2023.12.02

糖質制限ダイエットは100%リバウンドします

テレビ番組などのダイエット企画で、1カ月で10kg、15kgと体重が減ったタレントさんが、気がついたらダイエット前より太っていたのは、どうして? その理由は「糖質制限によるリバウンドの仕組み」にありました。

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文/石原広章(石原クリニック院長)

記事提供/東洋経済ONLINE
糖質制限ダイエットは100%リバウンドします
写真提供/shutterstock
京都で産婦人科・内科専門のクリニックを経営する医師の石原広章氏は、かつてコロナ禍で“出前生活”になり一気に体重が加速。50歳を目前に「123kg」を記録したことでダイエットを決意。「毎日おさんぽするだけ」で、51kg(123kg→72kg)の減量に成功しました。

なぜ「歩くだけ」でやせられるのか。その正しいノウハウをまとめた一冊『おさんぽダイエット』が先日発売され注目を集めています。楽しく有酸素運動が継続でき、失敗続きだったダイエッターも簡単にやせられる「おさんぽ」の秘訣を、一部公開いたします。

糖質オフこそ「やせにくい体質」を作る元凶だった

コロナ禍で人付き合いが減り、外出の機会も少なくなり、運動量が激減した方も多いでしょう。今までの食生活を続けていれば、これまで運動で消費されていた分が過剰となり、身体にどんどん蓄積され、体重も増えていく一方です。

体重が増えれば、当然、メタボリックシンドロームとなり、糖尿病、心臓病、脳卒中など重大疾患のリスクも高まります。

そうした危機感を持つ人はもともと多く、近年は炭水化物が多く含まれているごはんやパンなどの主食を抜く「糖質制限ダイエット」が大ブームとなりました。スーパーやコンビニにでも、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」「低糖質」と書かれた食品や飲み物がずらりと並んでいます。

糖質を抜くと、どうしてやせるのでしょうか?

患者さんの話を聞いていると、「糖質制限=カロリー制限」と勘違いしている方が、わりといらっしゃいます。「体重を減らしたい=カロリー制限をすればやせる=ごはんを食べない=糖質制限」といった図式です。

やせるか太るかどうかは、極論をいってしまえば、「食べる量」と「消費される量」の差ですから、カロリー制限をすれば体重は落ちます。そして、普段の食事内容を見てみると、ご飯やパンなどの糖質が半分ぐらい含まれているので、主食を抜けば手っ取り早くカロリーが抑えられ、体重が落ちます。

しかし、これがリバウンドを引き起こす原因となっているのです。
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そもそも糖質とは、脂質、タンパク質と並ぶ三大栄養素の1つです。脳や筋肉のエネルギー源となるもので、人間が生きていくうえで欠かすことのできない栄養素です。自動車にたとえるとガソリン、燃料のようなものです。

糖質を摂った後、エネルギーとして使い切れなかったぶんは、グリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に貯蓄し、エネルギーが足りなくなると、このグリコーゲンが使われます。

糖質制限をすると、肝臓や筋肉内にあるグリコーゲンが枯渇するので、体は脂質やタンパク質をエネルギー源に使うようになります。すると、脂肪が燃焼されてやせるという仕組みです。

「だったら脂肪を減らすために、糖質制限をしよう!」と思うかもしれません。しかし残念なことに、燃焼するのは脂質だけではありません。脂肪だけが燃焼されるとうれしいのですが、一緒になってタンパク質も同時に燃焼されてしまいます。

タンパク質は筋肉を作るために必要な栄養素です。タンパク質が減量すれば、筋力も低下します。筋肉が減れば、基礎代謝も減ってしまいます。

さらに、糖質を抑えた食生活を長期間続けていると、血糖値を下げるためのインスリンの分泌が減り、糖質に対する耐性(糖への対応力)が低下します。

インスリンの分泌が少なくなれば、糖質がグリコーゲンに変換されませんから、余った糖質は中性脂肪となってお腹のまわりに、まるで浮き輪のように蓄積されることになります。

