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2019.07.09

ジュゼッペ・ザノッティ インタビュー「僕たちは過去と未来の真ん中で仕事をしている」

靴は、それを履く人のキャラクターや人物像を如実に表すと言う。では、このブランドの靴を履く人はどんな人なのだろうか ── 世界のセレブリティやミュージシャン、ファッションアイコンに愛され、ラグジュアリーシューズメゾンを一代で築き上げたジュゼッペ・ザノッティにインタビュー。氏のクリエイションの秘密とは?

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インタビュー/石井 洋(LEON.JP編集長) 写真/蜂谷哲実(hachiya studio) スタイリング/静物・稲田一生

LEONの周辺には有名無名にかかわらず、同じ男から見ても格好のいい“大人の男”が大勢いる。そしてそんな男たちとのフリートークを通して、さまざまな発見、気づきをもたらす「Interview with」。

ラグジュアリーシューズという新たなカテゴリーを牽引するジュゼッペ・ザノッティ氏が生み出す靴は、常に常識にとらわれない自由な発想の元にある。「白いキャンバスに絵を描く画家、もしくはまっさらな五線譜にメロディを書き入れる音楽家のようですね」と語りかけると、「それでも大切なのは、伝統の上に成り立つことだよ」と意外な答えが。その真意とは?

聞き手は、本誌LEON編集長兼LEON.JP新編集長の石井 洋。

● ジュゼッペ・ザノッティ (GIUSEPPE ZANOTTI) / シューズ デザイナー

1994年イタリアにて創業。ジュゼッペ・ザノッティ本人によるオリジナリティに溢れたデザイン、自社工場を中心とした伝統的かつ革新的な製法により人気を博す。ラグジュアリーシューズメゾンとして知られ、多くのアーティスト、ミュージシャン、セレブリティから熱い支持を受ける。過去、マイケル・ジャクソンやジェニファー・ロペス、リタ・オラらとカプセルコレクションを発売したことも。現在はメンズコレクションも充実しており、パーティーシーンからビジネスシーンまで、幅広いラインナップを誇る。

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「僕たちは過去と未来の真ん中で仕事をしている」

目にしたものすべてを面白がること。気づきが大事なんだ(ザノッティ)

石井 洋(以下:石井)
これまであなたの靴を数多く拝見してきましたが、実に幅広いバリエーションがありますよね。それには何か理由があるのですか?

ジュゼッペ・ザノッティ(以下:ザノッティ)
デザインに幅があるのは、トランスフォームすることを望む人に提供しているからかもしれないね。セレブリティのためのサンプルを製作しながら、ラッパーに靴を提供し、かと思えば、ウェディング用のオーダーメイドも作る。一方で、ビジネスマンが履けるトラディショナルなものもある。さまざまな靴を作っているけれども、作る時の気持ちは同じなんだ。僕の靴が欲しいと思ってくれる人たちは、心のどこかにセレブリティというか、特別な人になりたいという気持ちがある人だと思うよ。例えば普段は真面目な銀行マンだとしても、週末には華やかだったりクールなスタイルでキメたいという気持ちを持っている人はいるでしょう? そういう人たちにこそ履いてもらいたいんだよ。人間は見た目も心持ちも、多面性があってしかるべきだと思うしね。

石井 確かに。ひとりの人間の中には様々な多様性や価値観が存在していますよね。それを肯定して受け入れる作業は、人生を楽しむ秘訣のようなものかもしれないな。

ザノッティ 別の言い方をすれば、僕の靴は現代を生きている人のライフスタイルに寄り添っている靴とも言えるかもね。

石井 そして何と言っても、あなたの靴は他のどのブランドにも似ていない独自性がある。デザインが浮かぶのはどんな時なのでしょうか?

ザノッティ 例えば昨日見た庭園の花が美しかったとする。そうしたらすぐに絵におこして、どういう靴になるのか想像してみるんだ。その時同時に、細やかな技法やディテールまで浮かんでくるんだよ。ある時は即座にアトリエのみんなにシェアをして、サンプルを作ってみたりすることも。旅をしている時は特にそうしたアイデアが浮かぶことが多いね。目にしたものすべてを面白がること。気づきが大事なんだ。

石井 気づくこと。それはどんなジャンルだとしても大事なことですよね。ただ、それがなかなかできない。

ザノッティ 例えば、メゾンのコアなファンからのオーダーに影響を受けることもあるよ。自分とは違う国や文化にインスパイアされるんだ。印象的な人に出会って、その人の髪型からアイデアが浮かぶことだってあるくらい。

