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2023.08.01

愛されるお洒落は、ネタになるようなツッコまれポイントを自ら作ることが大切なんです

目まぐるしく時代が変化しているなか、モテるオヤジはどうあるべきか? 過去の価値観にとらわれず、しなやかにしたたかに現代を生き、男女を問わず皆に好かれる「愛されオヤジ」たちをご紹介する本特集。今回は、スタイリストの久保コウヘイさんが、愛されるお洒落を語ります。

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写真/鈴木泰之(Studio Log) 文・編集/LEON.JP編集部

【愛されオヤジ07】久保コウヘイさん(スタイリスト)

現場でイジられるのは、極上の快楽ですから

▲ 長瀬次英さん。インスタグラムの初代日本事業責任者を務めるなど、著名企業のマーケティングを手掛け、現在は独立して幅広い分野で活躍する。
▲ 写真からも人柄の柔らかさが伝わってくる、久保さん。脱力感のある感じが親しみを生み出すのかもしれません。
モテるオヤジのありようは当然ながら時代によってさまざまです。ジェンダー平等が叫ばれパワハラ&セクハラに厳しい目が向けられる現代にあって、ひとりよがりのアピールはモテないどころか社会的地位さえ危うくしかねません。今求められているのは他者に対する共感と、それを可能にする心のゆとり。それさえ持っていれば、多少突っ込みどころがあろうと(むしろある方が?)皆に愛されるし、結果モテるってもんです。

そんなリアル「愛されオヤジ」たちを紹介していく本特集。今回お話を伺ったのは、スタイリストとして雑誌やアスリートなどのコーディネートで活躍している久保コウヘイさん

その人当たりの良さは、業界でも知られているところですが、久保さんが愛されるのはコミュニケーションを重視した仕事ぶりにあります。女性が多い現場では、彼女たちの気持ちを惹きつけるようなお洒落をして、それをきっかけに仲良くなってゆく。

そういった気遣いができるお洒落ができれば、モテるのは当然のこと。でも、久保さんはモテようなんて、微塵にも思っていません。なぜならそれは、コミュニケーションのひとつだから。「あくまで仕事を円滑に進めてゆくための手段としてスタイリストは存在している」という仕事術をインタビューで探ってみました。
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主張は控えめ、でも好印象を残せるアイテム選びの秘訣

スタイリストというと、モードでエッジィで、とんがった印象のお仕事を想像地がち。でも、それはあくまでもイメージというか、想像の世界でのお話ですよね。もちろん、ガチで「オレのスタイルを提案したい」という人もいれば、そうじゃない人もいるのです。その後者の代表が、久保さん。

自分のスタイル云々よりも、久保さんが考える仕事の楽しみは、クライアントに喜んでもらうこと。なので、決して押し付けるような提案はせずに、着る人や編集者におもしろがってもらえることを重視しているそうです。
エルメスのロザンジュは手首に巻いてアクセントに。モスコットの泡色サングラスはコワモテにならずに洒落た感じを醸せます。
▲ エルメスのロザンジュは手首に巻いてアクセントに。モスコットの泡色サングラスはコワモテにならずに洒落た感じを醸せます。
「スタイリストといっても、いろんなタイプの人がいると思うのですが、僕はサービス業だと思ってやっていますね。現場でも使われないかもしれないな、でも、持っていったら場が盛り上がるというか、誰かが喜んでくれる。そういう観点で、モノを集めたりしますね。

仕事内容を簡単に言えば、集める、着せる、返す、ということなのですが、とことんシンプルにしてしまっては、おもしろみってなくなってしまうんです。着る、着ないはともかく、僕がスタジオに持っていくことで話のネタになったり、現場の雰囲気が変わったり。そういった部分でのやりがいこそが、大きいと思っています。

愛用しているエルメスのロザンジュ、まぁ小さめのスカーフなんですが、柄を見ればブランドがわかってしまいます。だからこそ、大判サイズではなく、小さく手首に巻いてみたり。仕事柄、それどこの? と着用アイテムを聞かれることも多いのですが、そのひと言を相手からさり気なく引き出すことを心がけています」

