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2022.09.11

【第15回】「釧路のラーメン」

釧路の正油ラーメンが素晴らしい! 濃いのにあっさり醤油スープの妙技

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博

釧路のラーメン LEON.JP 山本益博

「釧路ラーメン」は北海道四大ラーメンのひとつ!?

この夏、仕事で北海道の釧路へ出かけることになり、今年読んだばかりの小泉武夫著「北海道を味わう」を本棚から探し出して再読した。

プロローグでこんな一文に出会った。
「魚介類は北海道でも有数の水揚げ量を誇っている。釧路港は千葉県銚子港、静岡県焼津港とともに日本の水揚げ量の三大漁港である。主に揚がってくるのがサンマ、サケ、マダラ、スケトウダラ、サバ、イワシ、シシャモ、ホッケ……」
そう言えば、今から40年ほど前、釧路に初めて出かけた時は、炉端焼きの取材だった。当時から釧路には、豊富な魚介を炉端で焼いて出す「炉ばた」という店が評判で、東京までその名が響いていたほどだった。「北海道を味わう」には、当然その「炉ばた」のはなしが出ていて、仙台で始まった「炉ばた」だが、そこで働いていた人がその後釧路で開いたのだという。

「北海道を味わう」の最終章を読んでいると、次の一文に目が留まった。
「北海道にはこのほか、『細縮れ麺に鰹節主体のあっさり醤油スープ』の釧路ラーメンがある。カツオだしのほかに昆布、鶏ガラ、野菜、豚骨なども使い、それであっさり味を出す釧路の妙技は驚きだ。そのために北海道では最近、札幌・函館・旭川の『北海道三大ラーメン』に釧路を加えて『北海道四大ラーメン』という人もいる」
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4年前に食べた「まるひら」は丼一杯の透明なスープが印象的

釧路のラーメン まるひら LEON.JP 山本益博
▲ 「まるひら」の正油ラーメン。
釧路で初めてラーメンを食べたのは、今から4年前、地元の食いしん坊に教わった浦見にある「まるひら」を訪れた。勧められていたラーメンは「正油ラーメン」で、大きめの丼一杯の透明なスープが張られていて、いつもならラーメンをすっかり平らげるのだが、このときばかりはスープをかなり残してしまった。

そのスープは、魚介系の出汁で、やや濃いめながら透明なすっきりとした醤油味だった。

「いわまつ食堂」は醤油味が濃いめのスープがたっぷり

釧路のラーメン いわまつ食堂 LEON.JP 山本益博
▲ 「いわまつ食堂」の正油ラーメン。
今回、久しぶりに釧路を再訪し、3軒のラーメン屋を訪ね歩いた。まずは、弥生「いわまつ食堂」。立地と店構えが、なんとも北海道の風情を感じさせる。品書きから「正油ラーメン」を選ぶ。

細麺にチャーシュー、メンマ、ねぎ、それに海苔と赤いナルト。醤油味が濃いめのスープがたっぷりのラーメン。
釧路のラーメン いわまつ食堂 LEON.JP 山本益博

いわまつ食堂

住所/北海道釧路市弥生2丁目8-21
営業時間/10:00~19:00
定休日/不定休
TEL/0154-41-9339

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「ラーメンたかはし」はご主人の風情をそのまま味にしたようなラーメン

釧路のラーメン  たかはし LEON.JP 山本益博
▲ 「ラーメンたかはし」の正油ラーメン。
夜は炉端焼の店に出かけ、その後、深夜までやっている栄町「ラーメンたかはし」に出かける。カウンターのみの小さな店で穏やかなご主人がひとりでラーメンを作っている。ここでも注文したのは「正油ラーメン」。

北海道ではどうやら、どの店も「醤油」でなく「正油」である。細麺でチャーシューにメンマとネギにナルトで海苔は載っていなかった。スープは穏やかな醤油味。ご主人の風情をそのまま味にしたようなラーメンだった。店を後にした時、ひょっとすると、かつてバーテンダーをしていて、定年後ラーメン屋を開いたのではなかろうかと想像したのだった。
釧路のラーメン たかはし LEON.JP 山本益博

ラーメンたかはし

住所/北海道釧路市栄町 3-2 ニュー栄町銀座 1F
営業時間/18:00~翌1:00
定休日/月曜
TEL/0154-22-4348

「銀水」は丁寧に取られた魚介系のスープが素晴らしい

釧路のラーメン 銀水 LEON.JP 山本益博
▲ 「銀水」の正油ラーメン(770円)。
そして、翌日昼は浪花町「銀水」へ。清潔感溢れる店内。ここでもやはり、「味噌」など他のラーメンには目もくれず「正油」ラーメンを注文。濃いめのスープにチャーシュー、メンマ、ねぎ。ここでは、ナルトも海苔も載っていない。丁寧に取られた魚介系のスープが素晴らしい。

冒頭の小泉武夫先生のおっしゃる通り、「細縮れ麺に鰹節主体のあっさり醤油スープ」が釧路ラーメンの共通項だった。それでも、地元の方のお薦めはまだまだあり、「夏堀」や「武双」は次回に必ず出かけることにしよう。
釧路のラーメン 銀水 LEON.JP 山本益博

ラーメン専門店 銀水

住所/北海道釧路市浪花町12-1
営業時間/11:00~20:00
定休日/不定水曜
TEL/0154-24-7041

※次回は9月25日予定です。
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らーめん LEON.JP 山本益博

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博さんがYouTubeを始めました!

日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!

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