石井 (本人の携帯で実際にその人の写真を見せてもらい)本当だ! ここから発想するなんて……。考え方が柔軟というか、なんでもデザインの糧になっているんですね。
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まるで生き物のようなデザインにも職人仕事が生きている(ザノッティ)

ザノッティ そうだね。ただし、新しいデザインをクリエイトするけれども、それが伝統の上に成り立っていることが大事なんだよ。一番大事なのは革新と伝統のコンビネーションで、表面的なだけではダメ。進化とは、伝統の上に成り立つものなんだ。僕は日本の文化もとても好きなんだけれども、着物も同じだと思うんだ。伝統やルールに則った衣服が、長い時間の流れを経て、新しい感覚のデザインが生まれたり、自由な着こなしをする人も生まれているよね。職人の技術が生きているという点でも似ている気がするんだ。

石井 デザインだけ、技術だけではなく、さらには伝統や文化との融合ということですね。

ザノッティ スパンコールやスタッズといった外面の装飾にまず目を奪われると思うけれども、中身(靴の作り)は伝統と文化ということ。靴作りの歴史のノウハウが生かされている。アトリエのスタッフや多くの職人たちとの共同作業によってそれが成立している。工場じゃないんだ。だからメゾンなんだよ。

石井 まるで生き物のようなデザインやクロコダイルタッチのデザインにも職人の技が生きている?

ザノッティ そうだよ。有機的なデザインを活かせるのも自然な曲線を生み出せる技術力だし、このクロコダイルのデザインも、実はスタンプじゃない。職人が手仕事でカットして、3次元的なフィニッシュをしているんだ。
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アイデアや製作過程すらメロディアスだな、と(石井)

石井 話は変わりますが、この人のために靴を作ってみたい、という人はいますか?

ザノッティ 小さい頃からジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、デヴィッド・ボウイのために靴を作りたいと思ってたんだ。僕は音楽がとても好きでね、彼らには大きな影響を受けた。
ただ僕は生まれるのが少し遅かったかもね(笑)。でも、素晴らしいアーティストたち、例えばエイミー・ワインハウスやマイケル・ジャクソンのために作ることはできたよ。他にレニー・クラヴィッツにもね。不思議な感じがするけれども、エイミーはジャニスの、レニーはジミの影響を少なからず受けた、もしくはその系譜にいるアーティストで、そうした点でも感慨深いものがあったな。昔の音楽に影響を受けた今の音楽があるように、靴作りはそうしたものでもあるかもしれないね。

石井 確かにあなたの靴を見ると、音楽的なものを感じます。ステージで映えるデザインということもありますが、話を伺っていると、アイデアの浮かび方や製作過程すらメロディアスというか。抑揚、起伏がありますよね。

ザノッティ そうかもしれないね。僕にとって仕事と音楽は繋がっているんだ。ある音楽を聞いてその歌手の声に心が揺さぶられたり、空気感に影響を受けたりね。例えば、ある楽しい夜。そこにはこんな男女がいて、こんな服装でこんな靴を履いていて、そしてBGMにはジャズがかかっている……という風に想像をしながらデザインを考えていくことだってあるんだ。

石井 それはもう一本の映画ですね。音楽だけじゃなく、そこに生きる人々のストーリー、光と影、映像が浮かんできます。

ザノッティ まさにそうなんだよ。メゾンのコレクションは一本の映画で、それぞれの靴がそれぞれのチャプターを担うんだ。

石井 なるほど。では最後に伺いたいのですが、あなたにとってこれからの夢とはなんでしょうか?
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今発見したものが「未来のクラシック」になるかもしれない(ザノッティ)
美しい花を咲かせるために、今、種をまくということ(石井)

ザノッティ すでに僕はロング・ジャーニーをしてきたから、あまり長い先のことは考えられないけどね(笑)。ただ思うのは、今この業界は変革の真っ只中にいるということ。次の服、次のジーンズ、次の靴……そうしたファッションのすべてが問われているよね。僕はその「次なるもの」を誰よりも先に発見しなくてはならないと思っているよ。もしかしたら今発見したものが「未来のクラシック」になっていてもおかしくないのだから。

石井 連綿と続くファッションの歴史があり、今を生き、未来へと繋げていく、と。種をまいて、美しい花を咲かせるということですね。

ザノッティ 僕たちは過去と未来の真ん中で仕事をしているんだ。だからもう一度、伝統や文化の意味を考え、熱いパッションを持って旅をしていかなくては。同じところにいるのはつまらないし、意味がない。やっぱりチャレンジがないとね。さて、この話の続きは……ワインでも飲みながらやろうか(笑)
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ジュゼッペ ザノッティ ジャパン 03-6894-7510

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