2017.06.29

海外のHANABIが今オモシロイその理由

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監修・写真/冴木一馬(ハナビスト)
取材・文/岩佐史絵
  マカオ国際花火コンテストは、世界三大競技会のひとつに数えられる壮麗な花火の祭典。マカオ・タワー前の南灣湖が会場となり、マカオの夜景を背景に花火があがる。マカオはポルトガルが宗主国であることもあり、花火がさかんなポルトガルのチームも毎年参加している。
マカオ国際花火コンテストは、世界三大競技会のひとつに数えられる壮麗な花火の祭典。マカオ・タワー前の南灣湖が会場となり、マカオの夜景を背景に花火があがる。マカオはポルトガルが宗主国であることもあり、花火がさかんなポルトガルのチームも毎年参加している。

ヨーロッパに花火大会はなかった?

花火の歴史でもふれたように、日本の花火文化は江戸時代に始まり、世界をリードするまでに進化しました。ですが、そのスタートは中国やヨーロッパよりずっと後になってのこと。

そう聞くと、花火の本場はどこかが気になるところですが、中国で火薬が発明されて以降それぞれの国で発展していった花火は、日本のそれとはちょっと違った進化をとげています。

そもそも日本の花火が夏の風物詩なのは、江戸時代の川開きのお知らせに花火が使われたから。合図が目的だったものを、大川(現在の隅田川)沿いの料理茶屋などが客寄せのためにお金を出し合って花火を打ち上げ、納涼船からも花火をあげてほしいと注文が入り……

という風に、庶民文化として発展していったものでした。
台湾の伝統花火「炸寒單爺」(ザーッハンダンイェ)。赤パンを履いた上半身裸の男性が担がれて、街の中を練り歩くと数十本の爆竹を周辺の氏子が投げつける。いわば厄落しの願掛けなのだそう。
台湾の伝統花火「炸寒單爺」(ザーッハンダンイェ)。赤パンを履いた上半身裸の男性が担がれて、街の中を練り歩くと数十本の爆竹を周辺の氏子が投げつける。いわば厄落しの願掛けなのだそう。
一方、ヨーロッパで花火といえば王族の結婚式などに使われることが多く、庶民が揚げるというよりイベントに使われるものでした。今でもその名残なのか、純粋な花火大会というものは少なく、イベントの余興のひとつとして花火があがることがほとんど。

ところが、その傾向が近年少し変わってきました。そう、海外でも花火が主役のイベントが注目されるようになってきたのです。それが「花火競技会」です。

実は国連加盟国193か国のうち、花火文化があるのはたったの30か国ほど。つまり、もともと花火文化がない国がほとんどなのです。そんななか、競技会に多くの人が集まることが分かってきたため、近年ではこうした競技会を開催する国が増えてきた、ということなのです。

日本は一発入魂、海外は演出でみせる

いま世界三大競技会と呼ばれているのは、マカオ、ドイツのハノーファー、カナダのモントリオール。
ここでは数週間という期間、週末に競技会が行われます。

世界中から集まった参加国が、週末になると花火を打ち上げるのですが、日本と違うのは、日本の花火がその一発を作品としてみせるのに対して、海外の花火は音楽と連動させて、全体的な構成で見せる、いわばショーに近いのです。

じつは近年、日本の花火大会でもこうしたショーの手法が取り入れられることが増えてきました。
ただ、海外の花火は長くても30分くらいで終わるものがほとんど。競技会でも、だいたい1日にひとつの国がショーをする、というのが定例なのだそう。
ダナン国際花火競技会は、最近お目見えした花火競技会。ダナンはベトナム中部のリゾート地で、ワールドスタンダードな高級ホテルがこぞって進出、事業展開している、旬なアジアンリゾート。ベトナム航空の直行便で日本から乗り継ぎなしで行くことができるのが魅力です。
ダナン国際花火競技会は、最近お目見えした花火競技会。ダナンはベトナム中部のリゾート地で、ワールドスタンダードな高級ホテルがこぞって進出、事業展開している、旬なアジアンリゾート。ベトナム航空の直行便で日本から乗り継ぎなしで行くことができるのが魅力です。
こうした海外の花火はすべて電子制御によって点火するようになっています。ですが、その準備はすべて手作業! それぞれ大きさの違う花火をひとつひとつ、こつこつとセットします。すべての花火に導火線がついているので、ひとつでも断線したら台無し。

だから、セッティングの最中には絶対に線を踏まないよう、細心の注意を払い、膨大な手間と時間をかけて準備するそうです。1日にひとつの国のショーしか披露されないのは、そんな理由もあるのでしょう。
マカオ国際花火コンテスト。ド派手な演出は圧巻。
マカオ国際花火コンテスト。ド派手な演出は圧巻。
ちなみに、この電子制御盤の置いてある場所は、まるでDJブース。打ち上げ会場に近いワゴンの中などに設置されるのですが、ちょっとクールな秘密基地にも見えます。とはいえ、万が一の事故が起こったときには命を落とす危険すらある、緊張の空間でもあるのです。

そんな海外の花火は、前述の通りほんの20分程度のショーが多いのですが、国際競技会が行われるベトナムのダナンは、このところ隠れ家的なゴージャスリゾートが建設ラッシュとなっていますし、マカオではミシュランの星付きレストランが目白押し。

そんな花火以外のお楽しみが多いのも海外花火のポイントです。というわけで、「こんど花火を見にベトナムにいかない?」なんて、ちょっとトリッキーなお誘いも、かなり有効かと思う次第!

●冴木一馬

写真家。世界を股にかけ花火を撮り続けて30年。撮影だけでなく、花火の歴史や民俗文化をも調査・研究し、花火のことならなんでもござれ、花火師の資格まで有する日本唯一の“ハナビスト”。山形県出身。
http://www.saekikazuma.com/

写真集『花火』光村推古書院刊

A4判 オールカラー96頁
ソフトカバー 本体2400円
ワンシャッター、多重露出をおこなわず、花火本来の姿をとらえることにこだわりぬいたハナビスト冴木一馬による花火写真集。

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