筋力が低下して基礎代謝も下がっていますから、脂肪も燃焼しづらく、どんどん「使えないカラダ」になって、今まで以上に太りやすくなります。

これが、糖質制限によるリバウンドの仕組みです。
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テレビ番組などのダイエット企画で、1カ月で10Kg、15Kgと体重が減ったタレントさんが、気がついたらダイエット前より太っていたのは、こういう理由があったのです。

日本は「飽食の時代」といわれフードロスが問題になっていますが、そもそも人類は長い間、飢餓と闘ってきました。

その証拠に、人間は血糖値を上げるホルモンは、成長ホルモン・副腎皮質ホルモン・副腎髄質ホルモン・甲状腺ホルモン・グルカゴン・ソマトスタチンなどたくさんありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンの1つのみです。

血糖値は悪者扱いされますが、糖は人間の貴重なエネルギー源です。血糖値が必要以上に下がって低血糖となると、けいれんや昏睡、意識障害などを引き起こし、ときとして死をもたらすこともあります。

生命を維持するために、糖は必要不可欠の栄養素です。そこで太古の昔から人類は、少ない食事量でも効果的に血糖値を上げて、糖をエネルギーに変えていく必要がありました。

ところが、糖質オフダイエットがマスコミでも取り上げられ、一気に市民権を得ました。しかし、糖質制限ダイエットが失敗する理由は、先ほどお話をした通りです。

特に若い女性は、糖質を食べないという極端な選択を取りがちです。しかも、その代わりに肉や魚などのタンパク質をしっかり取るかといえば、そうでもなく、かろうじて朝食にヨーグルトを食べて、昼夜サラダという選択をしがちです。

タンパク質は筋肉や骨、血などの材料になる栄養素です。老後の骨粗しょう症を防ぐには、いかに10代、20代で骨密度を上げておくかが重要になっていますが、これでは完全に栄養不足。骨までやせてしまいます。
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「PFCバランス」を意識しよう

そこでダイエット中であっても、三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質をバランスよく摂ることが大切です。「PFCバランス」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。この言葉は、P=Protein(タンパク質)、F=Fat(脂質)、C=Carbohydrate(炭水化物)の頭文字を取ったものです。

厚生労働省でも、生活習慣病予防の一環として、摂取カロリーに含まれるPFCの割合の指標を発表しており、タンパク質=13~20%、脂質=20~30%、炭水化物=50~65%と、約半分を糖質で占められています。

タンパク質の推奨量は、18~64歳の男性は1日65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は1日50gです。炭水化物は、1日の摂取カロリーが2000kcalの場合は、1000~1300kcalになるので、1日250g~325gが目安となります。

また糖質制限ダイエットとして知られているケトジェニックダイエットの場合でも、タンパク質:脂質:糖質=3:6:1として、糖質は必ず摂るようにしています。

ケトジェニックダイエットは、ケトン体(脂肪酸から作られるもの)をエネルギー源とするものです。エネルギーは糖質から優先的に作られるため、タンパク質をしっかりと摂ったうえで炭水化物の割合を減らし、脂質を摂る割合を多くしています。

PFCバランスは毎日朝昼晩と厳密に計算する必要はありませんが、1週間程度自分の食生活を記録して、どのような傾向にあるかを知ることが大事です。

過ぎたるは及ばざるがごとし。バランスを大切にしましょう。
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です
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「おさんぽダイエット」は、その人の現在の体重、目標とする体重によっても異なりますが、1日20分~30分、週3~4日のペースで、その名の通り、おさんぽをするというダイエット方法です。
じつは「おさんぽ」は、有酸素運動としても優秀で、準備するものは普段着と運動靴だけ。歩いているだけなので、「運動をしている」という意識がなく、気分転換の意識できるため、長続きしやすいのです。
人生100年時代、ぜひとも「おさんぽダイエット」で健康を手に入れて、人生を謳歌してください。

石原広章・著 自由国民社 1485円(税込)
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特集「愛されオヤジで行こう!」に注目〜

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