なぜそれを成し遂げることができたかというと、牧志先生をはじめ南海チームがこの半年間、いつも人々の健康を気にかけ、島を巡回していたからです。
離島医療への従事も含め、都会では描かれにくい一歩踏み込んだテーマが、この島だからこそ描けたのかなと思います。

── 撮影から約半年を経て、仕上がった映画をご覧になっての率直な感想も伺えますか?
鈴木 スケールの大きさも、人間ドラマの濃厚さも圧倒的で、日本映画ではなかなかない迫力のものができたんじゃないかと思います。テンポも速いのですが、グッとくるポイントがとにかく多いんです。特に、島の人たちが命を救うために一丸となるシーンの一つひとつには何度も心を掴まれました。
そして、南海チームの活躍はもちろんのこと、「TOKYO MER」メンバーの登場にもワクワクしました。
江口 僕も、ドキドキハラハラポイントがいっぱいある中でも、島の人たちが誰かのために皆である行動に出るシーンにはグッときました。実際にやったらとても危険なんだけど、そこは映画ならではの演出によって感動を味わわせてもらいました。
物語を通して自分の命や親への感謝の思いも改めて湧いてくるでしょうし、命のありがたみみたいなものを、あったかい気持ちで持ち帰れるような映画になったんじゃないかなと思います。
それと、CGのレベルがとにかくすごかったです。本当にリアルで、怖さを感じました。

江口 うん、違うね。震災やコロナやいろんなことを経験して、乗り越えてきたこの国だからこそこういう描き方になるんだなと思う。
鈴木 起きたことに対しては受け入れますが、その中で、生きている我々がどう手を取り合って、そこから助け合っていくかというところにフォーカスされているのがMERらしいですし、そこが我々の心を打つんじゃないかなと思います。
江口さんは“人生エンジョイ先輩”っていう感じです
鈴木 監督がジェスチャーを交えながら細かく説明してくれるんです。「はい、今これぐらいの岩がここに当たります! 」って情熱的に(笑)。
江口 擬音などを交えながらね(笑)。す~ごく臨場感を出してくれるから、やりやすかったです。
鈴木 これがどういう映像になるんだろう? と思いながら演じていたので、出来上がったものを見た時は、松木監督はまだ30代なんですけど、本当にすごいなぁと改めてリスペクトしました。
江口 彼女、そんなに若いんだ! CGも得意で、ヒューマンな部分もしっかり撮れる。その両方をバランスよく表現されるすごい人ですよね。これだけ大所帯のエンタテインメントを、いろんなチームに支えられながら引っ張り、まとめ上げる(松木組の)現場自体も、バランスのいい現場でしたね。

鈴木 江口さんはもうちょっと爽やかな自然児みたいなイメージです。自然が好きで多趣味で、音楽もやられていて、人生をすごくエンジョイされている方だと思います。
仕事だけでなく、プライベートでもいろんなところに出かけたりして楽しんでいるお話を色々聞かせていただいていて、ホントに羨ましいです。
鈴木 僕はどうしても家の中にいてしまう癖があって、休みの日も家の中で世界遺産の動画とか見てるんです。もちろん、仕事を含めて実際に世界遺産を見に行って味わったりすることもあるのですが、世界遺産以外にあまり趣味がないので……。
(テーブルに置かれた「LEON」を見ながら)ジローラモさんは事務所の先輩なんですが、LEONさんも、仕事や趣味を通じて人生を豊かにしようという趣旨の雑誌ですよね?

鈴木 僕から見た江口さんは、この(三種の神器的な?)感じで言うと、「バイクと音楽とサーフィン」みたいな人です。あと、カッコで「(コーヒー)」。
江口 それカッコよすぎない? 全然そうじゃない気がするなぁ(笑)。鈴木さんは3つ挙げてタイトルをつけるとしたら何なの?
鈴木 僕はそうですね……「世界遺産とYouTubeと筋トレ」でしょうか(笑)。
鈴木 江口さんは、こうなりたい、みたいというのはありますか?
江口 う~ん。僕はけっこう現実主義で、あまり先のことを考えても、現実はその通りにはいかないものだと思ってるから。理想像みたいなものは意外とないのかもしれない。仕事でも趣味でも、その場でやりがいなり楽しみを見つけるほうが好きなんです。

カッコよさっていろいろありますよね。どうしても譲れないものがあってそこに真っ直ぐな人や、好きなものに一生懸命な人、何かに夢中になっている人もカッコいいと思います。
江口 そうだね。それが今を大事に生きることにもつながるんだろうね。

● 鈴木亮平(すずき・りょうへい)
1983年生まれ。兵庫県出身。’06年に俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台と幅広く出演。主な作品にNHK 連続テレビ小説「花子とアン」、大河ドラマ「西郷どん」、ドラマ「TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜」(TBS)、「エルピス-希望、あるいは災い-」(関西テレビ・フジテレビ)、「下剋上球児」(TBS)、映画『孤狼の血LEVEL2』(22)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞、『エゴイスト』(23)で第78回毎日映画コンクール男優主演賞をはじめ数々の賞を受賞。ほかに映画『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(23)、『シティーハンター』(24)、『花まんま』(25)など。「世界遺産」(TBS)のナレーションも務める。

● 江口洋介(えぐち・ようすけ)
1968年生まれ。東京都出身。’86年俳優デビュー。以降、「ひとつ屋根の下」、「救命病棟24時」(ともにフジテレビ)など数々のヒットドラマや映画にて活躍。俳優業の他アーティストとしても活動中。近年の出演作にドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1〜東京湾大海戦〜」(Amazon)、「忍びの家 House of Ninjas」(Netflix)、「誰かがこの町で」(WOWOW)、「誘拐の日」(テレビ朝日)、映画『大きな玉ねぎの下で』(25)など。8月16日(土)・17日(日)にNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」が放送。9月26日(金)には映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が公開される。

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』
2021年にTBS日曜劇場枠で放送された「TOKYO MER~走る緊急救命室」は東京を舞台に最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」の活躍を描くドラマ。その劇場版第2弾として公開されるのが本作。TOKYO MERの活躍が高く評価され、全国の主要都市である札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に新たなMERが誕生。その一方で沖縄・鹿児島では離島地域に対応できるMERの誘致活動が活発化。指導スタッフとしてTOKYO MERの喜多見チーフ(鈴木亮平)と看護師の夏梅(菜々緒)が派遣され、オペ室を搭載した中型車両=NK1を乗せたフェリーで、離島での事故や災害に対応する南海ERの試験運用が開始されていた。注目を集めた南海MERだったが、運用が決まってから半年間が経過しても、緊急出動の要請はゼロ……まったく実績をつくることが出来ず、廃止が決定的な状況となっていた。そんな中、南海MER管轄区域の離島で突如として火山が噴火! 大規模医療事案として南海MERの初出動が決まる。溶岩が村を焼き尽くし、多くの噴石が飛び交うすさまじい状況。噴煙のため、ヘリコプターによる上空からの救助は不可能。そして海上自衛隊や海上保安庁の到着も数十分後という絶望的な状況……。しかし南海MERは、島に取り残された79名すべての命を救うために、絶体絶命のミッションに挑む。
全国東宝系にて公開中
公式HP/劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
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