2025.07.05

松本幸四郎（52）「若々しいオーラの秘訣は、毎日でも食べたい肉!?」

歌舞伎界のプリンスと呼ばれた時代を経て、いまではエンタテインメントとしての歌舞伎の未来を背負う存在となった十代目松本幸四郎さん（52歳）。脂の乗った大人の男としての、その魅力に迫ります。

CREDIT :: 撮影／前田晃（MAETTICO）　スタイリング／吉野誠　ヘアメイク／hanjee（SIGNO）　文／小寺慶子　編集／石井洋（Web LEON）　撮影協力／グランドハイアット東京バー＆ジャズラウンジ「マデュロ」

子どもの頃は歌舞伎俳優と野球選手の両方できないかな、なんて妄想したことも

歌舞伎ファンの間では、古典から新作まで、二枚目も女形も演じ分ける実力派として知られる十代目松本幸四郎さん（52歳）。父はミュージカルや大河ドラマにも出演の二代目松本白鸚、叔父は人間国宝の二代目中村吉右衛門という華麗なる一族に生まれた時から「自分は歌舞伎の道へ進むことが決まっていたのだと思います」と、静かに話し出しました。

── 6歳で歌舞伎座の初舞台を踏み、一人前の俳優を目指して稽古に明け暮れる日々だったそうですが、遊びたい盛りの少年にとって、歯がゆい思いをしたこともあったのでは？

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松本幸四郎さん（以下、幸四郎）　この環境しか知らないというのもありますが、好きなことをやっている感覚がとても強かったので、それはなかったです。野球も大好きだったので、子ども心に歌舞伎俳優と野球選手の両方をできないかな、なんて妄想したことはありましたね（笑）。

── 今日の“ちょい不良（ワル）ファッション”もとてもお似合いです。オフの日はどんな格好で過ごしていますか？

ジャケット51万7000円、パンツ28万6000円、シャツ44万円、靴17万9300円／すべてジョルジオアルマーニ（ジョルジオアルマーニジャパン）、時計111万1000円／オメガ、バングル194万7000万円／ダミアーニ（ダミアーニ銀座タワー）

幸四郎　普段、自分が着る服には無頓着で、上下黒のシャツにパンツというのがほぼ一年中のスタイルです。あえてこだわっているとすれば、ゆったりめの楽なシルエットのものを選んでいますね。舞台でもドラマなどでもいろいろな衣装を着ますから、こういう機会に変身できればと（笑）。

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── 四月大歌舞伎の昼の部では『木挽町のあだ討ち』と『黒手組曲輪盾達引』の2作品に、偶数日の夜の部では『杉坂墓所･毛谷村』に出演するというハードなスケジュールの中、取材を受けていただいてありがとうございます。集中力を切らすことなく、最大限のパフォーマンスを発揮するために、日頃から筋トレなどをしているのですか？

幸四郎　舞台に立つことが鍛錬なので、特別な運動はしていないんです。一度の公演でものすごい量の汗をかくので、ジムもサウナも行きません。エネルギーを補給するためには、毎日の食事が大事だと感じています。

毎日しっかり食べる朝ごはんは、和食が好きなので、パンよりお米派です。歌舞伎座公演中は、周りに美味しいお店がたくさんあるので、コロナ前はよく「喫茶YOU」のオムライスを出前してもらっていました。

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幸四郎　地方公演の時は1カ月近くホテル住まいになるので、ひとりでふらりと行けるお店を探すこともあります。京都公演の時に必ず行くのは、祇園の「安参」。京都は昔から牛肉文化と言われますが、こちらのお店はカウンターもとても活気があって、肉料理をいただくと元気になれるんですよ。

食べ物の中でも特に肉は、毎日でも食べたいほど大好き。ステーキやしゃぶしゃぶ、焼肉、焼鳥には目がないですね。

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先輩方の姿に学び、自分で考え努力する──そうした風習は若手にしっかり受け継ぎたい

