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2020.01.15

呪文はルーラ! 京都で和食を食べない冒険へ出かけよう。

めまぐるしく変わる日本の食トレンドのなかにあって、まちがいなく2020の注目株がこの「LURRA°」。京都・東山の古民家をリノベした小さな店に、食通たちの熱い期待が寄せられている。

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文/秋山 都  写真/高嶋克郎

京都・東山に佇む「LURRA°」はカウンター12席の小さな店。
先日、とある有名グルメサイトのアンケートにお答えしました。
「あなたが2019年にもっとも印象的だったお店はどこですか?」

私のこたえはこちら↓。
京都で昨年7月にオープンしたお店。カウンターでわずか12席のお店ですが、私はここにいまの日本の飲食店の‟ちょっと未来”が凝縮されているように思うのです。どんなお店か、気になるでしょう?

◆LURRA°(京都・東山)

その名は「LURRA°」。ルラ? ルーラ? 初めて聞いたときはドラクエの呪文「ルーラ」を思い出しました。ご存知のように「ルーラ」は一度行ったことのある場所なら瞬時に移動できる便利な魔法。東京で暮らしているいま、「ルーラ」を唱えてすぐに行けたらいいのにな。「LURRA°」はそんなふうに思える魅力的なお店です。
京都の伝統的な町家をリノベーション。坪庭の向こうにお手洗いがあります。
とはいえ、その名前の由来はドラクエ……ではなく、バスク語で「地球」。そして右上についた「°」は地球の周りを回る月を指すのだそうで、つまり、LURRA°とは世界にここしかない座標を示すのだそうです。では、この「LURRA°」になぜ日本のレストランの‟ちょっと未来”があるのか、順を追ってみてまいりましょう。
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1.世界で活躍した3人の若者が集結

LURRA°を創業した3人。左からゼネラル・マネージャーの宮下拓己氏、シェフのジェイカブ・キアー氏、ミクソロジストの堺部雄介氏。
「LURRA°」を立ち上げた3人の若者たち。
いずれも京都に縁のある人ではありません。東京生まれ、東京育ちでフランスの三ツ星店「ミシェル・ブラス」や大阪のやはり星付き名店でサーヴィスの腕を磨いた宮下拓己さん、米国人と日本人の両親のもとに生まれ、アメリカ、東京、そしてあの「noma」のキッチンでも修業したシェフのジェイカブ・キアーさん、世界をめぐり、オーストラリアでミクソロジーに出会ったことをきっかけに料理とカクテルのペアリングの可能性を模索しはじめた堺部雄介さん。この3人がニュージーランドのトップレストランClooneyで出会い、この「LURRA°」を舞台に、日本の季節と文化、そして食を世界へと発信するため、京都を出発点に選んだのでした。

世界で仕事をしていた彼らは、多言語でのコミュニケーションが可能です。英語、仏語、韓国語……ますますインバウンドの需要が増えているこの時期に、マルチリンガルであるという要素はこれからのレストランの強みにもなっていくでしょう。

そして彼ら3人はもちろん、キッチンのスタッフみんなが対等に話し合っている姿も印象的でした。飲食店の厨房といえば、手は出さないものの足は出す(蹴る)など、厳しい上下関係があることでも知られています。上下関係=悪とは言い切れないものの、過度な因習にとらわれずフランクな関係を築くという点も‟ちょっと未来”なのでは、と。
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2.火力は薪だけという斬新な厨房

坪庭にはたくさんの薪が積み上げられています。
ではここで厨房の中へと目を移しましょう。シェフの背後にあるのは、薪をくべる薪釜とキルン。ほかにコンロは……アレ? 火力はなんと薪がメイン。薪で調理するレストランはほかにもMaruta(東京・深大寺)などありますが、薪火がほとんどというのは非常に珍しい。
シェフほか、スタッフのタトゥーはかなりアート。
時にはげしく燃え盛り、時に熾火となってやわらかな焔を見せる薪釜を囲んでいると、どこかキャンプファイヤーのような一体感が生まれてくるのも不思議です。そうそう、この「LURRA°」もご多聞にもれず「一斉スタート形式」なのですが、食事を終えるころには12席のカウンターが国籍や人種を超えて仲良くなることも多いのだとか。このあたり、実に‟ちょっと未来”です。
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3.日本の食材をユニークなLURRA°料理へ昇華

