


(1) バターの融点は30~40度
(2) プレートの表面温度が250度(500度のオーブンで焼かれて提供されることから類推)
(3) バターの香気がたつのは約120度

聞けば、ルースクリスのエイジングは、なんとずっとウェットエイジングだそうですが、このウェットエイジングビーフの欠点を補うべくバターが使われたのでは、というのが渡辺の推測です。



塊のバターというのもポイントで、これが溶かされた澄ましバターだと(ニューヨーク系はほぼ澄ましバターかな?)乳たんぱくはほぼ無し、あくまで固形のバターを使うことで香りが立ちやすく、お客様の前でジュウジュウと音と香りを上げる演出も可能なわけです。これも、バターの乳脂肪の効果を最大限に生かした、理にかなった演出なのです。
この記事校正をいただいた10planning&coordinationの中嶋さんから「ルイジアナはフランスの植民地だったのでその影響もあるかもしれませんね」とバター仕上げについてコメントをいただきました。調べたところ、確かにアロゼやモンテオブールといったバター調理に類似していますね。恐らく文化的背景もあったのでしょう。
ちなみにルイジアナの語源は、Louis(時の王ルイ14世)&Anna(どなたでしょう?)でルイジアナとなったそうですわ。めちゃくちゃフランスですね(笑)。
※ちなみにタイトルの理系女子の知見は、中嶋さんの“ルースクリスは理系女子のサイエンスなんですね”というコメントから拝借しました。

だから、「ルースの“クリスステーキハウス”」になったらしい。この名前、実はそういう意味があったんだって。

調理・クオリティの均一化
生肉って基本、無臭に近いですが、焼いたら香ばしさが生まれますよね。ナッツやトースト、はちみつやらなんやら言われますが、これこそがステーキ肉の旨味なんです。フライパンではなくブロイラー調理にすることで、メイラード反応の最速化(効率化)、と誰が調理してもある程度同じクオリティに仕上がりやすい、としたのだと考えます。
これも、渡辺の推測ではありますが、FCビジネスとしての仕組みをこの調理法の確立で作ったのではないでしょうか。ちなみに、このメイラード反応の最速、最大化に高温ブロイラーを使うというのも実はルースさんが化学の知識があったから、ではないかと推量しております。
さて、前段、長くなってしまいましたが、個人的にアメリカンステーキの歴史とスタイル、そしてガツンとくる味わいの秘密は機会があらば掘って考察したい、と考えていたので久しぶりにお店にお邪魔できたのは、とても興味深かったです。

ヒレは、最高品質の「USDA プライム」! 11月末までのこのスペシャルコースは、上にのっているクラストがトリュフクラストだそうですが肉が美味いので、12月に入ってから行って通常バージョンのステーキを食べてもらっても十分美味しいです(笑)。でも、この内容で1万6500円だからお得かと思います。


さて、LEON本誌でも年明けの1月25日発売号で、肉特集を行いますのでぜひご覧ください。インスタでは得られない、誌面だからこその肉特集やりまっせ。
さて、というわけで、お肉を食べたくなったら、まずはバターとブロイラーに想いをはせてルースクリスへ。素敵なお店です。

■ ルース クリス ステーキハウス
住所/東京都千代田区霞が関3-2-6 東京倶楽部ビルディング101
TEL/03-3501-0822
HP/https://www.ruthschris.co.jp