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愛されるファッションはコミュニケーションツールでもある

女性ウケがいいという、白を基調としたユルい感じのコーディネート。さわやかさと上品さのブレンドが秀逸です。
▲ 女性ウケがいいという、白を基調としたユルい感じのコーディネート。さわやかさと上品さのブレンドが秀逸です。
雑誌からアスリート、女性タレントまで幅広くスタイリングを手がける久保さんですが「どの現場でも共通していることがある」と言います。

「やっぱり、相手に喜んでもらってナンボの仕事ですから、想像を超えるようなアイテムを持っていったりしますね。クライアントに選ぶことを贈るというか、その人好みのものをたくさん集めて、選んでもらう。そうすることで、テンションも上がるだろうし、何より楽しんでもらえることが嬉しいんですよ」

ちょっとMっ気があるのかしら、とも思える発言ですが、久保さんはこう続けます。

「アスリートの方とかだと、これまであまりファッションに興味をもっていなかった人も多いですが、いろいろなバリエーションを用意すると、あれもこれも来てみたい、いまこういうのが流行っているんだ、というように興味をもってくれるんです。それがきっかけになって、その後の仕事につながるともあったりします」
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自分大好きじゃないんですよ、他人の笑顔こそがご褒美です

カッコつけることによる、カッコ悪くなってしまうことの弊害を久保さんはこう語ります。

「何ていうんでしょうね、自分のためにお洒落をすることも、もちろんありますが、僕の場合はそれが仕事につながっているので、やり過ぎないバランスには注意しています。全身ガチガチにワンブランドでキメたり、そういうコーディネートはあまり組まないですね。それだと、お洒落ですね、カッコいいですね、以上。みたいになってしまうので。そこから会話が生まれたり、コミュニケーションに通じるスタイリングが愛されると思っています。そうしたスタイリングをクライアントが見て、着て喜んでくれる。これ以上のご褒美はないですよ」

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男らしさと愛されるのって、別のことだと思っています

チャームがキュートなアドのブレスレット。時計は曲線が美しいラルフローレン。
▲ チャームがキュートなアドロのブレスレット。時計は曲線が美しいラルフ ローレン。
カッコつけたい、お洒落になりたいと思うと、とかくブランド選びやプライスに主眼が行きがち。そうすると結果、ゴリゴリに力の入った感じに仕上がってしまって、女性から見ると怖そうに見えたりするもの。

「女性誌やタレントさんを担当することも多いため、そのあたりは気をつけていますね。今日持参したブレスレットもゴールドですが、いやらしくないですよね。キーをモチーフとしたチャームも可愛らしい印象を与えると思います」

さらに長年愛用している時計については、腕につけているだけで目線を奪うキャッチーなアイテムとして活躍しているそう。

「どことなく、女性的な印象もある曲線がいいんですかね? かなりの確率でブランドを聞かれます。ブレスレットも時計も、決して男らしさが前面に立つデザインではありませんが、男女を問わずコミュニケーションツールになってくれていますよ。

スタイリストが考える愛されるお洒落って、意外と親しみがあるべきだと僕は思うんです。とっつきにくかったら出会いにも発展しませんし、度がすぎると自分大好き、みたいな印象になりがちですから。愛されるにはまず、人とのつながりや会話のネタになるようなコーディネートをおすすめしますね。突き詰めていえば、自分のこだわりより、相手や訪れる場所、それにふさわしい控えめなスタイルが、愛される秘訣なのではないでしょうか」

▲ 長瀬次英さん。インスタグラムの初代日本事業責任者を務めるなど、著名企業のマーケティングを手掛け、現在は独立して幅広い分野で活躍する。

● 久保コウヘイ

1977年東京都生まれ。アシスタントを経て2002年に独立。メンズ誌や俳優・タレントのスタイリングに加え、サッカー日本代表の選手を中心に、ラグビー・野球など幅広いジャンルのアスリートも担当。最近では女性アーティストや韓国人アーティストなども手掛け、幅広く活躍。

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