2Fの貯蔵庫には自家製の発酵食品やリキュールがずらり。
さて、肝心の料理は?
これが、いわゆるイノベーティブというジャンルになるのでしょうが、非常にユニークで、ここにしかないものばかり。野菜やハーブ類はシェフのジェイカブさんが自ら大原の農園まで摘みに行き、吟味してきた食材をお客の目の前で芸術的な一皿に仕立てます。

よくイノベーティブな料理の感想を求められた際、「おいしいっていうより面白いって感じ」と、直截な表現を避ける(飲み会に来た女の子を「美人というよりかわいい系かな」と濁すのと同じ)ことがありますが、ここ「LURRA°」の料理に関しては「面白い」と評する必要はありません。世界でここにしかない、ユニークなおいしさです。

ではここで秋のコースの一例を見ていただきましょう(撮影は19年11月でした)。
雲丹のババロア、黒トリュフとイラクサ
イラクサのおせんべいの下に、なめらかな食感の雲丹のババロア。
ジェイカブシェフは身長190㎝はあろうかという大男なのですが、その繊細な手仕事には感嘆します。この日も酸葉(すいば)の芽を一枚ずつヨーグルトに飾りつけていました。
根セロリ、発酵林檎と酸葉
焼き栗ご飯、松茸と松の出汁
梨 レモンバーベナとゲヴュルツトラミネ―ル
きくいものドーナッツ
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4.想像を超えるペアリングテクニック

10皿の料理で構成される「LURRA°」のコースにはドリンクペアリングがセットになっています。そしてこのドリンクが群を抜いて素晴らしい。シャンパーニュでスタートし、その後の料理にあわせてミクソロジストの堺部雄介さんが目の前でカクテルを作ってくれるのですが、どのカクテルもひと口飲んだだけではそれが何なのかわからず、また料理と絶妙のバランスを保ちながら一体となる様子に唸ります。

たとえば前ページのドーナッツにあわせたカクテル。これは飲むと「カルアミルク」の味がするのですが、コーヒーもコーヒーリキュールも使用していないのです。じゃあ何からできているのか? それはまさに冒険! ご自分でお試しください。
堺部雄介さん。カクテルの原料となるジュースや酵素から手作りするこだわりがすごい
最後に、「LURRA˚」がなぜ京都を選んだのか、聞きました。

「10年に渡り、世界のトップレストランで働いてきた僕らが海外から日本を改めて見つめ、京都は日本の魂が息づく街で、自然に囲まれて四季折々の季節感を持ち、そしてユニークな食材や文化的背景を持つ国際都市であると思いました。日本の心髄ともいえる京都から、食文化を世界へ向けて発信していきたいと考えています」(宮下拓己さん)

他の京都の飲食店のように「おいでやす」も「おおきに」もないけれど、「こんばんは」「Good Evening」と迎えてくれて、日本の魅力を凝縮して表現してくれるショーケースのような場所……いままでは京都へ出かければちょっと無理して高い和食を食べていましたが、あえて和食を食べないという選択肢もアリなんじゃないかな。

ニッポンという美しい国の良さを再発見できたように感じる、不思議な魅力に満ちた一軒です。

◆ LURRA°

住所/京都府京都市東山区石泉院町396
問い合わせ/050-3196-1433
営業時間/17:30~、20:30~の一斉スタート二部制
定休/月曜
要予約(予約はHPから)
コース+ドリンクペアリング7杯で2万5000円(税・サ別)。

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