── 若者への接し方に悩むLEON世代も多いのですが、共演者やスタッフと“飲みニケーション”はしますか？

幸四郎　僕はお酒も好きなので、たまに若手の役者さんと飲みにいくこともありますが、積極的にという感じではないです。お酒の場は本音で話がしやすいとか、チームの士気が高まるなどいいこともたくさんありますよね。僕はどうも年下の役者さんからも変わり者だと思われている節があるようで（笑）、「幸四郎さんがまたおかしなこと言っている」とイジられています。

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4月は後輩の（中村）虎之介くんと一緒の楽屋だったのですが、彼が演じる役の衣裳を着ている時に（緊張をほぐそうと）、藁でできた人形を手品っぽく手のひらから出して見せたんです。「なんで、いまそれなんですか？」って言われましたけれど（笑）。そういうキャラクターだと思われているおかげで、飲みの場でなくてもコミュニケーションを取りやすい雰囲気があるように感じます。

幸四郎　少し話は変わりますが、歌舞伎の世界でとても大切なことのひとつは、先輩方に「型」を教えていただくことなんです。その型を完璧に真似ることができると褒められるというのは、ある意味特殊ですよね。

その受け継がれてきた型をいかに自分の型に変えて表現していくかということがもっと大切で、一朝一夕では成し得ない。常に先輩方の姿に学び、技を教えていただき、自分で考え努力する。そうした風習は先人を尊敬することに自然とつながっていきますし、僕自身も若手にしっかりと受け継ぎたいと思っています。

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若さの秘訣は、丁寧なクレンジングとお肉!? 次回は幸四郎さんのお肉連載に乞ご期待！

タキシード（参考商品）／ジョルジオアルマーニ（ジョルジオアルマーニジャパン）、その他はスタイリスト私物

── 若い世代との日常的な関わりもあると思いますが、幸四郎さんの若々しいオーラには驚くばかりです。そのオーバー50とは思えないつややかな肌は、日々のお手入れの賜物なのですか？

幸四郎　いえいえ、まったくそんなことはないです。舞台では白塗りの厚化粧をしますし、照明が当たるのですごく肌が乾燥するんです。まさかお化粧をしたまま帰るわけにはいかないので、クレンジングは丁寧に念入りにしますが、ほかに特別なことはしていません。ただ“肌を整える”という意味では、汚れをきちんと落とすことが大切なのかもしれませんね。

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幸四郎　あとは、やっぱり食生活ですよね。“若い時ほど脂が乗ったお肉が食べられなくなった”という話をよく耳にしますが、僕はカルビでもなんでもどんとこい！です（笑）。

── もしかしたらお肉の脂も肌にいいのかも!? 日々“モテる”を追求しているLEONなので、その若さの秘訣にあやかりたいです。幸四郎さんのお肉連載、始めちゃいましょうか？

幸四郎　いいですね。今日はいつもと違う雰囲気で撮影していただけてうれしかったです。次は美味しいお肉が食べられたらいいな、と期待しています（笑）。

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⚫︎ 松本幸四郎（まつもと・こうしろう）

1973年1月8日、曾祖父七代目松本幸四郎から続く歌舞伎役者の家系に生まれる。屋号は高麗屋。父は二代目松本白鸚、息子に八代目市川染五郎。6歳で三代目松本金太郎を名乗り初舞台。8歳で七代目市川染五郎を襲名。2018年1月、歌舞伎座高麗屋三代襲名披露公演『壽初春大歌舞伎』で十代目松本幸四郎を襲名する。舞踏の名手でもあり、松本流家元・松本錦升も兼ねる。俳優としても知られ、演劇、テレビや映画など幅広いフィールドと役柄で活躍中。「大阪・関西万博」アンバサダーも務めている。7月5日から『歌舞伎座七月大歌舞伎』に出演。夜の部「鬼平犯科帳」では演出も担う。同じく7月5日、主演を務める連続シリーズ『鬼平犯科帳暗剣白梅香』が放送・配信。https://koshiro.jp

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ダミアーニ銀座タワー　03-5537-3336